現役栄養士インタビュー(5) これからの栄養士に求められること

現役栄養士インタビュー(5) これからの栄養士に求められること

現役栄養士インタビュー

A様インタビュー第五回:これからの栄養士に求められること

第5回の記事では、A様が管理栄養士を取得した経緯と勉強方法について、
また今後の栄養士に求められることは何かを伺いました。

―――管理栄養士を取得したのが社会人になってからということですが、どのように勉強しましたか?

そうなんです。人生の中で一番頑張ったことかもしれません。転職を考えた時に、管理栄養士があるほうが求人の選択肢が増えると思い、実務経験を3年積んで、国家試験に挑みました。毎日の勉強は通勤中に携帯でひたすら過去問を解きました。とにかく過去問を繰り返し繰り返し解きました

過去問も正解をみるだけでなく、どこが間違えてるの分かるまで解説を読み込みました。
仕事との両立もあり、睡眠時間はきちんととるようにし、勉強時間と遊ぶ時間のメリハリをつけるようにしました。
休みの日は、国家試験対策の予備校に通いました。
予備校では一年かけて科目ごとに授業をし、解説をしてくれます。
模試を受けることもできるので、自分がどの程度理解しているか確かめることができます。
社会人の合格率は数%とハードルは高いのですが、病院栄養士であれば臨床の分野に強いですし、給食の栄養士であれば、給食管理や食品学に精通しているので、実体験を得て習得することもあるので、その分野は突き詰めていくことで得点源になります。
また、苦手な分野もあると思いますが、捨て教科は作らずにまんべんなく勉強し、どの教科も平均的に点数をとらなければ合格への道はなかなか厳しいと思います。
働きながらの勉強は精神的に追い詰められ時もあり、長期的に続けるのは嫌だ!と思ったので絶対に一回で受かる!という思いで1年間勉強に取り組みました
社会人受験だと目標が明確なことが多いんですよね。結果、なんとか一発で合格することができました。
卒業後、クラスで管理栄養士を取ったのが10人いないくらいだったので、そのくらい卒業してしまうと遠のいてしまう資格かもしれませんが、栄養士としてのキャリアアップのためにも目指したい資格だと思います。

近年、栄養士は指導する立場というよりは支援する立場に変わってきています

―――今後、栄養士に求められることはどのようなことだと思いますか?

海外の食文化を知ることが必要だと思います。
日本の人口は減少傾向で、外国人労働者も増えています。
数年たてば自分達のまわりにも今以上に外国人労働者が増えていることが考えられます。
そのような人達とのコミュニケーションとして、まず文化を知ることが必要だと思いました。
また、一緒に働く同僚だけでなく、栄養指導する立場になった時に、宗教上食べれない食材などもありますし、栄養指導する時や、献立を立てる時にも海外の食文化を知っておくと配慮ができるかもしれません。
そして、欲を言えば英語も話せるとちょっとした専門用語を伝える時に役立つと思います。
二つ目は栄養士の立場の変化についてです。
栄養士というと患者さんに指導する立場だと意気込むことがありますが、近年、栄養士は指導する立場というよりは支援する立場に変わってきています
例えば、栄養指導において太り気味で糖尿病の方がいたとします。
まずは、運動して減量ですね、糖質の高い食事には気をつけて下さい。とアドバイスしたとします。
しかし、その方にどのような背景があるかを知ることでアドバイスが変わると思いませんか?
とても忙しいビジネスマンだったら運動する時間ってなかなかないですし、やるまでのハードルが高いかもしれません。
また、外食が多くて選び方が悪いのかもしれません。
会話が一方的になってしまうと、なかなか実行には移してもらえないので、会話のキャッチボールができるようにコミュニケーションスキルを高める必要があります。
具体的には何をすればいいの?と思いになるかもしれませんが、普段友人や家族と話す時に相手を知る、思いやることを心掛けるだけで日常的に習得できることだと思います。

―――栄養士になって良かったことは何ですか?

元々、自分の健康管理のために興味を持った食の分野ですが、家族ができ夫や子供にも食事管理ができることです。
夫の健診結果を見て血糖値が高いと思ったら食事にはサラダを多めに出すようにしたり、子供の身体測定の結果からカウプ指数(乳幼児の身長と体重のバランスを数値化したもの)をだして体重管理してみたり、日常的に役に立っているなと実感しつつ、家族の健康管理をきちんとしなければいけないと、責任感もあります。
また、管理栄養士を持っていることで自分の強みにもなっていて、この先転職する可能性もある中で、非常に選択肢が多く、自分自身の年齢にもとらわれにくい職種だと思います。
食の資格も民間資格と合わせたら様々ありますが、ほとんどが更新制で、誰でも試験が受けられるので少し勉強すればとれてしまうことがほとんどですが、栄養士、管理栄養士は必要科目を履修して、認可された学校を卒業しなければとれない資格なので、付加価値も高いと思います

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