多発性筋炎・皮膚筋炎の人に向いている仕事と就職・転職方法

多発性筋炎・皮膚筋炎の人に向いている仕事と就職・転職方法

多発性筋炎・皮膚筋炎の人に向いている仕事と就職・転職方法

多発性筋炎(Polymyositis)と皮膚筋炎(Dermatomyositis)は、主に筋肉や皮膚に炎症を引き起こす自己免疫性疾患です。

この病気は筋力の低下や皮膚の異常を特徴とし、日常生活や仕事に影響を与える場合があります。

しかし、適切な治療と働き方を工夫することで、症状をコントロールしながら働き続けることが可能です。

本記事では、多発性筋炎・皮膚筋炎の概要や症状、治療法から、仕事への影響、向いている職種まで詳しく解説します。

多発性筋炎・皮膚筋炎とは

概要と症状

多発性筋炎と皮膚筋炎は、自己免疫疾患の一つで、筋肉に慢性的な炎症を引き起こす病気です。

筋力の低下が主な症状であり、皮膚筋炎ではこれに加えて皮膚に特徴的な症状が現れます。

ハンドクリームを塗る女性の手

以下は主な特徴です:

  • 筋力の低下:主に体幹部の筋肉(肩や腰回り)で筋力が低下し、物を持ち上げたり階段を上ることが難しくなる場合があります。進行すると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
  • 皮膚の異常(皮膚筋炎の場合):紫色の発疹(ヘリオトロープ疹)が目の周りや関節部に現れることがあります。また、ゴットロン徴候と呼ばれる手指の関節に紅斑ができるのも特徴的です。
  • 倦怠感:慢性的な疲労感が伴う場合が多く、体力を要する仕事が困難になることがあります。
  • 関節痛や呼吸困難:一部の患者では、関節痛や肺炎(間質性肺炎)を併発することがあります。

これらの症状は個人差が大きく、軽度から重度までさまざまです。

病気が進行すると、筋力低下が広範囲に及び、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。

治療法

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療の目的は、炎症を抑え、症状の進行を防ぐことです。

以下の治療法が一般的です:

  • 薬物療法:ステロイド(プレドニゾロン)は、炎症を抑えるための基本的な治療薬です。症状が改善しない場合、免疫抑制剤(メトトレキサートやタクロリムス)を併用することがあります。
  • 生物学的製剤:一部の患者では、抗体製剤(リツキシマブなど)が用いられることがあります。これらは免疫系の異常を抑えるために使用されます。
  • リハビリテーション:筋力を回復させるため、理学療法士によるリハビリテーションが行われることがあります。無理のない範囲で体を動かし、筋力低下を防ぐことが重要です。
  • 生活習慣の改善:適度な休息を取りながら、バランスの取れた食事を心がけることが推奨されます。また、ストレスを軽減するためのリラクゼーション方法も取り入れると良いでしょう。

多発性筋炎・皮膚筋炎が仕事に与える影響

多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋力低下や疲労感を引き起こすため、仕事にさまざまな影響を及ぼします。

胸をおさえる女性

以下は主な影響です:

  • 体力が必要な仕事が困難になる:重い荷物を運ぶ、長時間立ち続けるなどの業務が難しくなります。特に、症状が悪化すると体を動かすこと自体が負担となります。
  • 集中力の低下:倦怠感や痛みが集中力に影響を与え、デスクワークでもパフォーマンスが低下することがあります。
  • 定期的な通院が必要:治療や経過観察のため、定期的な通院が必要です。そのため、勤務時間や業務内容に柔軟性のある職場を選ぶ必要があります。
  • 突発的な休暇が必要になる場合がある:体調の変化によって急な休みを取る必要がある場合があります。これに対応できる職場環境が望ましいです。

多発性筋炎・皮膚筋炎の人に向いている仕事

おすすめの職種例

多発性筋炎・皮膚筋炎を抱える方が無理なく働ける職種には、以下の特徴があります:

  • 柔軟な勤務時間が確保できる仕事:在宅勤務が可能な仕事やフレックスタイム制を導入している職場は理想的です。
  • たとえば、Webデザイナー、ライター、データ入力などの職種が挙げられます。
  • これらの仕事は、体調に合わせてスケジュールを調整しやすい点がメリットです。
  • 体力的な負担が少ない職種:事務職や受付業務は、体を動かす必要が少なく、比較的負担が少ない仕事です。
  • また、シフト制で短時間勤務が可能な職場も選択肢に入ります。
  • 専門スキルを活かせる仕事:翻訳、通訳、プログラマー、カウンセラーなど、専門性が求められる仕事は、自分のペースで作業を進めやすい傾向にあります。
  • これにより、体調を考慮しながら働くことが可能です。

エンジニア・プログラマ

症状による休職の選択肢

多発性筋炎・皮膚筋炎の症状が重くなった場合、一時的な休職を検討することも重要です。

以下の選択肢があります:

  • 傷病手当金の活用:社会保険に加入している場合、休職中の収入補填として傷病手当金を申請することができます。
  • これにより、治療に専念する期間を確保できます。
  • 就労移行支援の利用:病状が安定した後、一般企業への復職を目指す場合、就労移行支援を活用することができます。
  • ここでは、スキルの再取得や職場環境への適応訓練を受けられます。
  • 障害者雇用の検討:多発性筋炎・皮膚筋炎が日常生活や仕事に大きな影響を与える場合、身体障害者手帳の取得を検討することができます。
  • これにより、障害者雇用枠での就職が可能となり、病気に配慮した働き方が実現しやすくなります。

