栄養豆知識
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【お役立ち】福祉施設の管理栄養士に必要なスキル

    2019.12.06
    【お役立ち】福祉施設の管理栄養士に必要なスキル
    ・円滑なコミュニケーションを常にとる
    ・臨機応変な対応力
    ・最新の知識を得る機会があれば積極的に参加する

    福祉施設の管理栄養士のお仕事をご存じでしょうか。
    具体的に、高齢者施設、障がい者施設が主な職場になります。
    今回はそのような福祉施設の管理栄養士に必要なスキルについてお話いたします。

    福祉施設の管理栄養士に必要なスキル

    ① コミュニケーション力

    栄養についての知識はもちろん大切ですが、コミュニケーション力も、栄養の知識に匹敵するくらい重要と言えます。
    入居者とのコミュニケーションも非常に大切になってきますが、福祉施設の管理栄養士は、一つの施設に1人体制もしくは少人数体制が主になります。
    そのため、栄養に関する業務はほぼ一人でこなしていかなければなりません。

    厨房も、委託給食会社が入っている場合は他会社の方として対応する必要がありますし、介護、医務、事務とのやりとりも一人の管理栄養士が行っていくのです。
    そのため、時には自分一人では対応しきれない事態や、新しくやりたいことが生まれた場合等は、他職種との連携・協力が必要不可欠になっていきます。
    協力してもらうためには、他職種と毎日コミュニケーションをとることが特に大切なのです。
    医務や介護と連携して、入居している方の健康状態等の情報を共有したり、厨房の日々の状態を把握、入居者の食事時の状態を理解してもらうために情報提供したり、事務に入居者の健康状態から見える今後必要になってくるものについての相談をしたり。
    円滑なコミュニケーションを常にとることが、入居者の健康維持へダイレクトに関わってくるのです。

    ② 臨機応変な対応力

    福祉施設では、他職種で常に入居者に対応しています。
    そのため、栄養業務以外にも対応することも時にはあります。
    目の前の入居者の状態が悪くなった場合等は、医務と連携する必要があり、救急要請の対応をすることもあります。

    事務所に待機する管理栄養士であれば、来客対応することもありますし、厨房に待機する管理栄養士であれば、厨房業務が押している場合はヘルプで入ることもあります。
    食事の時間の介助を行うこともあるかもしれません。入居者の通院の場合は運転手になることもあります。
    このように栄養業務だけでなく、常に施設の状況を見て動く対応力が必要になってくるのです。

    ③ 意見を発する力

    福祉施設に配置される管理栄養士は、介護や医務等と比較すると基本的に少人数です。
    そのため、管理栄養士から食のこと、栄養のこと、衛生のこと等自発的に発信していかないと、他職種に気付いてもらいにくいものです。
    会議等でも、ぜひ積極的に意見を伝えるようにしましょう。

    管理栄養士としての意見を伝えることが、最終的に入居者の満足度を高めることにつながります。
    また、栄養業務に関することも積極的に周りに発信していくことが必要になります。
    栄養業務を理解してもらうことが、周りの協力を得られる近道になり、より質の高いサービスを作ることになるのです。

    ④ 栄養管理についての知識

    管理栄養士として一番重要なのは、やはり栄養管理についての知識です。
    入居している方全般が栄養管理の対象者になってきます。
    そのため、リスク判定だけではなく、食事の摂取状況、病状の把握、精神的な面の把握等も大切になります。
    これらすべてを配慮して、食事の量、形態、自助具や食器の選定も行っていきます。

    経管栄養剤や、栄養補助食品に関する知識も必要で、一人一人に合わせた食事の内容を検討していかなければなりません。
    入居者の食事をする様子をよく見て、なぜ食べにくそうにしているか、どんなものを使用すると食べやすくなるかを検討し、必要なものを試していくことが大切です。

    ⑤ 給食管理についての知識

    厨房が直営か、委託かでも変わってきますが、福祉施設では給食管理業務は大切な業務です。
    日々施設で入居者の入退所数に変動があり、また、食形態の変更も日常茶飯事です。
    そのため、常に食事形態、入居者数を把握し、発注量・調理数を調整する必要があります。
    また、入居者の様子を常に見ることで、いま目の前の入居者にはどんな食形態があっているか判断する力も大切です。

    ⑥ 情報収集力

    福祉施設の管理栄養士は、一つの施設のごく少数しか配置されないため、病院等に比べると最新の栄養についての情報をキャッチするのが難しいです。
    そのため、積極的に外部研修等に参加することも大切になります。
    最近では地域連携も重要と言われるようになったので、外部研修等でほかの職場の職種とつながっていくことも非常に大切です。

    いかがでしたでしょうか。
    福祉施設の管理栄養士は、比較的幅広い職種と密に接し、入居者ともコミュニケーションをとりながら様々な業務をこなしていくことが必要になります。
    だからこそ、喜んでいただけたときの達成感が大きく、勤務する中で幅広い様々な分野の知識や経験を得られます。

    また、業務自体は幅広いですが、管理栄養士は基本的に少人数なので、
    仕事のペース、やり方を自分で調整しやすいのも特徴です。
    加えて食に関する専門家は職場の中ではほぼ自分自身だけになりますので、「自分の理想の食事」を比較的作りやすいです。

    やりがいのある福祉施設の管理栄養士業務。
    ぜひチャレンジしてみてくださいね。