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【栄養豆知識】商品開発の現場で活躍する栄養士の役割とは?

    2020.01.27
    【栄養豆知識】商品開発の現場で活躍する栄養士の役割とは?
    ・食品メーカーの開発現場で活躍する栄養士
    ・商品開発を行う上で大切なこと
    ・商品開発に向いている栄養士は?

    食事は私たちの生活にはなくてはならない存在です。
    空腹を満たし、一日の活動に必要なエネルギーを補うだけではなく、食卓を囲む家族や恋人と楽しい時間を分かち合うことができます。
    この食事に密接にかかわっている職業は栄養士と管理栄養士であり、ともに健康な人な病気を持っている人の栄養管理を行っています。
    そのため、栄養士や管理栄養士はご飯を作っている人と誤解している人は数多く存在しているようです。
    栄養士の活躍の場はご飯を作るだけにとどまらず、新しい商品の開発にも関わっていることをご存じでしょうか。
    今回は、普段なかなか触れることのない栄養士・管理栄養士の商品開発に携わる一面をご紹介しましょう。

    栄養士が関わる商品開発とは

    栄養士や管理栄養士が普段行っているのは往々にして栄養管理です。
    食事を食べる人の健康や病気の状態に合わせて必要な栄養を計算しながら食事、つまり献立を決めます。
    商品開発は、食品メーカーなどの企業に所属している栄養士が、その時代の市場ニーズや健康意識などに合わせて新しい加工食品やサプリメントなど新たに生み出していくことを指します。
    ただ単においしいものを開発すればいいわけではありません。
    栄養士の視点、つまり、栄養学ありきでなければその場しのぎにしかならず、本来の意味での商品開発は達成されません。

    商品開発は食品メーカーで行っている

    栄養士や管理栄養士が働いている場所は主に給食センターや病院、食堂など食事を提供するところが多い傾向にあります。
    商品開発は、企業の研究所で行われます。
    意見を収集するために現場に出向くことはありますが、活躍の場は本社や工場、研究所など多岐にわたります

    商品開発のやりがい

    加工食品やサプリメントは、健康な人の食事のサポートや補助、病気を持っている人の嗜好性向上、嚥下機能が低下した人の誤嚥防止など様々な役割を担います。
    特に、食べることが難しくなった人にとって、食べておいしいと感じることは何事にも代えられない大きな喜びとなります。
    栄養士である以上、食べておいしいだけでは不十分です。
    おいしく食べることができるのはもちろんのこと、不足しがちな栄養素を補えるように栄養面でも工夫をし、目指している品質にたどり着くまで試行錯誤を続けます
    出来上がった商品を口に入れる瞬間に立ち会うことは難しいですが、自分が担当した商品の商品化はとてもやりがいを感じます。
    ドラッグストアで私が担当した商品が並んでいるのをチェックするのはやめられませんね。

    商品開発を行う上で大切なこととは

    食品メーカーという性質上、いくら良い商品を作っても売れなければ意味がありません。
    どうにかして食べてもらいたい、こうやって工夫すれば食べてもらえるなど、現場には個別対応が求められますが、私たち商品開発を担う栄養士には個人より多数をターゲットとした商品開発が求められます。

    利益を追求しなければならない

    商品が売れることを目的とするからには、会社の利益を追求しなければなりません。
    そのため、自分の経験を生かして作りたい商品を作るだけでは世間のニーズと乖離してしまう可能性があります。
    もちろん、自分の経験が商品に還元されることも多く経験しますが、市場ニーズを網羅的に取り込むことで、多数をターゲットとした商品開発を行うことが可能となります。

    栄養学以外の知識も必要

    発案から商品化、販売まですべて自分で担当することはありません、栄養学のみでは力不足を感じます。
    開発する商品の目的を決めるためにマーケティングとの連携が欠かせません。
    このマーケティングを理解するためにも、データを解析・分析して理解する統計学的な能力も必要です。
    また、利益のためにコストを考える必要があります。
    いくら良い商品が開発できても元が取れなければ会社として成り立ちませんね。

    商品開発に向いている栄養士とは

    多くの栄養士や管理栄養士は、世にある食材や商品を駆使して個別栄養管理を行います。
    商品開発に関わっている栄養士や管理栄養士は、現場で使われる商品を開発します。
    そのため、商品開発には、『モノ作りが好き』という気持ちが重要です。
    私ならこうするのにと応用力が利くことも武器となります。
    働き始めてすぐに商品開発に携わる栄養士は少数派です。
    現場を知っている栄養士は重宝されます。
    そのため、商品開発に関わる栄養士は転職組が半数以上を占めています。

    現場を知っている栄養士は強い

    現場を知らずに商品開発を行っても机上の空論でしかありません。
    病院や福祉施設などで日々生まれるクリニカルクエスチョン(働くなかで生まれた臨床的な疑問点)が商品開発に欠かせません。
    サンプルを作った際にモニターしていただくのは患者さんだけでなく、現役栄養士にも行います。
    ここで聞くことのできる生の声が思いのよらない発想であったり、厳しい意見であったりしますが、吸収・改善することでよりよい商品となることは間違いありません。

    現場は栄養士の転職を求めている

    商品開発の栄養士の募集欄をよく見ると『臨床経験あり求む』の文字の記載をよく目にします。
    これを見ても、商品開発には現場の意見が求められているのを感じることができますね。

    まとめ

    食事は私たちにとってなくてはならない存在です。
    おいしく食べるということはかけがえのない幸せを感じることができます。
    商品開発に関わる栄養士は、持っている栄養の知識でおいしいだけでなく、食べる人の立場に沿った視点で食べやすさやおいしさを両立させます。
    患者さんの生の声だけでなく、現場の栄養士の声、つまり、日々のクリニカルクエスチョンを求めています。
    これからの商品開発にあなたの経験を是非生かしてみませんか。