50代の障害者の転職の現状とポイント

50代の障害者の転職の現状とポイント

50代の障害者の転職の現状とポイント

「50代で障害を抱え、これからどう働いていこうか迷っている……」「今の仕事を辞めざるを得なくなったけど、再就職できるか不安」――そんなお気持ちを抱えている方も、きっといらっしゃるのではないでしょうか。

年齢を重ねるにつれて、体力や働き方の希望も変わってきます。

そこに障害という要素が加わると、「自分に合った職場はあるのだろうか」と、いっそう悩みは深くなりがちです。

50代の障害者の方が転職活動を始めたものの、なかなか希望に合う求人が見つからず、活動が長期化してしまうケースは少なくありません。

中高年のビジネスマン

けれども、近年では障害者雇用を促進する法律の整備や、多様な働き方を取り入れる企業の増加など、50代の障害者の方にとっても追い風となるような環境が整いつつあります。

実際、50代の障害者雇用率は、他の年代と比べても比較的高いのです。

ご自身に合った仕事を見つけ、安心して長く働ける場所に出会うことは、今からでも十分に可能です。

この記事では、そんな50代の障害者の方に向けて、「いまの雇用の現状」「転職の際に押さえておきたいポイント」「信頼できる支援サービスの活用法」まで、丁寧に解説していきます。

どうかご自身のペースで読み進めていただき、今後の選択のヒントにしていただけたらうれしいです。

目次

障害者雇用の現状

障害者の方が安心して働ける環境づくりは、年々整備が進んでいます。

一方で、まだまだ現実には雇用の機会が限られている、と感じる方も多くいらっしゃいます。

まずは、障害者雇用がどのような仕組みの中で行われているのか、全体像を知ることから始めましょう。

制度や就労の傾向を知ることで、ご自身が目指す方向や対策のヒントが見えてくるかもしれません。

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障害者の法定雇用率とは

「法定雇用率(ほうていこようりつ)」とは、企業が雇うべき障害者の人数を、従業員数に応じて定めた基準のことです。

2024年4月からは、民間企業の法定雇用率は2.5%に引き上げられました。

さらに、2026年7月には2.7%への引き上げも予定されています(※厚生労働省発表)。

従業員数 雇用が必要な障害者数(2024年4月時点)
40人 1人
100人 3人
200人 5人

このように、従業員が40人以上の企業は、業種に関わらず、少なくとも1人の障害者を雇用する義務があるのです。

もし企業が基準を満たさない場合は、「障害者雇用納付金」という形で、満たさない人数に応じて一定の金額を国に納めなければなりません。

そのため、企業側も年々、障害者の雇用に積極的になる傾向が見られるようになってきています。

ただし、「採用枠はあるが、ミスマッチや配慮の不足で定着につながらない」といった課題も依然として残っています。

全体での就労状況について

障害者全体の就労状況も、少しずつですが改善の兆しが見えています。

2022年の統計によると、障害者の就業者数は約61万4,000人でした(厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」|2022年|https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29949.html)。

これは前年よりも約1万6,000人増えており、障害者雇用の就業者数は過去最多を更新しています。

特に、精神障害者の雇用が年々増加している点は注目すべき変化です。

以前は「長時間働けない」「安定性に欠ける」などの理由で敬遠されがちでしたが、今では職場側の理解も進み、通院配慮や短時間勤務などの柔軟な働き方が徐々に広まっています。

こうした動きは、障害者の方が「自分らしく働ける場所」を見つけるチャンスにつながっています。

障害別(身体・知的・精神)の就労状況について

障害の種類によって、就労のしやすさや職種の傾向には違いがあります。

もっとも割合が高いのは身体障害者です。

これは、視覚・聴覚・肢体不自由などの身体的な障害の場合、業務内容に合わせて配慮を行えば、比較的多くの職種で就労が可能であることが理由とされています。

一方で、精神障害や知的障害を持つ方の雇用は増えてきているものの、まだ全体の半数以下であり、今後の更なる取り組みが求められています。

ご自身の障害の特性に合った働き方を知るためにも、こうしたデータを参考にしてみてください。

産業別雇用状況について

実雇用率の高い企業、つまり障害者の方が多く働いている業種には、一定の傾向があります。

以下は、主に雇用されている産業の例です。

  • 鉱業、採石業、砂利採取業(2.52%)
  • 運輸業、郵便業(2.41%)
  • 電気・ガス・熱供給・水道業(2.36%)

