1. 障害者雇用の不採用理由と対策を徹底解説！

障害者雇用の不採用理由と対策を徹底解説！

障害者雇用の求人に応募し、就職活動を進める中で「なぜ不採用になってしまったのだろう？」と悩んだ経験はありませんか？

何度も応募しているのに採用に至らないと、不安や焦りを感じることもあるでしょう。

就職活動の成否はタイミングや企業との相性によるところも大きく、一概に確実に採用されるという方法はありません。

ですが、不採用の理由を理解し、適切な対策を講じることで、採用の可能性を確実に高めることができます。

本記事では、障害者雇用における不採用の主な理由と、その対策について詳しく解説します。

まずは、企業がどのような点を重視しているのか、不採用の原因になりやすいポイントを確認していきましょう。

障害者雇用で不採用になる主な理由

障害者雇用において不採用となる理由には、いくつかの共通点があります。

基本的には一般雇用と同じ考え方ですが、障害者雇用特有の不採用理由もあります。

企業側がどのような視点で採用を判断しているのかを理解することで、より効果的な対策を立てることができます。

不採用になりやすい主な理由を3つ見ていきましょう。

指さしポーズをするオフィスレディー

障害の自己理解・説明不足

自分の障害特性を十分に理解し、それを面接で適切に説明できないと、企業側は業務上の配慮やサポートを検討しづらくなります。

企業は、障害のある求職者がどのような強みを持ち、どのような配慮が必要なのかを知りたいと考えています。

しかし、面接で「特に配慮は必要ありません」と言ってしまったり、「何ができて、何が難しいのか」を明確に伝えられなかったりすると、企業側は適切な職務の割り当てが難しくなります。

◎対策：障害特性を整理し、伝え方を工夫する

以下のポイントを意識して、事前に整理しておくとよいでしょう。

できること：「○○を使う作業は問題なく行えます」
できないこと（苦手なこと）：「長時間の立ち仕事は難しいです」
必要な配慮：「○○のため、定期的な休憩をいただけると助かります」

これらを簡潔に伝えることで、企業側は「どのように業務を任せられるか」を具体的にイメージしやすくなります。

また、自己理解を深めるために、支援機関のカウンセリングや自己分析ワークを活用するのも効果的です。

体調面の不安

企業側は、安定して勤務できるかどうかを非常に重視します。

過去に長期間の休職や頻繁な欠勤があると、「採用しても継続して働けないのでは？」と不安を持たれる可能性が高くなります。

また、面接時に体調管理について質問された際に、明確な回答ができないと、マイナス評価につながることもあります。

◎対策：安定した勤務が可能であることを伝える

体調管理ができることを示すために、以下のようなポイントを意識して説明しましょう。

最近の体調は安定しているか？：「過去には休職していましたが、現在は治療が進み、体調も安定しています。」
勤務に支障が出るリスクは？：「通院が必要ですが、事前にスケジュールを調整できます。」
自己管理の方法は？：「服薬管理と生活リズムの維持を徹底しており、業務に支障を出さないようにしています。」

企業側が「この人は無理なく働ける」と安心できるような伝え方を心がけましょう。

配慮事項の伝え方が不適切

必要な配慮について伝えることは大切ですが、「過度な配慮を要求する」「まったく伝えない」どちらも不採用の原因になりやすいです。

企業は、合理的な配慮を提供する義務がありますが、過度な要求をされると「職場で対応できない」と判断されることがあります。

逆に、「特に配慮は必要ありません」と伝えてしまうと、本来必要なサポートが受けられず、就職後に働きづらくなることもあります。

◎対策：企業の立場を考えながら、適切に伝える

適切な配慮事項を伝えるために、以下のポイントを意識しましょう。

NGな伝え方	OKな伝え方
「すべての業務で特別な配慮をお願いします」	「この作業は問題ありませんが、〇〇の業務は配慮いただけると助かります」
「特に配慮は不要です」	「基本的には問題なく業務をこなせますが、××の場合は調整が必要です」
「柔軟に対応してください」	「週に1回、通院のために遅めの出勤を希望します」

