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【栄養豆知識】「うま味調味料」は安全?成分と減塩効果について

    2020.01.24
    【栄養豆知識】「うま味調味料」は安全?成分と減塩効果について

    「うま味調味料」は安全?成分と減塩効果について

    お料理にパッとかけるだけで美味しさがぐんと増すうま味調味料
    食卓に必ず置いてある、というご家庭も多いのではないでしょうか。
    最近では減塩効果も期待されています。
    しかし、体に悪いという話もよく聞きますよね。
    うま味調味料とは何なのか、本当に安全なのか、減塩の方法についてお話しします。

    うま味調味料は安全なの?

    うま味とは

    「うま味」は「旨味」とは別のものです。
    「旨味」が感覚的な美味しさを表すのに対し、「うま味」は特定の物質による味を表しています。
    人間が識別できる食べ物の味には、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5種類があり、基本味と呼ばれています。
    基本味とは、他の基本味を組み合わせることではつくられない味で、舌の味細胞によって感知されるものです。うま味とは食べ物の味の要素の一つなんですね。
    和食に欠かせないだし汁は、食材の中からうま味成分を抽出したものです。
    “だしが効いていて美味しい”というのはこのうま味のおかげなんですね。
    こんぶのグルタミン酸、煮干しやかつお節のイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸などが代表的なうま味成分で、アミノ酸や核酸といった化学物質がその正体です。

    うま味調味料の成分は?

    多くのうま味調味料は、グルタミン酸ナトリウムが主成分です。
    こんぶのうま味成分であるグルタミン酸を、ナトリウム塩にして結晶化させたものです。
    サトウキビやキャッサバ、トウモロコシなどのデンプンを原料とし、発酵させることで作られています。
    このグルタミン酸ナトリウムを主体に、かつおだしのイノシン酸ナトリウムや干し椎茸のグアニル酸ナトリウムを配合して作られています。

    なぜこれらの成分を配合したのでしょうか?
    うま味には動物性食品と植物性食品を合わせることでその味がより一層強くなる、相乗効果という作用があります。
    日本料理ではこんぶ(グルタミン酸)とかつお節(イノシン酸)を組み合わせて出汁をとりますよね。
    西洋料理や中華料理では野菜類(グルタミン酸)と肉類(イノシン酸)を組み合わせてスープをとります。
    「うま味の相乗効果」は世界中で古くから料理にいかされてきました。
    うま味調味料は、この相乗効果を利用することで、少量でも料理に「うま味」を効かせ、美味しくすることができるのです。

    うま味調味料の体への影響

    うま味調味料は、摂りすぎなければ安全です。
    グルタミン酸とは、私たちの身体を作るために必要なアミノ酸の一つです。
    そしてグルタミン酸は、食べ物に含まれるタンパク質から日々摂取しています。

    うま味調味料は、かつて石油由来の原料から生産されていたものもあります。
    そのために、発がん性がある、危険、という認識が広がってしまいました。

    しかし現在は天然植物を用いた発酵法で生産されており、安全性は世界でも認められています。
    とはいえ、どんな食材も摂りすぎは良くありません。
    砂糖や塩と違い、うま味調味料はたくさん入れても味が濃くなるものではありません。
    グルタミン酸ナトリウムは一定量を超えると、味の濃さが一定になるとも言われています。
    そのため必要以上に使用してしまいがちです。
    各メーカーの推奨する使用の目安を参考に、それぞれの料理にあった適正量で使用するのがよいでしょう。

    うま味調味料に減塩効果について

    減塩効果はあるの?

    うま味調味料を上手に利用することで、少ない塩分量でも美味しい料理にすることができます。
    高血圧をはじめとする生活習慣病の予防には、食塩(ナトリウム)の摂取量を減らすこと=減塩が必要です。
    減塩には薄味調理が基本です。しかし、薄味の料理は物足りなく感じますよね。
    そんな時にうま味をプラスすることで、塩分が少なくても美味しく仕上げることができます。
    うま味調味料に含まれるナトリウム量は食塩の約1/3、使用量はほんの少し(料理の塩分量の5−10%)でよいので、うま味調味料を使用すると美味しく減塩ができるということなんですね。

    ただし、先述したように使いすぎは厳禁です。
    たくさん使えばそれだけナトリウム量も増えます。
    薄味で調理をした上で、物足りなければプラスするというのが原則です。
    美味しく減塩するには、他にも「お酢やレモン汁の酸を利用する」、「香辛料などを利用する」といった方法があります。さまざまな方法を取り入れながら、うま味調味料も上手に使っていきましょう。具体例を紹介しますね。

    汁物の味が薄いと感じる時に

    味噌汁やおすましの味が薄いなと感じた時、味噌や醤油・塩を加える前にうま味調味料を一振りしてみてください。これだけで出汁のうま味が増し、美味しい味噌汁・おすましが出来上がりますよ。

    お浸しや浅漬けに

    お浸しや浅漬けは、塩分が多くなりがちです。
    醤油の使用量を減らし、うま味調味料をひとつまみ程度足すと、素材の味に深みがでて美味しく塩分が抑えられます。

    下味の塩を置き換える

    お肉や魚は、臭みをとったりやわらかくしたりするために下味をつけますよね。
    その時、塩の代わりにうま味調味料を使うのもオススメです。
    肉や魚に含まれるイノシン酸はうま味調味料のグルタミン酸と相性抜群
    相乗効果でうま味がより強く感じられますよ。