障害の種類別に見ると、身体障害者と知的障害者は製造業とサービス業精神障害者はサービス業と小売業での雇用率が高くなっています。

上記のような業種では、障害者雇用への理解が比較的進んでおり、事務補助・軽作業・清掃・商品の管理業務など、障害の特性に応じたさまざまな職種が用意されています。

ただし、50代の方の場合は以下のような課題もあります。

  • 体力の必要な作業は厳しい
  • パソコンスキルの差によって事務職が難しい場合がある
  • 長時間勤務や立ち仕事が続くと負担が大きい

このような理由から、「自分に合った業務内容や働き方」をしっかりと見極めることが大切です。

また、近年では在宅勤務や時短勤務など、柔軟な就労形態を導入する企業も増えています。

「年齢」や「障害」だけを理由にあきらめるのではなく、自分に合った働き方ができる場所を、前向きに探していくことが重要です。

50代の障害者の就労状況

50代という年代は、若い世代にはない「人生経験」や「職務への安定感」を持ち合わせた、社会にとってとても貴重な存在です。

一方で、転職市場においては「年齢が高い」というだけで、不利に感じてしまう方も多いかもしれません。

ましてや、障害があることで「本当に再就職できるのだろうか」と不安を抱えてしまうのも、無理のないことです。

ですが、実は50代の障害者の方でも、就職の可能性は決して低くありません

ここでは、50代の障害者の方が置かれている就労状況を、年齢層別・障害種別にわけて、詳しくお伝えしていきます。

「年齢」や「障害」を乗り越えながら、いきいきと働いている方がたくさんいることを、ぜひ知っていただけたらと思います。

笑顔のビジネスマン

50代の障害者雇用率は比較的高い

意外に思われるかもしれませんが、50代の障害者の方の雇用率は他の年齢層と比べて、比較的高い傾向にあります。

この背景には、以下のような理由があると考えられています。

  • 長年の職務経験が評価されやすい
    積み重ねてきた社会人経験や職場での対応力は、企業にとって大きな魅力です。
  • 企業側も安定就労を期待している
    若い世代に比べて、転職の頻度が少なく、長く働いてくれると見込まれる点が評価されています。
  • 特例子会社などの受け皿が広がっている
    障害者雇用に特化した企業や部署が増え、年齢にとらわれず採用してくれる環境が整ってきています。