具体的かつ現実的な配慮を伝えることが、採用への近道となります。

また、支援機関に相談しながら、自分に合った職場環境を探すことも大切です。

面接で不採用になるよくある要因

面接は、企業が求職者を評価する最も重要な場面の一つです。

履歴書や職務経歴書の情報だけでは伝わらない「人柄」や「職場への適応力」を見極めるため、面接時の態度や受け答えが採用・不採用を大きく左右します。

面接で不採用になる主な要因を理解し、適切な対策を講じることで、採用の可能性を高めることができます。

ビジネス面接イメージ

以下に、よくある不採用の原因とその対策を詳しく解説します。

「できること」「できないこと」が不明瞭

面接では、応募者がどのような業務に対応できるのかを明確に伝えることが求められます。

自分ができることと、できないことを明確に説明できないと、企業は受け入れ判断が難しくなります。

これにより、「業務を適切に任せられるか分からない」「配慮すべき点が不明確でサポートできるか判断できない」といった理由で、不採用となるリスクが高まります。

企業側の受け入れ判断が難しくなる

企業は、障害のある求職者に対し「どのような配慮が必要か」「どの業務なら問題なく遂行できるか」を知りたいと考えています。

しかし、次のような曖昧な回答では、企業側の判断が難しくなります。

×NGな回答例

「頑張ればなんとかできます」
「特に配慮はいりません（本当は必要なのに伝えていない）」
「体調が悪いときは難しいかもしれません」

このような回答では、企業は「実際に働き始めたときに問題が生じるのでは？」と不安になり、不採用を決めることがあります。

「できること」「できないこと」を整理する

面接前に、自分が対応可能な業務と、困難な業務を整理し、具体的に説明できるように準備しましょう。

○OKな回答例

できること：「パソコンを使用した事務作業は問題なく対応できます」
苦手なこと：「長時間の立ち仕事や重い荷物を持つ作業は難しいです」
必要な配慮：「定期的な休憩を挟むことで、長時間の業務にも対応できます」

このように明確に伝えることで、企業側も具体的な業務の割り振りを検討しやすくなります。

また、模擬面接を活用し、伝え方を練習しておくと安心です。

質問に対する回答がズレる

面接では、企業の質問に対し適切に回答することが求められます。

しかし、質問の意図を正しく理解せず、的外れな回答をしてしまうと、コミュニケーション能力に不安を持たれる可能性があります。

特に、「簡潔に答えられず、長々と話してしまう」「質問と関係のない話をしてしまう」などのミスは、不採用の原因となることが多いです。

「勘違い」「理解不足」と判断されるリスク

以下のような受け答えは、企業に「この人は話がかみ合わない」「業務指示を正しく理解できないのでは？」と思われるリスクがあります。

×NGな回答例

面接官：「前職ではどのような業務をしていましたか？」
→ 応募者：「前職の会社はとても厳しくて、人間関係が大変でした……」（業務内容を聞かれているのに、職場環境の話をしてしまう）
面接官：「あなたの強みは何ですか？」
→ 応募者：「とにかく仕事は頑張ります！」（抽象的で具体性がない）

回答を的確に伝えるコツ

面接で適切に答えるためには、次の3つのポイントを意識しましょう。

質問の意図をしっかり理解する
→ 面接官が何を知りたいのかを考えてから答える
簡潔かつ具体的に回答する
→ 長々と話すのではなく、「結論→理由→具体例」の流れで話す
分からないことは正直に聞き返す
→ 勘違いしそうな質問は、「具体的にはどういう意味でしょうか？」と確認する

例えば、先ほどのNG回答を改善すると、以下のようになります。

○OKな回答例

面接官：「前職ではどのような業務をしていましたか？」
→ 応募者：「前職では、事務職としてデータ入力や書類整理を担当していました」
面接官：「あなたの強みは何ですか？」
→ 応募者：「私は細かい作業が得意で、特にデータ入力ではミスを防ぐ工夫をしています」

このように、相手に伝わりやすい回答を準備しておくことが重要です。

働く上での“素直さ”が感じられない

職場では、上司や同僚と協力しながら働くことが求められます。

そのため、面接で「協調性がない」「指示を素直に受け入れられない」と判断されると、不採用になる可能性が高まります。

グループディスカッション　就活生　就職活動

協力する姿勢（協調性）

企業は、障害の有無に関係なく、職場で円滑にコミュニケーションをとれる人材を求めています。

しかし、次のような言動が見られると、「チームでの仕事が難しいかもしれない」と判断され、不採用につながることがあります。

×NGな例

面接官：「職場の人と協力しながら働けますか？」
→ 応募者：「一人で黙々と作業する方が好きです」（チームワークが苦手と思われる）
面接官：「上司から指導を受けたとき、どのように対応しますか？」
→ 応募者：「自分のやり方でやりたいので、あまり意見は聞かないかもしれません」（指示に従えないと判断される）

