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現役栄養士インタビュー(2) 介護福祉施設と社員食堂の仕事の違い

    2019.08.23
    現役栄養士インタビュー(2) 介護福祉施設と社員食堂の仕事の違い

    現役栄養士インタビュー

    大阪栄養士ナビのインタビュー第二弾をお届けします。

    Y様インタビュー第2回:介護福祉施設と社員食堂の仕事の違い

    第2回の記事では、Y様の前職である社員食堂での業務内容
    それぞれのお仕事の共通点や違いなどを語っていただきました。

    ―――ところで、介護福祉施設で働く前は、どこで働いていましたか?

    以前は大企業の社員食堂で働いていました。短期大学を卒業してすぐに就職して、子供を産むまで働いていたので、7年ほど働いていましたね。

    ―――社員食堂ではどのようなお仕事をされていましたか?

    社員食堂では、主に調理業務がメインでした。大きな会社だったので栄養士さんの数も多く、栄養士らしい業務は管理栄養士さんや先輩がやってくれていたので、私は調理や後片付けを主に担当していました。

    それに、社員食堂は個々に合わせて献立を考える必要もありませんでしたし、難しい栄養計算をしなくても良かったので、栄養士としての業務が少なかったというのもありましたね。
    栄養士というよりも、食堂のおばちゃんと言った方がイメージしやすいかもしれません(笑)

    一日の流れとしてはこんな感じです。
    ①食材のチェック
    ②調理開始
    ③料理の提供
    ④後片付け
    ⑤翌日の下準備

    ―――お仕事の時間はどのような感じだったのでしょうか

    社員食堂も昼食のみの提供だったので、夜勤などは一切なく、残業もほとんどありませんでした。
    ただ、作る量とメニューの種類が多いので、調理に時間がかかってしまう分、朝早くから出勤する必要がありました。
    出勤時間は朝7時で、退勤時間は16時でした。

    ―――こちらも朝は早かったんですね。

    休憩はありましたが、一日中ほとんど立ちっぱなしなので、かなり体力のいる職場でしたね。

    妊娠・出産を期に社員食堂を退職、そして復帰

    ―――答えづらい質問かもしれませんが、社員食堂から介護福祉施設に転職したのはなぜでしょうか?

    転職したきっかけは妊娠・出産です。
    子供を産んだら専業主婦になろうと思っていたので、産休を取るという頭は全くなく、当然のように社員食堂を退職しました。
    そしてそのまま、栄養士として復帰するつもりはありませんでした

    ―――出産を期に退職される方は多いと聞きます。栄養士に復帰したきっかけはなにかありましたか?

    専業主婦として一日中家にこもっていると、なんだか自分がなくなってしまう気がするんですよね。
    家事や育児をするだけのロボットのような…。
    家事や育児って、やって当たり前みたいに思われてるじゃないですか。
    だからどれだけ頑張っても、誰も認めてくれないんです。

    それがだんだん辛くなってきてしまって、もっと、「すごいね!」「ありがとう!」って言ってもらいたくなってしまったんです。
    それで栄養士として再就職を決意し、現在の職場で働き出しました。

    以前の職場に戻るという選択肢もありましたが、もっと栄養士としてやりがいのある仕事に就きたいと思ったので、介護福祉施設を選びました。

    ―――家族の反対はありませんでしたか?

    反対はありましたね。主人は反対していました。
    私が働くことが嫌と言うわけではなくて、私が働くことで自分に家事や育児の負担が来ることが嫌だったみたいです。
    でも「私が全部やるから!あなたに負担はかけないから!」とお願いして認めてもらいました。

    結局働き始めたら、家事や育児を積極的に手伝ってくれるようになったんですけどね。

    経済的にも余裕ができたので、自由に欲しい物を買えたり、年に数回は旅行にも行けて、今では逆に感謝されています。
    優しい旦那様で助かってます(笑)

    社員食堂と介護福祉施設の業務の違い

    ―――それぞれの職場の業務の違いってありますか?

    違いがあるというか、全く違いますね
    同じ栄養士と言っていいのか、正直分からないほどです。
    栄養士と言う職業は、病院や学校、幼稚園など、それぞれの職場で、職務内容が全然違うと思います。

    まず、社員食堂では、数百人分の食事を作るという業務がメインでした。
    栄養管理は特に必要のない健康な方を対象としているので、普通においしさを重視していましたね。
    人気メニューはラーメンやうどん・そばといった麺類でした。

    日替わりランチと、定番メニューを数種類準備しておいて、社員の方が好きなものを注文するというスタイルだったので、一人一人の栄養を考える必要もなかったです。
    決して楽な職場ではありませんが、責任感は特に必要ありませんでした。

    ―――介護福祉施設はどうでしたか?

    介護福祉施設では、献立を考えるのが一番のメイン業務でした。
    一人一人健康状態が違うので、それぞれに合わせてメニューを考えなくてはいけません。
    嚥下障害(食べ物をうまく呑み込めない状態)がある方や、内臓に疾患のある方など、症状は千差万別。
    それを一人一人把握して、流動食(りゅうどうしょく)やきざみ食、減塩メニューなどで対応します。

    さらに全体的な栄養バランスも大切なので、できるだけ色々な食材を使うようにしたり、野菜とお肉のバランスを考えたりなど、とにかく考えて考えての毎日です。
    なので、同じ栄養士という仕事ですが、前職と現職では全く違う仕事みたいですね。