多発性筋炎・皮膚筋炎の人の障害者雇用と障害年金

障害者雇用での就労可能性

多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋力の低下や疲労感などによって日常生活や仕事に影響を与える場合があります。

そのため、症状が進行して生活に大きな支障をきたす場合には、身体障害者手帳を取得し、障害者雇用枠での就労を検討することが可能です。

オペレーターとビジネスマン

障害者雇用では、以下のような配慮を受けられることがあります:

  • 勤務時間の柔軟性:体調に合わせた短時間勤務や、フレックスタイム制の利用が認められる場合があります。
  • これにより、通院や休息を取りやすい環境が整えられます。
  • 業務内容の調整:体力に負担が少ない業務(デスクワークや軽作業)への配属が可能です。
  • これにより、無理なく働ける職場環境を構築できます。
  • 休憩時間や体調への配慮:定期的な休憩を取りやすい環境が整えられたり、症状が悪化した際に柔軟に休みを取得できる職場が多いです。

障害者雇用枠で働くことで、症状に配慮した働き方を選べるだけでなく、職場でのサポート体制が整っている場合が多いため、安心して働くことができます。

雇用にあたり、企業と症状や配慮内容を事前にしっかり相談することが重要です。

障害年金受給事例

多発性筋炎・皮膚筋炎は、その症状や進行状況によって障害年金の対象となる場合があります。

障害年金は、治療や生活を支えるための経済的な支援を受けられる制度で、国民年金や厚生年金に基づいて給付されます。

障害厚生年金2級の認定ケース

40代・女性の場合

この女性は、多発性筋炎を発症し、体幹部や四肢の筋力低下が進行しました。

日常生活では以下の支障がありました:

  • 自力で階段の昇降が困難。
  • 短距離でも歩行が難しく、車椅子を必要とする状態。
  • 家事や日常生活の一部で家族の助けが必要。

医師の診断書には、以下の情報が記載されていました:

  • 筋力低下の具体的な程度(筋力測定結果など)。
  • 間質性肺炎の併発による呼吸機能の低下。
  • 日常生活動作(ADL)の制限内容。

これにより障害厚生年金2級に認定され、毎月の給付を受けることで治療費や生活費の一部を補填することが可能になりました。

彼女はその後、在宅勤務可能な仕事を見つけ、経済的な安定を取り戻しました。

障害厚生年金3級の認定ケース

50代・男性の場合

この男性は皮膚筋炎を発症し、以下のような症状が現れました:

  • 肩周りの筋力低下で腕を上げる作業が困難。
  • 長時間のデスクワークが体力的に厳しい。

医師の診断書には以下の内容が含まれていました:

  • 筋力低下が作業能力に与える影響。
  • 皮膚症状による外出や社会生活の制限。

これにより障害厚生年金3級が認定され、一定額の給付を受けながら、体調に合わせた短時間勤務を行っています。

この年金の受給により、無理のないペースで仕事を続けることが可能になりました。

障害年金の申請では、医師の診断書とともに、日常生活や就労状況を詳しく記載した申立書が必要です。

専門家(社会保険労務士)のアドバイスを受けながら手続きを進めることで、スムーズに受給を目指せます。

多発性筋炎・皮膚筋炎の人が就職・転職で利用できる支援サービス

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークでは、障害者雇用枠を含む幅広い求人情報を提供しています。

また、多発性筋炎・皮膚筋炎を抱える方にも利用しやすい支援が充実しています:

  • 職業相談:症状に配慮した職場を探すためのアドバイスを受けられます。
  • 履歴書の添削:応募書類の作成をサポートします。
  • 面接練習:企業ごとの対応ポイントを教えてもらえます。

ハローワークの障害者雇用窓口では、専門の担当者が体調や希望条件に合わせた求人を紹介してくれるため、自分に合った職場を見つけやすくなります。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害を持つ方の就労支援を専門的に行う施設です。

多発性筋炎・皮膚筋炎の患者さんにも以下の支援を提供しています:

  • 職業適性検査:スキルや体力に基づき、適した職種を提案。
  • 職場実習のアレンジ:実際の仕事を体験し、職場環境を確認。
  • 職場定着支援:就職後も職場に適応するためのアドバイスを提供。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害や病気を抱える方が一般企業で働けるよう支援する施設です。

ここでは、以下のようなプログラムを提供しています:

  • スキルアップ講座:パソコンスキルや事務作業のトレーニング。
  • 模擬職場体験:実際の職場を想定した訓練。
  • 就職活動のサポート:履歴書作成や面接対策。

特に、体調に合わせた無理のないスケジュールで訓練を受けられる点が魅力です。

障害者雇用に特化した転職サイト

スグJOBのような障害者雇用に特化した転職サイトは、多発性筋炎・皮膚筋炎の患者さんにとって有益な情報を提供しています。

主な特徴は以下の通りです:

  • 配慮事項が明記された求人:体調に合わせた勤務条件を提示する企業が多いです。
  • 専任エージェントのサポート:応募から面接までを手厚く支援。
  • 非公開求人の紹介:一般には出回らない求人情報にアクセス可能。

これらのサイトを活用することで、病気に理解のある職場を効率的に探すことができます。

まとめ

多発性筋炎・皮膚筋炎の人が働きやすい環境を整えるためには、症状や体調に応じた働き方を模索することが大切です。

障害者雇用や障害年金の活用に加え、ハローワークや就労移行支援事業所などの支援機関を積極的に利用することで、無理なくキャリアを続けることが可能です。

また、障害者雇用に特化した転職サイトなど、専門的なサービスを活用することで、自分に合った職場を効率的に見つけることができます。

自身の健康と向き合いながら、理想の働き方を実現しましょう。

 

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