素直に周りに伝えられる姿勢

働く上で、「できないこと」「困ったこと」を素直に伝えられるかどうかも重要なポイントです。

例えば、体調不良が続いているのに無理をしてしまい、後から問題が発生すると、企業側も対応に困ってしまいます。

そのため、面接では「困ったときは相談する姿勢がある」と伝えることが大切です。

○OKな回答例

「わからないことがあれば、上司に相談しながら進めます」
「難しい業務があった場合、指導を受けながら学びたいと思います」

このように、素直な姿勢をアピールできれば、企業側も安心して採用を検討できるでしょう。

不採用になった理由を探る方法

就職活動をしていると、「なぜ自分は不採用になったのだろう？」と疑問に思うことがあるかもしれません。

何度も応募しても結果が出ないと、自信を失ってしまうこともありますよね。

しかし、不採用には必ず理由があり、それを明確にすることで次の面接での改善点が見えてきます。

ここでは、不採用の理由を探るための具体的な方法をご紹介します。

ビジネスイメージ　悩み

企業に理由を問い合わせる際の注意点

面接後、不採用の通知を受け取ったとき、「不採用の理由を知りたい」と思うのは当然のことです。

しかし、企業に直接問い合わせる際には、いくつかの注意点があります。

① 企業側には「不採用理由を伝える義務がない」

まず、企業は、求職者に対して必ずしも不採用の理由を伝える義務はありません。

そのため、問い合わせても「お答えできません」と言われることもあります。

法律上の問題もあり、企業側が慎重になるケースも少なくありません。

② 問い合わせは丁寧に行う

不採用の理由を知りたい場合は、感謝の気持ちを伝えながら、丁寧な言葉遣いで問い合わせることが大切です。

NGな問い合わせ例
「なぜ自分は不採用になったのですか？理由を教えてください。」

OKな問い合わせ例
「今回の選考ではご縁がありませんでしたが、大変貴重な機会をいただきありがとうございました。もし差し支えなければ、今後の就職活動の参考にしたいため、改善点などをお伺いできれば幸いです。」

このように相手を気遣う姿勢で問い合わせることで、企業が答えてくれる可能性が高くなります。

模擬面接で課題を把握する

自分の面接での問題点を客観的に知るためには、模擬面接（模擬試験のようなもの）を活用するのが有効です。

模擬面接を受けることで、以下の点を確認できます。

話し方や表情、態度に改善点がないか
質問に対する回答が的確で分かりやすいか
企業側の視点から見て魅力的な応募者に映っているか

模擬面接は、以下の場所で受けることができます。

施設・サービス	特徴
就労移行支援事業所	障害者の就職支援を専門に行っており、面接対策が充実している
ハローワークの障害者窓口	無料で面接指導を受けられることが多い
地域障害者職業センター	個別相談や実践的な模擬面接を実施している
障害者就業・生活支援センター	企業との橋渡しをしてくれることもある

「自分ではうまく答えているつもりだったのに、実際には伝わっていなかった」といった発見があるかもしれません。

本番の面接の前に模擬面接を受け、フィードバックをもらうことで、確実にスキルアップにつなげることができます。

想定問答集を作成し対策する

面接では、企業からよく聞かれる質問がいくつかあります。

事前に「想定問答集」を作成し、回答を準備しておくことで、面接本番でもスムーズに受け答えができます。

◎よくある質問と回答のポイント

質問	NGな回答	OKな回答
自己紹介をお願いします	「えっと……私は〇〇と申します……」→準備不足が伝わる	「〇〇と申します。〇〇の経験があり、□□のスキルを活かしたいと考えています。」→簡潔で分かりやすい
できること・できないことを教えてください	「特にないです」→企業側が判断できない	「〇〇の作業は問題なくできますが、□□は苦手です。ただし、△△の工夫でカバーできます。」→具体的で伝わりやすい
なぜこの会社を志望しましたか？	「障害者雇用枠があったので」→動機が弱い	「貴社の〇〇の業務内容に興味があり、自分の□□のスキルを活かしたいと考えています。」→志望動機が明確

このように、よくある質問を事前に考えておくことで、自信を持って面接に臨むことができます。

また、作成した想定問答集をもとに、家族や支援者と練習するのも良い方法です。

支援者の面接同席を活用する

面接に自信がない場合や、企業とのやり取りに不安がある場合、支援者の同席を依頼するのも一つの方法です。

支援者がいることで、次のようなメリットがあります。

○支援者同席のメリット

企業との橋渡し役をしてくれる（求職者の強みや配慮事項を適切に伝えてくれる）
質問の意図が分からないときにフォローしてくれる（面接の途中で適切に補足してくれることがある）
面接の振り返りがしやすくなる（改善点を一緒に考えられる）

