【栄養豆知識】病院で働く栄養士には違いがある?所属で違った待遇とは

【栄養豆知識】病院で働く栄養士には違いがある?所属で違った待遇とは
・病院で働く栄養士の仕事内容について
・所属で異なる仕事内容と待遇
・所属ごとのメリットとデメリット

栄養士が働く場所は、企業の社員食堂、介護施設や福祉施設、保育園など多岐にわたります。
そのなかでも病院は専門資格を取得することができ、キャリアアップには最適です。
栄養サポートチームなどのチーム医療の構成員に栄養士も含まれており、活躍の場が広いのが特徴です。
そんな病院に勤務する栄養士も所属や配置によって待遇が大きく異なります
今回は、病院で働く栄養士の所属による違いについて紹介しましょう。

病院で働く栄養士の仕事とは

病院で働く栄養士は、入院している患者さんの病気や状態に合わせて食事内容を調整し、食事から栄養状態をサポートします。
また、患者さんは退院した後も食事は続きますが、好みの食事ばかりであバランスが崩れがちです。
病気に適した食事摂取を促し、理解を深めてもらうように栄養指導も行います。
さらに最近では、栄養士の活躍の場は広がり、外来通院している患者さんにも医師の指示のもと栄養指導を行うようになりました

栄養士は栄養管理のスペシャリスト

私たちの生活になくてはならない存在、それは食事です。
糖質、たんぱく質、脂質、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで私たちの体を作ったり、日々の生活に必要なエネルギーを補給したりします。
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病には、お薬による治療ももちろん大切ですが、食事療法と運動療法を両立することでその効果を発揮することができます。
食事は私たちにとって当たり前の存在のため、認識が薄い傾向にありますが、その大切さをわかりやすく説明するのが病院で働く栄養士の大切な仕事です。

栄養士はどんな仕事をしている?

患者さんの病気や栄養状態に合わせて栄養管理を行うといってもなかなかわかりにくいですね。
例えば、高血圧や透析を行っている人は、塩分制限をして血圧を低めに保つ必要があります。
そのため、入院中の食事では減塩食といって食塩を一日6g以下にするように栄養設計を行います。
私たち日本人は、古くから食塩を上手に使用しながら生活してきました。
食塩量が減ると味が薄くて物足りないと感じる人がとても多いです。
しかし、病態をコントロールするためにも塩分制限をしっかりと行う必要があります。
食事は私たちの楽しみの一つなのでだしを使って味付けをしたり、食事を楽しんでもらうような工夫をするように患者さんと面談を行いながら食事内容を提案します。

病院で働く栄養士は所属で仕事と待遇が違う?

病院で働くという意味では、栄養士という職業に大きな違いはありません。
しかし、いざ内部で働くとなるとその環境の違いに驚きを覚えます。
『大学病院で栄養士として働いているんだよね』と一言で言ってもその実態は大きく異なるというのがこの業界の特徴です。
ここでの違いは、病院に正雇用されているのか委託業者に雇用されて病院で働いているのかという点です。
結果的に同じ病院で働いているかもしれませんが、その仕事内容は大きく異なります。

正雇用の栄養士と委託の栄養士の仕事内容

病院に勤務している栄養士は、病院に雇用されている場合と、委託業者に雇用されている2つのパターンに分けられます。
栄養部という部署で働いているという点では同じです。
この2つの大きな違いは、任されている仕事内容が異なります。
病院に雇用されている栄養士は、主に病棟や外来での栄養管理や栄養指導をしています。
委託業者に雇用されている栄養士は、主に調理室での調理や配膳を行っています。
栄養士という資格は同じでも所属で仕事内容がこれほど違うというのも珍しい職種ですね。

病院に雇用されている栄養士の待遇

病院に雇用されている栄養士はそれほど多くなく、病院の規模によりますが10~20名程度です。
患者さんとの対面する業務がほとんどで、病院ならではの白衣を着る機会もあります。
給与形態も好条件であることが多く、基本給は月で18~25万円程度となります。
これに加えて、資格手当(栄養サポートチームや管理栄養士)など福利厚生も充実しており、ボーナスも出ます
キャリアアップにも向いているため、向上心のある栄養士が狙っているため、狭き門であるというのが最大の特徴です。

委託業者に雇用されている栄養士の待遇

委託業者に雇用される栄養士は、主に調理現場で働く場合が多いです。
そのため、栄養士というより調理師の方がイメージつきやすいかもしれません。
ただ、栄養士の中には調理師とは違うと考える人も多く、働き先の仕事内容次第では転職の多い職種になります。
しかし、委託業者雇用の最大のメリットは仕事量の分散や休暇の取得しやすさにあります。
委託業者に雇用されている栄養士は病院に正規雇用されている栄養士と比べて数が多いので、シフトや休日が調整しやすいからです。
最近では、栄養士と調理師を分けて雇用している場合も増えてきており、委託業者に雇用されている状態でも栄養士として病棟活動を行っている施設も増えてきました。
栄養士の需要が求められており、働きやすい環境に移行しつつあるというのがここ数年の大きな変動といっても過言ではないでしょう

まとめ

栄養管理のスペシャリストである栄養士は、病院で患者さんの栄養や食事管理を行うことでその専門性を十分に発揮することができます。
同じ病院で働く中でもその雇用や所属先で働き方が変わるというのも珍しい職種ではないかと思います。
近年、栄養士と調理師との隔たりが見直され、キャリアアップを目指す栄養士には追い風となり働きやすい環境が整いつつあります。
働き先を選ぶときは、提示される条件だけでなく、現場の栄養士がどのように働いているかを確認するようにしましょう。

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