障害者枠の履歴書の書き方 | 基本ルールから配慮の記載まで徹底解説

障害者枠の履歴書の書き方 | 基本ルールから配慮の記載まで徹底解説

障害者枠の履歴書の書き方 | 基本ルールから配慮の記載まで徹底解説

障害者雇用枠における履歴書の作成は、採用担当者に「働く意欲」や「自分の強み」をしっかりと伝える大切なプロセスです。

一般的な履歴書作成のルールに加え、障害の内容や職場で必要な配慮について記載する際の注意点など、特別なポイントが求められます。

この記事では、履歴書の基本的な書き方、障害に関する記載方法、注意点、さらに採用担当者に響く自己PRのコツまで徹底的に解説します。

実際の履歴書例を交えながら、具体的でわかりやすい情報をお届けします。

就職活動を成功に導くために、ぜひ参考にしてください。

目次

障害者雇用枠の履歴書を書く際の基本ルールと注意点

履歴書は、あなたの経歴やスキル、強みを伝える「第一印象」のツールです。

特に障害者雇用枠の場合、採用担当者は履歴書を通じてあなたの人柄や働く意欲、さらには障害の状況や必要な配慮について理解しようとします。

そのため、正確かつわかりやすい記載が求められます。

履歴書を書く

履歴書作成の基本ルールと注意点

テンプレートの利用

履歴書は市販のテンプレートを使用するのが基本ですが、最近ではWeb上でダウンロードできるテンプレートも増えています。

障害者雇用向けのテンプレートでは、特別な配慮や障害内容を記載する欄が設けられている場合があります。

これを活用することで、効率的に履歴書を作成できます。

企業が指定したテンプレートがある場合は、それを優先して使用しましょう。

フォーマットの指定に従わないと、「基本的なルールを守れない」という印象を与えてしまう可能性があります。

手書きよりパソコンでの作成を推奨

履歴書は、手書きとパソコン作成のどちらでも問題ありません。

ただし、以下の理由からパソコンでの作成が推奨されます。

読みやすさ: パソコンで作成すると、フォントや配置が整っており、採用担当者が読みやすいです。

修正のしやすさ: パソコンでは誤字脱字をすぐに修正できるため、より正確な履歴書が作成可能です。

身体的な負担の軽減: 障害により手書きが困難な場合、パソコン作成が効率的で適切な選択となります。

特に、身体障害や視覚障害をお持ちの場合、手書きよりもパソコンを活用した方がストレスなく進められるでしょう。

標準的なフォントの使用

履歴書作成時には、以下のようなフォントとフォントサイズを使用すると良いでしょう。

推奨フォント: 明朝体、ゴシック体(標準的で読みやすいフォント)

フォントサイズ: 氏名や見出し部分は12pt以上、本文部分は10.5pt~11pt

フォントの選択によって履歴書の印象が大きく変わることがあります。

派手なフォントや特殊文字を避け、落ち着いた雰囲気を意識しましょう。

また、過剰な強調(太字やアンダーラインの多用)は控えめにすることをおすすめします。

履歴書作成における共通の注意点

誤字脱字に注意する

誤字脱字があると、細部への注意力が欠けている印象を与えかねません。

作成後は、必ず以下の点を確認してください。

  • 自分で声に出して読み直す。
  • 友人や家族、支援者にチェックしてもらう。
  • 無料の校正ツールを使用してスペルミスや文法ミスを確認する。

空欄を避ける

履歴書には、できる限り空欄を作らないように記載しましょう。

空欄が多いと、「熱意が感じられない」と思われる可能性があります。

  • 志望動機や自己PR欄を埋めるためのキーワードを準備する。
  • 質問項目に具体的なエピソードを交えて回答する。

応募企業に合わせた内容にカスタマイズ

履歴書の内容は、応募企業ごとに調整することが理想です。

特に、志望動機や自己PR欄は、企業の特徴や求める人材像に応じて具体的に記載しましょう。

たとえば、以下のような工夫が考えられます。

  • 応募企業の理念や事業内容に合わせた志望動機を書く。
  • 求められるスキルに関連する自己PRを記載する。

履歴書の各項目の記入方法

履歴書の記載項目には一定のルールがあります。

ここでは、主要な項目ごとに記入方法を詳しく説明します。

基本情報(日付、名前、住所、連絡先、写真)

