現役栄養士インタビュー
A様インタビュー第二回:特別養護老人ホームでのお仕事
第2回の記事では、A様が新卒で就職された特別養護老人ホームでの勤務について
栄養士のお仕事内容や一日のスケジュールついて語っていただきました。
―――最初に勤務された特別養護老人ホームはどんなところでしたか?
施設は入居者200名程度で調理員が25名程度のシフト制で早番、中番、遅番に分かれて働いていました。主な仕事内容は、献立作成は栄養士が複数いたので月交代で行っていたので、厨房に入ることが多かったです。その他には系列のデイサービスに配達する役目もありました。
―――調理のお仕事が多かったのですね。
A様の一日のスケジュールの流れはどのような感じでしたか?
まず早番が4時30分出勤で2名体制で行います。遅刻は絶対に許されません。
食事自体は1日のなかで簡易的ではあるものの、2人で行うというのは息を合わせて行う必要がありました。
例えば、ご飯のスイッチを入れ忘れてしまったことがありましたが、つかさず気づいてフォローしてもらったこともあり、お互い助け合っていました。
常食や軟食、ミキサー食なども入居者別に間違わないように配膳していきます。
朝の配膳が終わると、自分たちも朝食を食べて一息つきます。
そして、中番がくるといよいよ昼食の準備が本格的に始まります。
昼食は職員分やデイザービス分があり、400食作っていたので、遅番も出勤するとみんなで一斉に調理、盛り付け、配膳に取り掛かり、1日の中で一番慌ただしい時間帯になります。
配膳車に乗せて各フロアまで運び、お味噌汁をよそうのも仕事の一つです。
実際に利用者の方とお話できる貴重な時間で、料理の味や、献立の感想を教えてもらえるので、とても参考になりました。
お昼が終わるとおやつを作ります。
残ったおやつは職員で食べることができたので、束の間の楽しみでした。
そして夕食作りをし、食べ終わったお皿を洗浄し19時30には業務終了です。残業はほとんどありませんでした。
一見ハードに見えますが、シフトは3日行って休みのサイクルだったので、肉体的には疲労はたまりづらかったです。
落ち込んだ時や相談に乗って欲しい時には同期で集まり、夜が更けるまで話しました。
―――職場の環境は働きやすかったですか?
はい。内定をもらえたのも施設長が母校のOBということもあり、同期4人のうち、私を含めた3人が同じ学校の卒業生で、同期としてはとても心強い存在でした。
覚えることも多く、上司から怒られることもありましたが、落ち込んだ時や相談に乗って欲しい時には同期で集まり、夜が更けるまで話込んでいたのも思い出の一つです。
―――例えば、どのようなこと落ち込んだのですか?
特に1年目は社会人としても未熟ですし、調理技術も未熟で、野菜一つ切るにも大きさや厚みが揃わなかったり、スピード面でも遅かったので、早めに出勤して量をこなせるようにしていました。
何度も指を切りましたが、1年もすると先輩方に少しずつ近付くことができ、戦力として認めてもらえるようになってきました。
―――厳しい経験をした分、早く成長できたんですね。
2年目になると主菜や副菜などのメイン料理も任されるようになりました。
大量調理なので、何をするにしても工夫が必要で、煮物に味が染み込むちょっとしたコツやカラッと揚げる天ぷらのコツなど掴めるようになり調理を楽しむ余裕がでてきました。
献立作成においては、サイクルメニュー(あらかじめ決めたメニューを一か月などの一定期間で繰り返すこと)をベースにしつつ、本などを参考に新メニューを組み込みますが、牛肉の炒め物の時に牛肉が縮みすぎてしまい、盛り付けると貧相になってしまうと調理員の方から注意をうけた苦い思い出があります。
しかし、失敗を繰り返しながら、栄養バランスだけでなく、調理工程のバランスを見られるようになってくると栄養士としての成長を感じることができました。