障害者雇用は手帳なしでも利用できる?制度と働き方を詳しく解説!
障害者雇用制度は、障害を持つ方が安心して働ける環境を整えるために、企業や政府によって設けられた重要な取り組みです。
しかしながら、障害者手帳を持っていない場合、この制度を利用できるかについて疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実際、障害を抱えているが、手帳を持っていない方々がどのようにして支援を受けたり、働いたりすることができるのかについても気になる点です。
この記事では、障害者手帳を持たない場合の雇用の選択肢や支援制度、さらには障害者手帳の種類や取得方法、取得するメリットについて詳しく解説します。
また、障害を持つ方が選べる働き方や、手帳がなくても利用できる支援制度についても取り上げていきます。
結論は「できない」
まず、結論からお伝えします。
原則として、障害者雇用枠を利用するためには障害者手帳の取得が必要です。
これは、法律上で定められた条件に基づくものであり、企業が障害者を雇用する際の雇用促進法の対象となるためです。
障害者雇用促進法では、身体障害者、知的障害者、精神障害者の3種類の障害者が対象として明確に定義されています。
これらの障害者の証明として、各種の障害者手帳が求められるのです。
障害者手帳を取得していない方の場合、障害者雇用枠での雇用を直接的に利用することはできません。
したがって、一般雇用枠での採用を目指すか、その他の支援制度を利用する必要があります。
一般枠での採用時には、事前に自分の障害について企業側に正直に伝えることが重要です。
多くの企業では、障害の種類や特性に応じて、配慮や支援を提供する取り組みが進んでいます。
手帳なしで働く方法はある
障害者手帳がなくても働ける方法はあります。
障害者雇用枠を利用しない場合、手帳がないからといって支援が受けられないわけではありません。
以下に、手帳を持たない方が選択できる具体的な働き方や利用可能な支援制度を解説します。
一般枠で事前に申告する
一般枠で採用される場合、障害を持っていることを企業に正直に伝えることで、配慮を受けることができます。
事前の申告によって、必要に応じた業務内容の調整や、職場のバリアフリー対応、勤務時間の調整など、さまざまな配慮を受けることが可能です。
特に、障害の種類や程度によっては、職場環境のわずかな変更が働きやすさに大きく寄与することもあります。
例えば、身体障害を持つ方であれば、車いすが使用できるようにデスクの配置を変更したり、障害者専用トイレを設置したりするなどの配慮が考えられます。
また、精神障害を持つ方であれば、ストレスを軽減するための定期的な休憩時間の確保や、業務の負担を軽減する調整なども可能です。
就労移行支援事業を使って就職を目指す
障害者手帳を持っていなくても、就労移行支援事業を利用することで就職を目指すことができます。
就労移行支援事業は、障害を持つ方が一般企業で就職し、安定して働けるようになるための訓練や支援を行うサービスです。
この事業は、主に手帳を取得している方が対象ですが、医師の診断書をもとに支援が受けられる場合もあります。
就労移行支援事業所では、働くための基礎的な訓練を提供するだけでなく、企業とのマッチングや職場実習の手配なども行っています。
実際の企業で働く前に、訓練を通じて就労スキルを身に付けることで、働く自信を持つことができます。
継続には就労定着支援事業も
就職が決まった後でも、継続して支援を受けることが重要です。
就労定着支援事業は、就職後の安定した就労を支援するサービスで、働く際に直面する課題や人間関係の構築をサポートします。
この支援を通じて、長期的に安定した職場環境を確保することができるため、精神的な負担が軽減され、働き続けやすくなります。
例えば、就職後に上司や同僚とのコミュニケーションに問題を感じた場合、就労定着支援事業では、コミュニケーションの方法を改善するトレーニングやアドバイスを受けることができます。
また、業務内容に関して理解が不足している場合も、適切な指導や研修を提供し、業務の定着を支援してくれます。
障害者手帳の種類と申請方法
障害者手帳には、大きく分けて3つの種類があります。
それぞれの手帳には異なる特徴があり、対象となる障害や申請方法も異なります。
以下で、各障害者手帳の特徴と取得方法を詳しく解説します。
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体に障害がある方が対象です。
この手帳は、視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、内部障害など、さまざまな身体的な障害に対応しています。
障害の程度に応じて1級から6級までの等級が設けられており、等級に応じた支援やサービスを受けることができます。
申請手続きは、まず医師の診断書を用意し、市町村の窓口で申請を行います。
その後、審査を経て手帳が交付されます。
手帳の取得によって、公共交通機関の割引や医療費の助成、自動車税の減免など、多くの生活支援を受けられるようになります。
療育手帳
療育手帳は、知的障害を持つ方が対象となる手帳です。
この手帳は、各都道府県によって発行基準が異なる場合がありますが、通常、A(重度)とB(軽度)の2つの区分に分けられています。
療育手帳を取得するには、児童相談所や療育センターで知的障害の診断を受け、申請することが必要です。
手帳が交付されると、福祉サービスの利用や税制の優遇、公共料金の割引など、多くのメリットが得られます。
また、障害者雇用枠での就労が可能となり、就労に対する支援や企業側からの配慮を受けることができます。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害を持つ方を対象とする手帳です。
この手帳は、うつ病、統合失調症、発達障害、双極性障害など、さまざまな精神疾患に対応しています。
