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本当にそれでいい?摂食障害→管理栄養士となった私が伝える本当のダイエット

    2020.01.23
    本当にそれでいい?摂食障害→管理栄養士となった私が伝える本当のダイエット

    本当にそれでいい?摂食障害→管理栄養士となった私が伝える本当のダイエット

    日本の「痩せ」=「美」という行き過ぎた植え付け

    こんにちは。今日は「ダイエット」についてお話させていただきます。
    私は、17歳の時拒食症を患いました。
    1日300㎉生活。パンの白部分とワカメがお友達。
    そんな生活を送っていたことがあります。
    太る=自分には価値がない。痩せることだけが、唯一の自信でした。

    きっかけは、ささいな「ちょっと痩せたい」という思春期心でした。
    痩せていくことが面白かったですし、周りからも「きれいになったね」「どうやって痩せたの?」と聞かれて嬉しくて、なんだかちょっぴり人気者になった気持ちになりました。
    しかし、それはやがて、抑えることのできない不安へと変わっていきました。
    どれだけ痩せこけていっても、自分は太っているという誤った認識が私を支配していたのです。
    後から聞いた話ですが、その頃は周囲から「骸骨」と呼ばれ私の体型は誰一人怖くて触れられなくなっていたそうです。
    私は、奇跡ともいえる1人の管理栄養士さんとの出逢いで命を救われ、今こうして管理栄養士として働くことができていますが、近年は若者の痩せが社会問題となるほど酷い状況となっています。

    「痩せる」ことは、本当に美しいことなのでしょうか?
    ダイエットとは本来「健康的な食生活やライフスタイル」を意味する言葉でもあるのです。
    「ダイエット」を正しく理解し、心身ともに健康であることこそ、一番その人が輝くために必要なことであると私は考えるようになりました。

    とにかく痩せたい。女性たち

    美脚・抜群のスタイルにあこがれる女性は非常に多いですよね。
    そうなりたい理由が「きれいになりたい」「憧れのあの人に近づきたい」などというポジティブなものであれば、とても良いことだと思います。
    しかし、その根本を辿っていくと多くの場合が、「今の私は醜い」「今の私では価値がない」「今の私では愛されない」などという非常にネガティブで、自己否定が強い場合が多いのではないでしょうか?

    たとえぽっちゃり体型でも幸せな人は山ほどいますし、それがいいと胸を張って言える女性も沢山存在していますが、ほとんどの女性は「痩せ」にこだわり続けます。

    自己評価、自己肯定感が低く自分を認められない。
    何かで注目されたくて必死に痩せを演じてみせる。

    それは、本来のダイエットから大きくかけ離れた概念であり、自身をどんどん「健康」から遠ざけることになります。
    彼女たちの心の叫びが「痩せたい」願望に火をつけるのではないでしょうか?
    「痩せたら、ほんとうに幸せですか?」「痩せたら、どんな感情を味わえますか?」ということを一度考えてみてほしいのです。

    痩せたい本質的な理由が、体型の問題以外なのであれば、根本的な部分を解決しなければ、その痩せたい願望はどこまでいっても、消えることがなく、気づいた時には、病気になっていたということになりかねません。

    食は、本来、「人」を「良く」すると書きます。
    また、「食欲」「睡眠欲」「性欲」は人間の三大欲求でもあり欠かすことのできない欲でもあるはずです。
    今一度、自身で立ち止まって考えることが必要なのではないでしょうか?

    体重と見た目 本当の美しさとは

    体重が落ちれば、見た目はある程度細くなり、細身の服装やスカートも似合うようになります。女性としての自信が沸き、嬉しい気持ちになることでしょう。
    そこで減量を中止し、今の自分を維持していこうと切り替えることができれば、その減量は、成功といえると思います。

    しかし、多くの場合はその段階から「もっと」「もっと」と痩せの追求の歯止めが利かなくなっていくのです。
    本当の美しさとはなんでしょうか?
    私もその答えを探してきた1人でもあります。そして10年かけてこんな持論にたどりつきました。

    ①「体重に囚われない私であること」
    ②「体型やスタイルが整っていること」
    ③「どんな自分でも好きだと言えることこと」

    その3つでした。

    それを創り上げるためには、普段からの食生活を整えることはもちろん、適度な運動習慣を持つことが必要です。
    体重という変動が激しいものに左右されない心と、自己肯定感を持つことも大切でした。
    見た目で人は測れないのです。外だけ着飾っても、内面もそれに伴っていなければ、やがて辛くなる時が訪れるのです。

    まさに、WHOが出している健康の定義「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」に当てはまるのではないでしょうか?

    本当のダイエットとは

    今、日本に蔓延しているただ細くなるためのダイエットは、私はダイエットではないと考えています。
    心身ともに美しくなること。体型美人こそが、本当の意味でのダイエット成功者であると思います。そのためにも、私たち管理栄養士ができることは、正しい食の知識の普及啓発はもちろん、ダイエットの弊害や、一生を棒に振ってしまう事態に陥ってしまう場合もあるという恐ろしい真実を伝えていくことだと思います。

    正しい食の知識は、生まれた瞬間から一生涯必要です。
    小さいころの食事が将来どんな影響を与えのか?という食育から始まり、食品と、その栄養素の説明や興味付け。
    食事と人間の発育。思春期の体の変化と食事。青年期となれば、疾病と食事の関連。
    そして、老年期では、老後を健康に過ごすための食事選択の伝達。
    人生のそれぞれのステージで必要となる情報も変わります。

    つまり、その人の一生涯に寄り添える仕事であるということでもあるのが私たちのお仕事であり、面白みでもあると思います。
    情報社会である現代社会において溢れんばかりの情報から正しい情報を取捨選択するためには、正しい基礎知識を持つことは必要不可欠なことではないでしょうか?
    心身をすり減らすダイエットではなく、食事を楽しみ、人生を楽しみながら、健康を追求していくことが本当に大切なことだと思います。
    食を大切にする=自分を大切にするということだと私は考えます。
    本当のダイエットを成功させ、自身の幸福度が上がり、人生を彩るためのダイエットとなるような支援が必要なのだと強く感じています。