つまり、50代であっても、「落ち着き」や「責任感」がプラス評価となるケースが増えてきているのです。

年齢がネックになることもあれば、むしろ信頼される要素として強みに変わることもあります。

「もう50代だから」と思い込まずに、「自分の経験を活かせる職場はきっとある」と前向きに考えていただけたらと思います。

年齢別の障害者割合

障害の種類によって、年代ごとの傾向には大きな違いがあります。

ここでは、精神・知的・発達・身体といった障害ごとに、50代がどれくらいの割合を占めているのかを見ていきましょう。

精神障害者の年齢別割合

精神障害は、うつ病や双極性障害、不安障害、適応障害など、働き盛りの30〜50代に多く見られる傾向があります。

そのため、50代で精神疾患を経験し、復職や転職を考える方は少なくありません。

最近では、以下のような支援も充実してきています。

  • リワーク支援(就労に向けたトレーニングや準備を行う支援)
  • 通院しながらの短時間勤務
  • メンタルヘルス対応に理解のある職場の増加

一人で抱え込まず、支援機関を活用しながら、自分に合った働き方を探していくことが大切です。

知的障害者の年齢別割合

知的障害を持つ方の就労は、若年層が中心で、20〜30代に集中している傾向があります。

年齢が上がるにつれて就労率は下がり、50代での雇用は少なめです。

その理由としては、以下の点が挙げられます。

  • 若いうちから就労支援を受けて職場に定着するケースが多い
  • 年齢とともに支援体制が変化し、転職に結びつきにくくなる

とはいえ、定着率が高く、コツコツと業務に取り組める方が多いのも知的障害のある方の特徴です。

50代でも、作業系・軽作業などで活躍している方はたくさんいらっしゃいます。

安心して働ける環境づくりの支援を受けながら、希望に合う職場を探していきましょう。

発達障害者の年齢別割合

発達障害(ASD・ADHD・LDなど)は、ここ数年で診断件数が増えている障害のひとつです。

50代で診断される方は比較的少数派ですが、こんなケースもあります。

  • 子どもの発達障害をきっかけに、自分の傾向に気づいた
  • これまで何とか働いてきたが、職場環境の変化で困難を感じ始めた

つまり、「50代で初めて障害に気づいた」という方も決して珍しくありません。

発達障害がある方は、マルチタスクや曖昧な指示が苦手である反面、得意な分野では高い集中力や専門性を発揮することもあります。

支援機関と連携して、自分の強みや配慮事項を整理することで、働きやすい職場に出会える可能性が高まります。

身体障害者の年齢別割合

身体障害のある方は、40〜60代にかけての年齢層に多いという傾向があります。

これは、以下のような理由によるものです。

  • 加齢に伴って、視力・聴力・運動機能などに障害を持つようになる
  • 病気やけがをきっかけに、障害者手帳を取得するケースが多い

50代で身体障害を持つようになった方も、「これまでのキャリアや経験を活かした働き方」を目指すことが可能です。

例えば、以下のような働き方が考えられます。

  • デスクワーク(事務職・管理職)
  • 専門職(設計・経理・IT系など)
  • 業務内容を限定した短時間勤務

身体の状態に応じて、無理のない働き方を検討しながら、「これまでやってきたこと」+「これからできること」を軸に転職活動を進めることが大切です。

50代の障害者の方が働くうえで大切なのは、「年齢も障害も、自分の一部として前向きに捉えること」です。

支援機関の力も借りながら、自分にできることを一つずつ積み上げていけば、きっと安心して働ける場所が見つかるはずです。

50代の障害者が転職が難しい理由

「働きたい気持ちはあるのに、なかなか仕事が見つからない」――そんな思いを抱えていませんか?