手帳の等級は1級から3級まであり、等級に応じた支援やサービスが提供されます。
精神障害者保健福祉手帳を取得するためには、精神科医の診断書が必要です。
申請は市町村の窓口で行い、6か月以上の継続した症状が確認されると、手帳が交付されます。
この手帳を持つことで、医療費の助成や就労支援を受けられるほか、通院や服薬の支援が受けやすくなります。
障害者手帳取得のメリット
障害者手帳を取得することには、さまざまなメリットがあります。
以下では、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳を取得するメリットについて詳しく見ていきましょう。
身体障害者の方が障害者手帳を取得するメリット
身体障害者手帳を取得することで、公共交通機関の割引や自動車税の減免、医療費の助成など、多くの生活支援が受けられます。
例えば、JRやバス、タクシーなどの運賃が割引されるほか、自動車の運転免許を取得する際の講習料の減免なども適用されます。
さらに、雇用においても障害者雇用枠を活用できるため、企業からのサポートを得やすくなるという利点があります。
企業の配慮が受けやすい環境で働くことができるため、長期的に安定した雇用が期待できます。
また、住宅に関する支援や、日常生活における介護サービスの利用など、さまざまな制度が利用できるようになります。
精神障害者の方が障害者手帳を取得するメリット
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、精神科の通院費や医療費の助成が受けられることがあります。
これにより、精神的な不調がある際の治療費の負担が軽減されるため、治療に専念しやすくなります。
また、雇用においても精神障害者としての支援を受けやすくなり、特に企業内の配慮を受けることが可能です。
障害者手帳を取得しておくことで、就労支援を通じた適切なサポートが得られます。
さらに、定期的なカウンセリングやメンタルヘルスに関するサポートも受けやすくなり、安心して働く環境が整えられます。
障害を持つ人が選べる働き方
障害を持つ方には、いくつかの働き方の選択肢があります。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った働き方を見つけることが重要です。
以下では、オープン就労、クローズ就労、セミオープン就労の3つの働き方について解説します。
オープン就労
オープン就労とは、障害を持っていることを企業側に開示した上で働く形態です。
障害者雇用枠を活用することで、企業側からの配慮やサポートが得られやすくなるのが特徴です。
オープンにすることで職場内での理解が得られやすく、適切なサポートを受けながら働くことができます。
クローズ就労
クローズ就労は、障害を持っていることを企業に開示せず、一般の労働者として働く形態です。
障害の開示をしないため、障害者雇用制度を利用できませんが、特別な配慮を求めずに働くことを希望する場合に選ばれます。
また、自分自身の障害に対してサポートを必要としない方や、開示することに不安がある方に適した働き方です。
セミオープン就労
セミオープン就労は、部分的に障害を開示する働き方です。
例えば、特定の上司や人事部門にだけ障害を伝えることで、必要な配慮を受けつつ、同僚には開示しないといった形態が可能です。
障害の開示範囲を自分の状況に合わせて調整できるため、自分に合った働き方を選びやすくなります。
手帳なしでも利用できる支援制度
障害者手帳がなくても、利用できる支援制度はいくつも存在します。
以下に、手帳なしでも利用できる主な支援制度を紹介します。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象とした支援制度で、就職に向けた訓練やサポートを提供します。
手帳がなくても、一定の障害があることを診断された場合には利用可能です。
就労移行支援では、職場見学や実習の手配も行い、就職活動を支援します。
就労定着支援
就労定着支援は、就職後に働き続けるための支援を行います。
職場での課題やストレスへの対処法を学び、働き続けるための環境整備をサポートします。
例えば、定期的な面談を通じて、職場での問題を早期に発見し、解決策を提案してもらえます。
ハローワーク
ハローワークでは、障害者専用の窓口や専門の職業相談員が配置されています。
手帳を持っていない方でも、障害に応じた就職活動のサポートを受けることができます。
また、職業訓練の案内や就職後のサポートも受けられるため、幅広い支援が期待できます。
障害者職業センター
障害者職業センターでは、障害を持つ方が職業訓練や職場適応のための支援を受けることができます。
手帳の有無にかかわらず、障害に関する相談ができ、適切な支援を受けることが可能です。
また、職場での適応に関するカウンセリングや、業務の習得に関する指導なども行っています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターでは、就業支援に加えて、日常生活や生活設計に関する支援を提供しています。
手帳の有無にかかわらず、生活全般の相談を受け付けており、幅広いサポートが受けられるのが特徴です。
まとめ
障害者雇用枠を利用するためには、基本的には障害者手帳が必要です。
しかし、手帳を持たない場合でも、働くための選択肢や支援制度は数多く存在します。
一般雇用枠での採用や、就労移行支援事業の活用、就労定着支援の利用など、自分に合った働き方や支援方法を見つけることが重要です。
また、障害者手帳を取得することには、さまざまなメリットがあり、生活支援や就労支援を受けることで安心して働くことができます。
障害者手帳を取得することで利用できる制度や支援も多いため、取得を検討することも大切です。
自分の障害の程度や状況に応じた最適な支援を受けながら、働きやすい環境を整えることで、安定して仕事を続けることができます。
ぜひ、多様な支援制度を活用して、自分にとって最も適した働き方を見つけてください。