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【栄養豆知識】行事食は調理が大変?お月見の行事食の献立をご紹介します。

    2019.05.29
    【栄養豆知識】行事食は調理が大変?お月見の行事食の献立をご紹介します。
    ・行事食とは?
    ・お月見の行事食のレシピ
    ・行事食を作るときのアドバイス

    病院や施設で働いている栄養士さんにはとても馴染み深い「行事食(ぎょうじしょく)」
    その日だけの特別メニューが提供されますので、行事食を楽しみにしている入院患者さんや施設の利用者さんはとても多いです

    行事食の調理工程は、普段の調理工程と比べてどのような違いがあるのでしょうか?
    お月見の行事食を例にあげて紹介いたします。
    私が働いていた病院のレシピも紹介しますので、お月見の行事食の献立に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

    行事食とは?

    行事食とは、季節ごとの行事やお祝いの日に食べる特別の料理のことです。

    お正月のおせち料理や冬至のかぼちゃ料理など、日本の伝統的な行事に由来するものが多いですが、他にクリスマスケーキなども広い意味で行事食と言えます。

    入院患者さんや施設の利用者さんに一番人気の行事食は
    何といっても、土用の丑の日に提供されるうなぎ料理(うな丼、肝吸い)でしょう。
    この日は病院中が朝からにぎやかになるくらいのビッグイベントです。

    お月見の行事食のレシピ

    私が現役の頃に働いていた病院では、お月見の行事食が出されていました。

    お月見と言えば、お月見団子を連想する人が多いのではないでしょうか。
    もちろんお月見団子もありますが、それ以外のメニューもあります。

    お月見の行事食は、具体的にどのようなものが提供されるのか
    私が働いていた病院で実際に提供した献立を紹介いたします。

    鯖(さば)のゴマ照り焼き

    鯖はあらかじめ切り身で発注すると、さばく手間がありません。

    1. 水で洗い、薄く小麦粉をつけます。
    2. すりごま大さじ1、しょうゆとみりんとさけ大さじ1.5×人数分を混ぜ、10分お魚を漬け込みます。
    3. 味が染み込んできたところで鉄板に並べ、スチームコンベクション(数十人分の魚を一気に焼くことが出来る電子レンジのような機械)に入れて15~20分焼きます。
    4. 中心温度を確認して、75℃以上あれば完成です。

    里芋と人参の煮もの

    お月見と言えば里芋も欠かせません。

    1. かつおだし1と1/2カップ、しょうゆとみりん大さじ1と1/2×人数分のだし汁を作ります。
    2. 里芋は皮がむかれた冷凍のものを注文し、たっぷりの水に入れてしっかりと煮立ったらザルにあげて水をまわしかけます。
    3. 里芋と乱切りにした人参をだし汁に入れて、煮立ったら弱火にして落し蓋をして10分~15分煮ます。
    4. 味が染み込んだところで完成です。

    銀杏の炊き込みご飯

    1. 殻を割って実を取り出した銀杏を浸るくらいの量の沸いたお湯で塩ゆでし、薄皮を剥きます。
    2. 炊飯器に研いだお米を入れ、昆布1枚(約10㎝)、酒大さじ2、しょうゆ大さじ1、塩少々×人数分入れ、通常の目盛りまで水をたします。
    3. 最後に銀杏を上にのせて普通炊きをし、昆布を取り出し完成です。

    さつまいものお月見団子

    1. さつまいもをスチームコンベクションで蒸し、皮をむいてつぶします。
    2. そこに砂糖小さじ1、しょうゆ小さじ2、みりん大さじ2を入れて混ぜ、丸めます。
    3. 丸めたさつまいもに卵黄を塗って、その上からごまをふり、スチームコンベクションを使って10分軽く焼き色がつくまで焼いて完成です。

    行事食を作る際のアドバイス

    行事食を作るにあたって気を付けること

    鯖のゴマ照り焼きの場合は、魚が禁食の人もいるので、鶏肉のゴマあんかけで代用しました。
    作る工程は同じなので、違う鉄板に魚と肉を分けることで、同時に完成させることが出来ます。

    その他には、禁食の人の代替えはなかったので、比較的悩むことなく準備をすることができました。

    さつまいものお月見団子の場合は、一つ一つ丸めないといけないので、時間がかかりました。
    一人の人がお団子を担当し、後の2人で他の品物に取り掛かります。

    約100人分の食事をいつも3人でまわしており、行事食を作る時は、普段よりも手の込んだものを作ることが多いので、仕事はいつもより時間に追われることになります

    それでも、一緒にお仕事している方たちはもうベテランのように手際がいいので、私自身も他の方のやり方を学びつつ、仕事に取り掛かることが出来、普段よりも大変な行事食も楽しく作ることが出来るのだと思います。

    連携プレイがさらに求められる

    普段の食事についても、禁食や、アレルギー、刻み食やミキサー食などの特食についてしっかりと考えて気を付けたうえで、スピードが求められます。

    お仕事の効率がいいという事ももちろん大事なのですが、連係プレイがしっかりしていることが何よりも重要視されています。
    作業をする前に、一人ひとり役割分担を決めてから作業に取り掛かるように、あらかじめ段取りを組んでおくことで、少し手間のかかる行事食も、時間通りに用意することが出来ます。

    日頃から、それぞれの得意分野を知っておくと、役割分担しやすいのではないかと思います。

    また、役割分担をあらかじめ行っておくことで、「何をしていいのかが分からない…」と、悩む時間をカットすることが出来ると思います。

    私が新人の頃は、「仕事は自分で探せ!」と教えられましたが、正直このやり方は誰にでも通用するものではないと思っています。
    役割分担をし、自分が何をするかを把握しておくことで、作業に取り掛かりやすくなり、効率よく作業が進むと思います。

    その中で、どうやったらもっと効率よく作業が出来るのかを自分であみだしていける向上心が持てると、社会人として早く成長することが出来るのではないでしょうか。

    まとめ

    病院の行事食は、特に長期で入院している人にとっては、楽しみの一つとして感じると思います。

    作業は普段よりも少し手間がかかりますが、食べる人が喜んでくれるのを想像すると、頑張ろうと自然と思えてきます。