50代で障害を抱えての転職は、たしかに簡単ではありません。

でも、それは「あなたの努力が足りないから」ではなく、社会や制度の構造的な課題が影響しているからなのです。

ここでは、50代の障害者の方が転職活動で直面しやすい3つの大きな理由について、わかりやすくお伝えします。

ご自身の状況を客観的に理解することで、「どう動けばいいのか」というヒントが見えてくるかもしれません。

ビジネス街に立つビジネスマン

障害者雇用枠の少なさ

障害者雇用が制度として整ってきたとはいえ、実際に求人として出ている枠にはまだまだ限りがあります。

特に、以下のような傾向があります。

  • 募集が若年層に偏っている
  • 短時間や軽作業などの限定的な職種が多い
  • 年齢制限はないものの、実質的に若手を想定している求人が多い

そのため、50代の障害者の方が応募できる求人は、思った以上に少ないという現実に直面することもあります。

また、企業によっては「法定雇用率を満たすための形式的な採用」になってしまい、実際には活躍の場が用意されていないといったケースもあります。

こうした中で、自分に合った職場を見つけるには、求人情報を丁寧に見極める目と、第三者のサポートが大きな助けになります。

年齢が高いことによる不利

「年齢による壁」は、障害の有無にかかわらず、50代の転職では大きな課題のひとつです。

企業の採用担当者が50代の応募者に対して、次のような懸念を抱くケースがあります。

  • 「定年までの期間が短いのでは?」
  • 「柔軟に新しい環境に対応できるか?」
  • 「若い社員との関係はうまくいくだろうか?」

このようなイメージが先行してしまい、書類選考で落ちてしまう、面接に進めないという声も多く聞かれます。

たとえスキルや経験が十分にあっても、年齢だけで評価されにくいのは、残念ながら今の転職市場の現実です。

けれど、これは「絶対に無理」という意味ではありません。

年齢によるマイナスを補うためには、謙虚な姿勢や柔軟な考え方をしっかり伝えることが鍵になります。

例えば、

  • 「新しい環境に慣れるために努力します」
  • 「若手社員とも積極的にコミュニケーションをとります」

といった前向きな言葉を伝えることが、選考突破のポイントになることもあります。

障害者雇用ではスキルが重視されにくい

一般的な転職市場では、「どんな経験をしてきたか」「どんなスキルがあるか」が重視されます。

しかし、障害者雇用枠の場合は、必ずしもスキルや経験が評価の中心とは限りません

企業が重視するポイントは、以下のような点に置かれがちです。

  • 「安定して通勤できるか」
  • 「長く働き続けられるか」
  • 「職場のルールや雰囲気に適応できるか」

そのため、これまでバリバリと責任のある仕事をしてきた方でも、「経験が活かせない」「評価されない」と感じてしまうことがあります。

とくに50代の方は、「これまで積み上げてきたキャリアを武器にしたい」という気持ちが強い分、評価とのギャップに悩むことも多いのです。

でも、その経験は決してムダではありません。

職務経歴のなかで「どんな工夫をしたか」「どんな姿勢で仕事に向き合ったか」を丁寧に伝えることで、企業の見る目が変わることもあります。

スキルよりも人柄や安定感、職場に溶け込む力が求められる場面も多いため、応募先の企業の考え方に合わせて、アピールの仕方を工夫することが大切です。

このように、50代の障害者の方が転職でつまずきやすい背景には、「求人の少なさ」「年齢による先入観」「スキル評価のズレ」といった複数の課題が絡んでいます。

自分の強みを見つめ直し、支援機関や専門サービスを活用しながら、一歩ずつ前に進んでいくことが、納得のいく転職への近道になるはずです。

50代の障害者の転職のポイント

たしかに、50代で障害を抱えながらの転職活動は簡単ではありません。

でも、それは「工夫や準備の仕方次第で、大きく変えられる」ことでもあるのです。

ここでは、50代の障害者の方が、納得のいく転職を目指すために知っておきたいポイントを、わかりやすくまとめました。

焦らず、無理なく、今の自分に合った方法を見つけるヒントにしてみてください。

オフィスで働くビジネスマン

自身の障害特性と必要な配慮の理解

まず何よりも大切なのが、ご自身の障害特性を正しく理解し、どんな配慮が必要かを整理しておくことです。

たとえば、

  • 長時間の立ち仕事が難しい
  • 集中力に波がある
  • 音に敏感で、静かな環境でないと作業ができない

など、人によって必要な配慮は異なります。

医師の意見書やリワーク支援、ジョブコーチの助言を受けながら、「何に困っているか」「どんな支援があると働きやすいか」を明確にしておくと、就職後も安心して仕事を続けやすくなります

向いていない仕事を避ける

50代は、これまでの経験や得意・不得意がはっきりしている年齢でもあります。

だからこそ、「自分には合わない仕事」を無理に選ばないことが長続きのコツです。

以下のように整理してみましょう。

状況 避けたほうがよい業務の例
腰や膝に不安がある 立ち仕事・荷物の持ち運びなど
聴覚に障害がある 電話応対・騒がしい職場環境
うつ病の再発が心配 長時間労働・納期プレッシャーの強い業務

「これは自分には難しいかも」と思うことを避けることは、決してわがままではありません。

長く安心して働くための「自己理解」と考えましょう。

無理せず段階的に慣らしていく

転職していきなりフルタイムでバリバリ働く、というのはなかなか難しいものです。

とくにブランクがある場合や、体調が万全でない場合は、最初から全力で頑張りすぎないことが大切です。

おすすめのステップとしては以下のようになります。

  • 最初は短時間勤務(週3日・1日4時間など)からスタート
  • 通勤時間帯を避けた「時差出勤」や「在宅勤務」を取り入れる
  • 少しずつ業務の幅を広げていく

段階的に職場に慣れていけば、自信を取り戻しながら、定着率も高くなるはずです。

業務経験やスキルのアピール

50代のあなたには、これまで積み上げてきた豊富な経験という大きな財産があります。

それをしっかりアピールできれば、企業にとっては「即戦力」として大きな魅力になります。

たとえば、

  • 20年以上の経理経験で、ミスなく正確な処理が得意
  • お客様対応の経験が長く、クレーム処理も冷静に対応できる
  • 新人育成を担当してきたため、指導やマネジメントにも自信がある

