現役栄養士インタビュー
T様インタビュー第三回:大規模デイサービスの一日のスケジュール
第3回の記事では、T様が転職された大規模デイサービスの一日のお仕事の流れと
具体的な調理方法や調理内容などをお伺いしました。
―――デイサービスでの1日の業務内容について大まかに教えてください。
調理、盛り付け、発注、栄養相談、料理教室、メニュー開発、発注などが主な仕事です。調理に関しては前日にある程度野菜を切るなどの仕込みをしてしまうため、当日調理するのは煮物類や焼き物類です。
朝簡単な冷菜の盛り付けをしたあと調理に入ります。
私の施設では酢飯のどんぶり(海鮮丼・鉄火丼・ネギトロ丼・シラス丼・ちらし寿司)の提供があるため、10時からはどんぶりの盛り付けが始まります。
丼の盛り付けは基本パートさんのお仕事ですが、合間に私たちも手伝います。
調理に関しては以下の4つの食事を出すのでいろいろな調理、食材をこまごま調理します。
食事名 | 調理内容 |
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定食1 | 前日セントラルキッチン(本施設の給食センター)から届くものを当日再加熱する。 |
定食2 | いろいろな定食のうちの1つが毎日日替わりで提供される。 前日仕込んだものを当日焼いたり煮込んだりする。(例:チキンステーキの日は鶏肉を焼く・ハンバーグの日はハンバーグを焼く・ヒレカツ定食の時はカツを揚げる・酢豚の日は豚を揚げる) |
丼 | こちらもいろいろなどんぶりのうちの一つが日替わりとして提供される。 酢飯のどんぶり日は前述のとおり。それ以外のどんぶりの日はそれぞれの調理をする。(例:親子丼の日は鶏肉を煮る。豚丼の時は豚を煮る) |
麺 | こちらもいろいろな麺メニューの中から一つが日替わりで提供される。 (例:ラーメンの日はタンメンの野菜を炒める。チャーシューを焼く。うどんの日はめんつゆをつくったり天ぷらを揚げる。かも南蛮そばの時は鴨を焼く。冷やし中華の時は具材を盛り付ける) |
栄養相談に関しては希望者があるときに利用者様の食事に関する悩みなどを聞いてアドバイスなどを行っています。
料理教室に関しては毎日違うメニューを行い、利用者様とお話ししながら一緒に料理を作るので利用者様との交流の場になっています。
脳梗塞などで手先が思うように動かない方にもご参加いただいています。
料理は頭も手先も使うので脳の活性化にも役立ち、脳トレになるとされています。
元気な料理好きな女性に関しては、私が言わなくとも次の工程を進んでやってくださったり、今度これを作りたいとレシピの切り抜きを持ってきてくださる方もいらっしゃいます。
印象になるエピソードとして90代の男性が参加したことがあってその男性は奥さんが料理をできなくなってしまったので料理を覚えて作ってあげるんだと言って参加してくださりました。
大規模デイサービスの1日のスケジュール
時刻 | 業務内容 |
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8:00 | 冷蔵庫・冷凍庫の温度測定・米とぎ |
8:30 | サラダ・和え物など、冷菜の盛り付け 食材の検品 |
9:00 | 利用者様へのお茶出し、調理開始 |
10:00 | 調理しつつ、海鮮丼などの盛り付けにも入る。 ご利用者様の名簿確認。選んだメニューのチェックと食数管理。 |
11:00 | 魚、肉類を焼く。制限食の準備。合間に明日の仕込み |
12:00 | 配膳開始 ホールの係の方にカウンターにお盆を並べてもらい、私たちは次々おかずを乗せる。 |
12:20 | 食器洗浄の手伝い。 |
―――この仕事をしていて一番の収穫はなんですか?
調理技術が上がって料理が得意になったことです。
最近ではレストランに食べに行っても材料が何で調理法がどういう風かも分かってしまう味覚になりました。
最近は外食しておいしかったものを自宅で再現することにはまっています。
もう一つの収穫は職場でモテたことです。
調理を仕事にしているということで家庭的に見えるらしく、自然とモテポイントをゲットしていたようでした。
おかげで同僚の方と結婚することができました。
料理が楽しいと思えるのもこの仕事をやっていたからだと思い、この仕事を選んでよかったと思います。
―――料理が得意になったのは最近のことなのですか?
実は大学も地元ですし、親元から離れたこともなく、母がご飯を作ってくれていたので家ではほとんど料理はしませんでした。
包丁を使った記憶もあまりなくて調理実習は苦手でした。
今こんなに料理が好きになったなんて当時の自分が聞いたらびっくりだと思います。
今は結婚しているので職場でも家でも料理漬けの毎日を送っていて、楽しいと思える仕事ができていて幸せです。