【現場のホンネ】「働いてよかった」栄養士冥利に尽きる3つの出来事

【現場のホンネ】「働いてよかった」栄養士冥利に尽きる3つの出来事
・病院、老健施設、保育園での業務内容の違い
・栄養士として働いて感じたやりがいとエピソード

私は、小さい頃将来どんな仕事をしようかなとよく考えていました。
これという具体的な仕事が思い浮かぶことなく、小学校、中学校、高校と進学してもはっきりとした答えに行きつくことなく部活に明け暮れている青春時代を過ごしました。
父は土木関係、母は保育士として働いていましたが、この2つの仕事に就きたいと思うこともなく過ごしていたとき、ふと栄養士になりたいと思うようになりました。

私が栄養士になろうと思った理由は、「食事を通してみんなの役に立ちたい」です。
今回は、そんな栄養士冥利に尽きる、働いていてよかったと思った3つの出来事についてお話します。

これまで働いたことのある職場について

私はこれまで3つの職場で働いたことがあります。
おそらく多くの栄養士は、結婚などの特別な事情がない限り職場を変えることは少ないでしょう。
ですので、病院、施設、保育園という3つの職場で培った経験は、私にとってとても意味があることと感じています。

病院の栄養士

大学を卒業して私が初めて就職したのが病院です。
病院では、入院患者さんへの治療の一環として、食事の提供に携わりました。

病院での栄養士と聞くと、多くの方は患者さんのご飯を作るのが仕事と勘違いされることが多いですが、実際は調理が主な仕事ではありません。
患者さんの病気に合わせて食事内容を決めるのが主な仕事です。
 
例えば、血圧が高い患者さんには塩分を控えた減塩食、糖尿病の患者さんには糖質や脂質に偏らないバランスの取れた糖尿病食、手術後の患者さんには消化の良い食事を提供します。

老健施設の栄養士

私の勤めていた会社は、病院だけでなく施設や保育園など様々な領域に力を入れていました。
職場の方針として、1つの職域に偏らずにいろいろ経験をして見聞を広げるということを掲げていたので、数年ごとに部署の異動がありました。

私はこの異動で病院から施設に配属することになりました。
病院では、病気が発症して薬や食事などで治療を行ったりする急性期と病気の状態は比較的安定しているため病気が再発したりしないように観察を行う慢性期まで、幅広い患者さんの栄養管理に携わりましたが、老健施設のように利用者様の年齢層が高齢の場合も、栄養士として関わっていく内容がガラリと変わります。

特に、噛む力や飲み込む力の低下が目立ちます。
ほかにも年齢を重ねると食事に対する好みにも変化があるため、食事を楽しむという観点からも栄養バランスだけ気を使っていればよいということはありません。
 
病院とのギャップが大きかったので最初は戸惑いましたが、この施設での経験が今でも生きています。

保育園の栄養士

今は保育園に配属となっています。
ここでの利用者様は赤ちゃんから小学校に上がるまでととても若い年齢層となります。
保育園では園児から先生と呼ばれ、保育士さんのように仲良く接しています
働いた当初は結婚もしていなかったので子供たちと毎日触れ合うのはとても新鮮な毎日でした。

栄養士として働いて感じたやりがい

栄養士として働いても、ただ単に仕事をこなしているだけでは、やりがいを感じることは少ないかもしれません。
食事をする人の気持ちを考えて、一生懸命行動することで初めてやりがいを感じることができるのではないでしょうか。

私がやりがいを感じた、栄養士冥利に尽きる3つの出来事を紹介します。

病気の治療とおいしい食事を両立させた結果もらえた「ありがとう」

入院中は特に問題なければ普通食が提供されます。
この普通食は皆さんが普段想像する食事とほぼ同じものです。

それに対して、持病などで制限がかかっているときの食事は「おいしくない食事だ」と思われることでしょう。
確かに制限が入っているということは、味が薄くなったり、野菜が多くなったり、量が多くなったりこれまでの食生活とは大きく異なる場合が多いです。

そこで私たち栄養士は、制限がかかったなかでも食事をおいしく提供できるように患者さんと面談を行って、患者さんの味の好みをすくいあげます
味の感じ方やこだわりは患者さん一人一人異なるので、それぞれに対応することはとても大変です。
それでも「あなたのおかげで入院中もご飯がおいしく食べられたよ」と声をかけてもらうと栄養士として働いていて良かったと何とも言えない気持ちに浸ることができます。

好みに合わせた調理方法でお皿がからっぽに

老健施設に入っている人は元気な人も多いです。しかし、食事を飲み込む嚥下機能が落ちていて誤嚥するリスクが高かったり、食べ物を噛む咀嚼機能が落ちてしまって硬いものを食べることができない人もいます。

人の三大欲求のなかに食欲があるように、人生の中で食事はかなり大きなウエートを占めます。
この食事を好きに摂れないことは苦痛以外のなにものでもないでしょう。

ただ、嚥下機能や咀嚼機能を気にしていると食事の見た目や味はどうしても悪くなってしまいます。そのため、リスクを抑えつつ見た目や味をどれくらい保つかがポイントです。

食事は見た目がとても大切な要素です。
栄養を入れていればいいわけではなく、食事を楽しむためにも一人一人の状態を気にした調理方法の選択を行うことが栄養士の責務となります。
昨日まで余っていた食事が空になって帰ってくるとやったとガッツポーズです。

からっぽのお皿を持ってくる園児に感激

保育園では、離乳食・普通食・アレルギー食など多くの調理方法や食材選択をしなければなりません。
味に敏感なお子様もいるので、にがい・からいは非常に敏感な反面、あまいは大好きです。
食べる量も少ないため、作る量自体はそれほどではありませんが、作る種類には四苦八苦します。

ただ、園児の素直さにはかないません。美味しかったからになったお皿を給食室までもって走ってきます。
「先生~!給食美味しかったよ~」と元気な声を聴けるだけで頑張ったかいがあります。
また、保護者から「うちでは全然食べないのに保育園だとたくさん食べてるみたいで…」なんて聞けたらたまらないです。
もちろん、お母さんには保育園のレシピや注意点を給食新聞などで情報共有することも欠かせません。

最後に

栄養士は、人に必要な食事の面からアプローチすることのできる唯一の職業です。
病気だからと諦めていた食事をおいしく楽しむこと、お皿がからっぽになるような調理をすることなど頑張って仕事をすれば感謝の言葉が返ってくる、とてもやりがいのある仕事です。
みんなの笑顔を見たいから今日も私は食べる側の立場になって栄養士をしています。

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