こうした具体的な強みは、履歴書や面接でもしっかり伝えていきましょう。

「障害がある=弱み」ではなく、「経験と工夫がある=強み」という視点で、自信を持って臨んでくださいね。

障害についてオープン・クローズにするかの決定

障害があることをどこまで伝えるかは、悩ましい問題です。

でも、安心して働くためには、必要な配慮を受けられるように「ある程度の開示」がとても重要です。

企業側も、事前に分かっていれば準備や配慮がしやすくなります。

開示する際は、以下のように伝えるとスムーズです。

  • 「●●の障害がありますが、△△の配慮があれば問題なく働けます」
  • 「過去には□□の支援を受けることで、安定して勤務していました」

配慮が得られないと、職場で困難を感じやすくなります。

ですので、「伝えるべきこと」と「伝え方」を整えることが、働きやすさにつながる鍵になります。

謙虚な姿勢を保つ

年齢を重ねていると、「ある程度は分かっている」という気持ちが出てしまいがちです。

ですが、転職先では“新人”としての謙虚な姿勢が大切です。

特に、若い社員との関係づくりや、社内ルールへの適応では、以下のような心がけが信頼につながります。

  • 分からないことは素直に聞く
  • 「教えてくれてありがとう」と感謝を伝える
  • 自分のやり方を押し付けず、柔軟に対応する

こうした姿勢は、周囲からの信頼につながり、職場での居場所をつくる大きな一歩になります

支援機関を活用する

1人で悩まず、就職や転職のプロの力を借りることは、とても心強い方法です。

以下のような支援機関があります。

支援機関 特徴
ハローワーク 障害者専門窓口があり、就労相談・職業紹介が受けられます
就労移行支援事業所 就職前の準備・ビジネススキル習得・職場実習などが可能です
障害者専門エージェント 求人紹介・面接対策・応募書類の添削など、転職活動をトータルでサポート

支援機関は、「どんな仕事が向いているか」「どう進めたらよいか」などの疑問にも寄り添ってくれます。

転職に不安を感じている方ほど、まずは相談してみることをおすすめします。

あなたのこれまでの経験や、努力してきたことは、必ずどこかで活かせる場があります。

焦らず、ひとつひとつのステップを丁寧に進めていけば、「ここなら自分らしく働ける」と思える場所に、きっと出会えるはずです

障害者雇用と一般雇用の違い

「障害がある自分は、障害者雇用枠で探した方がいいのか、それとも一般雇用にチャレンジすべきか」――そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

どちらにもメリット・デメリットがありますので、大切なのは「自分に合った働き方がどちらなのかを知ること」です。

ここでは、障害者雇用と一般雇用、それぞれの特徴を比較しながら、違いをわかりやすくご説明します。

無理なく、安心して働くための判断材料にしていただければと思います。

ビジネス 人物

主な違いは「配慮の有無」と「雇用枠の目的」

障害者雇用と一般雇用の最も大きな違いは、以下の2点にあります。

比較項目 障害者雇用 一般雇用
配慮の有無 合理的配慮の提供が前提 原則として配慮は義務ではない
採用の目的 法定雇用率の達成など、制度に基づいた採用 即戦力や能力に基づいた採用
業務内容 障害特性に配慮した業務が中心 業務範囲は一般社員と同様の場合が多い
勤務時間 短時間勤務や柔軟な働き方が可能 フルタイムやシフト勤務が基本
評価基準 安定性・協調性・勤怠などが重視されやすい 生産性・実績・スキルが重視されやすい

障害者雇用では、「どんな障害があるか」「どんな配慮が必要か」を考慮したうえで、働きやすい環境を提供してもらえることが前提です。

たとえば、以下のような配慮を受けられるケースがあります。

  • 通院のための勤務時間調整
  • 体調に応じた業務の配分
  • 苦手な業務の免除(電話応対・マルチタスクなど)

一方、一般雇用では、採用後の配慮は企業の裁量に任されているため、十分な理解やサポートが得られない場合もあります。

特に中途採用では、「即戦力」「柔軟な働き方」「成果主義」などが重視されるため、体調や障害の波がある方にとっては、負担が大きくなる可能性もあるのです。

自分に合った雇用形態を見極めよう

どちらが正解というわけではありません。

大切なのは、今のご自身の状況や希望に応じて、どちらの雇用形態がより「働きやすい」と感じられるかを見極めることです。

以下のような視点で整理してみると、判断しやすくなります。

障害者雇用が向いている方

  • 障害によって日々の体調に波がある
  • 長時間勤務やマルチタスクが難しい
  • 職場での配慮やサポートがないと働きづらい
  • 定着・安定を重視したい

一般雇用が向いている方

  • 障害の影響が比較的軽く、配慮がほとんど不要
  • 経験やスキルに自信があり、キャリアアップを目指したい
  • 業務の幅を広げていきたい
  • 職場に理解があり、環境的に支障がない

