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現役栄養士インタビュー(2) 「総合病院と高齢者施設でのお仕事」

    2019.08.02
    現役栄養士インタビュー(2) 「総合病院と高齢者施設でのお仕事」

    現役栄養士インタビュー

    前回の記事に引き続きフリーランスの管理栄養士、渡辺愛理様にお話を伺いました。

    今回は渡辺様が総合病院と高齢者施設で働いた経験
    それぞれの施設で嬉しかったことや大変だったことについて本音で語っていただきました。

    病院や高齢者施設で働いていらっしゃる栄養士さんはもちろん
    これから働こうと思っていらっしゃる方、就職活動中の方などもぜひ参考にしてみてください。

    渡辺様インタビュー第二回:総合病院と高齢者施設でのお仕事

    ―――まずはじめに病院で働いていたとのことですが、病院の規模や特徴も交えながら、どんな仕事をしていたのか業務内容を教えていただけますか?

    新卒で入職した病院は、148床の総合病院で、内科、眼科、脳外科、リハ科など複数の診療科がありました。主な仕事内容としては、厨房にて、下処理・調理・盛り付け・洗浄を行ったり、嚥下食や特別職の調理などを行っていました。食数的には、だいたい朝・夕が100食、昼が140食くらいです。

    ―――厨房でのお仕事が多かったのですね。

    はい。その傍ら、納品に来たものを検品したり、事務所で食事せんを給食ソフトに入力したり、透析の栄養指導で使用する食事記録をソフトに入力し、資料作成をしたり、病棟にて、栄養管理計画書を作成したり、週1回程度、栄養指導をしたりもしていました。

    ―――食事せんとは何ですか?

    食事療法を行うため医師の指示内容を示した書類のことです。

    患者様の感謝の言葉が励みに

    ―――病院でのお仕事は大変でしたか?

    そうですね。厨房でのミスが直接患者様に時には危険な状態にさらしてしまうことがあるので(配膳ミスなど)、自分が配膳チェックなどに入るときはいつも緊張感を持ってしていて、配膳後、病棟から連絡がないかなど毎回ヒヤヒヤしていました。

    ―――それは緊張しますね。

    あとは、病院で食事を3食提供しなくてはいけないので、早番・日勤・遅番の3交代シフトだったので、体力的にきつかった時期もありました。
    しかし、その分、早起きが苦手だったんですが、目覚ましなしでも起きれるようになりました。

    ―――想像以上にハードな環境だったんですね。

    でも、嬉しいこともありました。

    ―――嬉しいこと?

    毎週火曜日と金曜日に選択メニューを実施しており、そのAまたはBメニューどちらにするかを患者様の部屋にお伺いして聞いていたのですが、その際にかけてもらった、「いつも美味しい食事を作ってくれてありがとう」の言葉が涙が出るほど嬉しかったですね。
    「病院の食事はまずい」ってところから管理栄養士を目指しているので余計にそう感じたのかもしれません(笑)

    高齢者施設でのお仕事

    ―――その後、渡辺様は高齢者施設に転職するのですが、高齢者施設に決めた理由は何だったのでしょうか?

    お給料や福利厚生などがしっかりしていたこともあるのですが、スタッフさんに良い人が多いなと感じたことが決め手となりました。
    高校時代に毎年部活で訪問演奏をしていましたので、顔見知りの方が多くて安心感もありました。

    ―――そのようなご縁があったのですね。高齢者施設での業務内容についてもお聞かせいただけますか?

    40床の介護老人保健施設で働いていました。老健の隣には、通所リハビリ施設と、内科・小児科のクリニックが併設しています。
    何かあるとクリニックの医師がすぐに診察をしてくれる体制が整っている場所でした。
    主な仕事内容としては、施設側栄養士としての採用だったので、栄養ケアプランの作成、献立作成、会議の出席、それに付随する資料作成、食事介助、食事ラウンドなどです。
    給食自体は、委託していましたが、委託側の人手不足により、入職し2ヶ月後には、厨房での配膳チェックや盛り付け業務も追加業務となっていました。

    ―――病院勤務の時よりも栄養に関する業務が増えましたね。
    高齢者施設で印象に残っている出来事はありますか?

    一番嬉しかったのは、利用者さんとのコミュニケーションですね。
    「今日のおやつは何?」と毎日利用者さんと会話する時間があることだったり、忙しくてなかなか食事が見にいけていない時もあったのですが、「渡辺先生、いつもありがとう」とニッコリと近寄って行ってくれる利用者さんを見て私もほっこりとしていました。

    ―――お仕事が大変だと感じたことはありましたか?

    はい。高齢の方が多く、飲み込みにくいものが出て来たり、加工の大きさで誤嚥につながってしまうリスクがあったので、ベテランの調理員の方へどうやって伝えたら、理解し、実践してもらえるかというところが課題でした。
    しかし、利用者さんとコミュニケーションを図ることにより、だんだんと言いやすくもなっていきました