特に、次のような機関では、面接時の同席が可能な場合があります。

施設・サービス	面接同席の可否
就労移行支援事業所	○（支援員が同席し、企業とのやり取りをサポート）
障害者就業・生活支援センター	○（職業相談員が同席し、助言をしてくれる）
ハローワークの障害者窓口	△（場合によるが、相談は可能）

面接の場でうまく伝えられないことがあっても、支援者がフォローしてくれることで、企業側も安心しやすくなります。

「面接が苦手」「説明がうまくできるか不安」という方は、一度支援機関に相談し、面接同席をお願いできるか確認してみましょう。

障害者雇用における不採用の主な原因

障害者雇用において不採用となる理由は、求職者自身の課題だけでなく、企業側の採用基準や状況によるものもあります。

そのため、不採用の理由を知り、改善できる部分を見つけることが、次のチャンスをつかむためにとても大切です。

ここでは、よくある不採用の原因を詳しく解説していきます。

面接　面談　イメージ

就労に向けた準備不足

企業は、即戦力を求めているわけではなくても、基本的な職場でのルールや働く姿勢は重要視します。

社会人としての基本的なスキルが十分に身についていないと、企業側は「採用しても長く働き続けることが難しいのでは？」と判断することがあります。

以下のような点が課題として挙げられます。

◎企業が懸念する「就労準備不足」の例

課題	企業の不安	改善策
時間管理が苦手で遅刻や欠勤が多い	「勤務時間を守れるか不安」	・スマートフォンのアラームやスケジュール帳で時間管理を徹底する・起床・出勤時間のルーチンを作る
職場のルールやマナーに適応できていない	「指導しても改善されないかも」	・ビジネスマナー講座や就労支援機関での研修を活用する・職場のルールを事前に確認し、実践する
コミュニケーションが苦手で指示を理解しづらい	「業務の指示が伝わるか心配」	・簡潔に質問する練習をする・指示をメモする習慣をつける

◎対策：就労支援を活用し、基本スキルを身につける

もし上記のような課題がある場合は、就労移行支援や職業訓練を利用し、働くための基礎を学ぶことが大切です。

特に、就労移行支援では、模擬職場環境でのトレーニングを受けることができ、実際の仕事の流れやビジネスマナーを身につけられます。

働くための「土台」を整えることが、採用につながる第一歩となります。

能力のミスマッチ

企業が求めるスキルや経験と、自分の能力が合わない場合、選考の段階で不採用となることがあります。

これは、特に求められる業務スキルと、自分の経験や能力が一致しないときに発生しやすい課題です。

◎企業が感じる「能力ミスマッチ」の例

企業の求めるスキル	求職者の状況	企業の判断	改善策
パソコンスキル	「パソコンはほとんど使えない」	「業務に支障が出るかもしれない」	・基礎的な操作（Word、Excel）を学ぶ・職業訓練やオンライン講座を活用する
体力を必要とする作業	「持病の影響で長時間の立ち仕事ができない」	「仕事を続けるのが難しいかも」	・事務職や在宅勤務など、自分に合う職種を検討する
チームでの協力作業	「一人で作業する方が得意」	「チームワークを求める職場には向いていないかも」	・自分に合った働き方を探し、合う職場を選ぶ

◎対策：スキルアップや職種の見直し

「能力が足りていない」と感じた場合は、次のような対策を講じることができます。

職業訓練や就労移行支援でスキルを習得する（パソコン操作やビジネスマナーなど）
求人票をしっかり確認し、自分のスキルと合う仕事を選ぶ
企業の求めるスキルが高い場合は、段階を踏んで目指す（まずは簡単な業務から始め、経験を積む）

自分の適性に合った仕事を選ぶことで、不採用のリスクを減らすことができます。

企業の求める人物像と合わない

企業は、単にスキルだけでなく、会社の文化や価値観に合うかどうかも重視します。

そのため、企業側が求める人物像と応募者の考え方が合わない場合、採用が見送られることがあります。

試験官のポートレート

◎企業が重視する「人物像のマッチング」

企業の求める価値観	企業の懸念点	求職者への影響
チームワークを大切にする社風	「一人で働くことを好む求職者は合わないかも」	不採用になりやすい
積極性が求められる職場	「指示待ちの姿勢では困る」	期待する役割に合わないと判断される
安定して働ける人材を求める	「転職回数が多いとすぐに辞めるかも」	長期雇用の観点から敬遠される可能性