転職活動では、企業の求人情報だけで判断するのではなく、実際に面接時にどこまで配慮してもらえるか、就業後のサポート体制が整っているかをよく確認することが大切です。

また、どちらを選んだとしても、「自分の働き方をどう伝えるか」「何に配慮が必要か」を明確にしておくことで、よりよいマッチングにつながります。

年齢や障害の有無にかかわらず、あなたらしく働ける場所はきっとあります

焦らず、一つひとつ確認しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。

仕事の探し方

「自分に合った仕事は、どうやって見つければいいのだろう?」

そう悩む方も多いのではないでしょうか。

特に50代で障害を抱えての転職活動は、「何から始めたらいいのか分からない」と不安になってしまうこともありますよね。

でも、安心してください。

今の時代、障害のある方を対象とした専門的な支援機関やサービスがたくさんあります。

ここでは、代表的な2つの仕事探しの方法をご紹介します。

「一人で抱え込まずに、頼れる場所に相談すること」――それが、転職成功への第一歩になります。

ポイントをおさえる

ハローワーク

まずご紹介したいのが、全国にある公共職業安定所、いわゆる「ハローワーク」です。

ハローワークには、障害者専門の窓口(専門援助部門)が設けられており、障害のある方が安心して相談できる体制が整っています。

ハローワークで受けられる主な支援

  • 障害特性や体調に合わせた就職相談
  • 希望条件に沿った求人の紹介
  • 履歴書や職務経歴書の添削サポート
  • 面接練習や模擬面接などの選考対策
  • 就職後の職場定着に向けたアフターサポート

さらに、企業側と事前に調整をしてくれることもあり、あなたの状況に配慮した求人とのマッチングが期待できます

また、「障害者トライアル雇用制度」など、障害のある方が働きながら職場に慣れていける支援制度も利用可能です。

「相談するのが恥ずかしい」「うまく話せるか心配」という方も、どうかご安心ください。

担当者は障害への理解がある方ばかりなので、あなたの気持ちに寄り添いながら対応してくれます

障害者専用転職サービス

もう一つ、ぜひ活用していただきたいのが、障害者向けの転職エージェントや求人サービスです。

こうしたサービスでは、企業との間に立ってサポートしてくれる「キャリアアドバイザー」が在籍しており、マンツーマンで就職活動を手伝ってくれます。

障害者専門エージェントの主な支援内容

  • カウンセリングによる希望条件の整理
  • ご自身に合った企業・職場の紹介
  • 応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削
  • 面接日の調整や同行などのサポート
  • 入社後の職場定着支援やフォローアップ

こうしたサービスを使うことで、「一人で不安を抱え込む」状態から抜け出せるという声も多く寄せられています。

転職活動に不安や迷いがある方こそ、プロの力を借りてみてくださいね。

スグJOBとは?

スグJOB」は、障害者雇用に特化した求人サイトとして、業界最大級の求人数を誇っています。

特に50代の方でも応募できる求人が多数あり、年齢や障害を理由にあきらめなくてもいい環境が整っているのが大きな特長です。

スグJOBでは、以下のようなサポートが受けられます。

  • 年齢・障害特性に合った求人の紹介
  • 面接準備や書類作成のアドバイス
  • 就職後も安心のフォロー体制

求人情報も「業務内容」「配慮内容」「勤務形態」などが丁寧に記載されており、自分に合った仕事を探しやすい設計になっています。

「50代での再就職は難しいかも…」と感じている方にこそ、ぜひ活用してほしいサービスです。

▶▶スグJOBの詳細はこちら

仕事探しは、誰かに相談することで不安がぐっと軽くなります。

一人で悩まなくて大丈夫です。

まとめ

50代で障害を抱えながらの転職は、たしかに簡単な道のりではありません。

年齢の壁や、障害に対する周囲の理解、求人の少なさなど、いくつものハードルを感じることもあるでしょう。

でも、だからといって、あきらめる必要は決してありません。

正しい情報を知り、しっかりと準備をし、信頼できる支援を受けながら進めていけば、あなたに合った職場と出会うことは十分に可能です。

ここでお伝えしてきたように、転職を成功させるためのカギは次の3つです。

  • 自分の強みや障害特性を理解すること
  • 働ける職場の条件を整理すること
  • 支援サービスを積極的に活用すること

この3つを意識して、焦らず、あなたのペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

「今からでも大丈夫」「自分にもできる」という気持ちが、未来を切りひらく第一歩になります。

このページを読み終えたあなたは、すでに転職への準備を始めています。

どうか自信をもって、ご自身のこれからの働き方を描いていってくださいね。

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