日付: 応募書類を提出する日付を記載します。

郵送の場合は投函日、オンラインの場合は送信日を記載しましょう。

名前: フリガナ欄にはカタカナで記載します。

漢字とカタカナの表記を間違えないように注意してください。

住所: 都道府県から始めて正確に記載します。

郵便番号を忘れないよう注意しましょう。

連絡先: 携帯番号やメールアドレスを記載します。

メールアドレスはプライベートなものではなく、就職活動専用のアドレスを用意するのが望ましいです。

写真: 写真館や証明写真機で撮影したものを使用します。

清潔感のある服装と髪型を心がけ、背景は無地を選びましょう。

学歴・職歴

学歴や職歴は時系列順に記載します。

直近の職歴や学歴から遡る形で書くと見やすくなります。

学校名、会社名、現状の記載

学校名や企業名は省略せず、正式名称で記載します。

特に職歴の場合、所属部署や役職も加えると具体性が増します。

ブランク期間の記載は不要

障害者雇用枠では、ブランク期間が特に問題視されることは少ないため、無理にその理由を書く必要はありません。

必要であれば面接で補足説明を行いましょう。

免許・資格

関連性・難易度の高い資格から記載

応募先の職種に関連する資格を優先的に記載します。

また、難易度が高い資格は目に留まりやすいので、しっかりアピールしましょう。

例:

  • 簿記2級(経理職)
  • MOS(一般事務)
  • ITパスポート(IT関連職)

勉強中の資格も記入可能

現在取得に向けて勉強している資格があれば、「取得予定」として記載できます。

これにより、学ぶ姿勢や意欲を示すことができます。

例:

  • 簿記1級(取得予定:2024年3月)
  • Javaプログラミング資格(取得予定:2024年7月)

志望動機・自己PR

志望動機と自己PRは、採用担当者が最も注目する部分です。

企業に合わせた内容に調整し、熱意が伝わるように工夫しましょう。

自己分析

自分の言葉で記入

インターネットの例文をそのまま使うのではなく、自分の体験や考えを反映させることで、より説得力のある内容になります。

志望理由と自身の強みを具体的に

「貴社の多様性を重視した職場環境に魅力を感じ、自身のITスキルを活かして貢献したい」といった形で、志望理由と自身の強みを関連付けて記載すると効果的です。

障害に関する記載方法

障害者雇用枠の履歴書では、障害の内容や職場での配慮について記載することが求められる場合があります。

この情報は、採用担当者があなたの業務遂行可能性や職場環境での適応度を判断する重要な材料となります。

ただし、すべてを詳細に記載する必要はありません。

ポイントを絞り、分かりやすく簡潔に記載することが大切です。

デスクワークをする男性

障害内容の記載

専門用語を避け、分かりやすく具体的に

障害の内容について、以下のような記載方法を意識しましょう。

    • 「発達障害により、複数の指示を一度に理解することが難しいため、タスクを一つずつ整理して取り組む工夫を行っています。」
    • 「下肢に障害があるため、車椅子を使用していますが、オフィス内ではエレベーターを活用することで問題なく業務を遂行しています。」

良い例:

  • 簡潔で具体的な障害の内容。
  • 必要な配慮が明示されている。
  • 課題を克服する工夫が示されている。

避けたい例:

  • 「軽度の精神障害があります」など、抽象的な表現のみで詳細が不明。
  • 長すぎて要点が伝わらない。

実体験に基づく具体例の活用

採用担当者に信頼感を与えるためには、実体験に基づく具体的な例を記載することが有効です。

例文:

  • 「視覚障害がありますが、音声読み上げソフトを使用して経理業務を行っています。前職では、正確なデータ入力を実現し、ミス率を5%削減しました。」
  • 「精神障害のためストレスに弱い面がありますが、定期的な休憩を取りながら業務を調整することで、業務の継続性を保っています。」

必要な配慮の記載

必要な配慮については、採用担当者がイメージしやすい形で記載します

特に具体的な内容を簡潔に記載することが重要です。

具体的かつ簡潔に

採用担当者は、どのような配慮が必要かを具体的に知りたがっています。

そのため、抽象的な表現は避けましょう。

例文:

  • 「1時間に1回、10分程度の休憩が必要です。」
  • 「週に1度、通院のため早退する必要がありますが、事前にスケジュールを調整します。」
  • 「車椅子を使用しているため、段差の少ないバリアフリー環境での勤務を希望します。」

コミュニケーション方法の明示

職場でのコミュニケーションに関する希望がある場合も、具体的に記載することで採用担当者が配慮をしやすくなります。

例文:

  • 「業務連絡はメールやチャットツールでの対応を希望します。」
  • 「対面での指示に加えて、タスク管理ツールを活用していただけると助かります。」

自己肯定感を反映した記載

障害の内容や必要な配慮を記載する際には、ポジティブな自己肯定感を反映させることが重要です。

採用担当者は、あなたの障害内容を理解したいだけでなく、それをどのように克服し、業務を遂行する意欲や方法があるかを知りたいと考えています。

ポジティブな記載例:

  • 「私は聴覚障害がありますが、これまで手話や筆談アプリを活用して、職場のコミュニケーションを円滑に進めてきました。」
  • 「身体障害により一部作業が制限されますが、その分、効率化ツールを使い業務を短時間で正確に仕上げる工夫を続けています。」

避けたい記載例:

  • 「私には重度の障害があり、多くの作業が困難です。」(否定的な印象を与える記載)

障害者雇用枠の履歴書作成のポイント

障害者雇用枠で履歴書を作成する際には、特に以下のポイントを押さえて記載を進めましょう。

障害の状況は客観的な視点で記載

障害の状況を記載する際、感情的な表現は避けましょう。

客観的かつ事実に基づいた記載を心がけることで、採用担当者に正確な情報を伝えることができます。

ポイント・注意点

良い例:

  • 「身体障害者手帳3級を所持しています。」
  • 「視覚障害があり、文字情報を音声読み上げソフトで確認しています。」

避けたい例:

  • 「障害が原因で仕事が大変です。」(感情的すぎる記述)

必要な配慮は具体的に記載

配慮が必要な事項については、過度に遠慮する必要はありません。

ただし、具体的で現実的な範囲内で記載することが重要です。

例文:

  • 「1日4時間程度の勤務から始め、慣れてきたらフルタイム勤務に移行することを希望します。」
  • 「週に一度、2時間程度のリハビリのために遅刻する必要があります。」

成果を具体的に示す

障害者雇用枠での履歴書作成では、あなたがこれまで達成した具体的な成果を記載することが、採用担当者に強い印象を与えます。

成果は、数値や事実で示すことで、より説得力が増します。

成果を示す例:

  • 「前職では、月間データ分析の効率化を図り、作業時間を30%削減しました。」
  • 「顧客対応のスキルを活かし、クレーム対応から契約獲得まで繋げた経験があります。」

配慮事項を記載する際のバランス

履歴書に配慮事項を記載する際には、「できないこと」よりも「できること」に重点を置きましょう。

必要な配慮は具体的に記載しつつ、採用担当者に「この人は業務にどのように貢献できるのか」を想像させる内容が理想的です。

配慮事項の記載例:

  • 「短時間勤務から始め、業務に慣れるに従いフルタイム勤務を希望します。」
  • 「デスクワークを希望しますが、他の職務にも柔軟に対応可能です。」

就職活動全般における履歴書作成の位置づけ

履歴書は就職活動の第一ステップですが、それだけで全てが決まるわけではありません。

そのため、履歴書作成の段階で必要以上に悩むよりも、以下の点を意識してスムーズに進めることが重要です。

完璧を目指しすぎない

履歴書は、面接のきっかけを作るためのツールです。

完璧を目指しすぎて時間をかけすぎるよりも、完成度を80~90%に保ちながら早めに提出する方が有効です。

時間をかけすぎない理由

履歴書の細部にこだわりすぎると、就職活動全体のペースが遅くなります。

完成度を高めることは大切ですが、次のステップ(面接準備など)にも時間を割くよう心がけましょう。

フィードバックを活用する

履歴書の内容を他者に確認してもらい、フィードバックを受けることは非常に有効です。

  • 就労移行支援事業所: 専門スタッフが履歴書の添削やアドバイスを提供してくれる場合があります。
  • 友人や家族: 知人に確認してもらうことで、思わぬミスや改善点が見つかることがあります。

よくある質問

履歴書作成に関するよくある質問とその解決方法を以下にまとめました。

職歴が多い場合や無い場合の対応

職歴が多い場合

職歴が多い場合は、応募職種に関連するものを優先的に記載し、その他の職歴は簡潔にまとめましょう。

例:

「その他の職歴は別途、職務経歴書に記載します」と付け加えると、履歴書に余裕が生まれます。

職歴が無い場合

職歴がない場合、学業やボランティア活動、趣味の活動などを活用してアピールしましょう。

例:

  • 「大学時代に学生会の会計を務め、予算管理を行いました。」

本人希望記入欄の注意点

希望記入欄は、自分の条件を記載する部分です。

ただし、希望が多すぎると採用担当者にマイナスの印象を与える可能性があるため、控えめに記載しましょう。

良い例:

  • 「通勤が困難なため、在宅勤務も検討いただけると助かります。」
  • 「通院があるため、フレックスタイム制の活用を希望します。」

避けたい例:

  • 「完全に自分のペースで働ける職場を希望します。」(漠然として非現実的)

配慮事項が多い場合の対処法

障害の内容や配慮事項が多く、履歴書にすべて記載するのが難しい場合は、以下のように対応しましょう。

  1. 最も重要な配慮を優先して記載: 例:「週1回の通院」「車椅子使用に伴うバリアフリー環境」
  2. 補足資料を用意する: 配慮事項が多い場合は、履歴書とは別に「障害に関する詳細な説明書」を添付するとスムーズです。
  3. 面接で詳しく説明する準備をする: 面接の場で配慮事項について直接説明することで、採用担当者との信頼関係を構築できます。

就職活動のサポート

就労移行支援事業所の活用

就労移行支援事業所では、以下のような支援を受けることができます。

  • 履歴書作成の指導: 適切な記載方法をアドバイスしてもらえます。
  • 模擬面接の実施: 採用面接の練習を通じて、本番への準備が可能です。
  • 職業訓練: 働くためのスキルや知識を身につけることができます。

障害者雇用に特化した転職サイトの利用

スグJOB障害者」など、障害者雇用に特化した求人サイトを活用することで、以下のメリットが得られます。

  • 求人情報が豊富: 障害者雇用枠の求人に特化しているため、効率的に情報収集が可能です。
  • サポートが充実: 応募書類の添削や、企業との連絡を代行してくれるサービスも利用できます。

まとめ

障害者枠の履歴書作成では、基本ルールを守りつつ、障害の内容や必要な配慮を具体的かつ簡潔に記載することが重要です。

この記事を参考に、自分の強みや魅力を最大限に伝える履歴書を作成し、採用担当者に好印象を与えましょう。

就職活動を成功させるためには、履歴書作成だけでなく、面接対策や支援サービスの活用も大切です。

積極的に行動し、目指すキャリアを実現しましょう!

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