【体験談】食物アレルギーをもつ園児・保護者に対する関わり方や他機関との連携の仕方とは

【体験談】食物アレルギーをもつ園児・保護者に対する関わり方や他機関との連携の仕方とは

食物アレルギーをもつ園児・保護者に対する関わり方や他機関との連携の仕方とは

はじめに

私が勤務していた保育園では0歳児から5歳児まで10クラス、職員と合わせて280食の給食とおやつの提供をしていました。
食物アレルギーをもつ園児は年々増え、20人ほど。
主なアレルギーは卵・乳製品、乳糖、小麦、大豆、キウイフルーツ、バナナ、肉類、甲殻類や青魚等の魚介類、ごま、ナッツ類などです。
個々によって誤食した場合の症状の出方も様々で、口周りのかゆみや湿疹等の軽症から、アナフィラキシーショックなどの重症で命に関わる園児もいました。
一番多くのアレルギーをもつ園児は【卵・乳製品・乳糖・醤油等の調味料・小麦・ごま】など6種類を超えていて、調味料は米醤油への代替、乳糖なしのブイヨンやコンソメ、和風だしへ代替しました。

食物アレルギーをもつ園児・保護者への対応について

まず、入園時に保護者からアレルギー除去・代替食の希望を申告してもらいます。
そして、保育士、看護師、管理栄養士同席のもと、自宅での食事についての細かな聞き取りをします。
卵であればフライの衣のつなぎ程度なら食べられる、全除去なのか等。
入園前の説明会では食物アレルギーの除去対応のための生活管理指導表を配布し、医師の診断のもと、除去・代替食を作ります。
もし誤食があった場合、どう対応するかについて、どのタイミングでエピペン(ショックをやわらげるためのアドレナリン自己注射薬)を使用するか、アナフィラキシーショックなど緊急時の病院搬送についても情報共有します。

実体験(失敗談)について

私が入職して間もない時は、よく誤食に繋がり、保護者や園児に頭を下げて謝り続けていました。
管理栄養士が加工食品の原材料の表示を見落とし、調理師が除去・代替食を作り忘れ、それらを管理栄養士がチェックできず、給食室より保育士から除去食の確認もないまま保育室に運ばれてしまうこともありました。
別のケースでは、キウイフルーツの提供の際、キウイフルーツのアレルギーの園児は食べていないにも関わらず、同じ空間で極度に反応してしまい、緊急搬送されるケースもありました。
給食を作る側だけでなく、保育の現場でも気にかけていても、万が一の事態になることもあります。その後はキウイフルーツの提供をやめました。

実体験(解決案)について

食品ごとに番号付けをする

毎月配布する給食献立表のメニューごとに、どのアレルギー食品を含むかどうかを食品ごとに番号付けをして表記し、職員会議の際に読み合わせをして、全体での共通理解に繋げます。
卵や乳製品に関しては、園児によってアレルギーの段階が違いましたので、卵そのものの加熱調理(オムレツなど)、つなぎとしての使用(クッキーなど)、生卵(マヨネーズ)と、三段階に分けて分類しました。
また、調味料まで番号付けすると、小麦の食品そのものだけ(うどん・パンなど)のアレルギーの園児にとっては分かりにくくなります。
調味料を代替する園児については個別に管理栄養士がメニュー表へマーカーを引いて別メニューであることを保護者・保育士へお伝えしました。

チェック体制を四体制に!

① 前日に管理栄養士と調理師の翌日の給食の代替・除去食の打ち合わせの際のチェックする。
② 給食やおやつを提供前に管理栄養士と調理師と二人体制で除去食がきちんとつくられているかどうかチェックする。
③ クラスごとの給食を運ぶ保育士と管理栄養士に除去食の確認をする。
④ 保育室にて給食の担当の保育士と他の保育士で除去食を提供することを確認し合う。

どんな場合でもチェックができていなければ、提供してはいけない、少しでも疑問に思ったら、すぐに聞くようにと、口酸っぱく言い続けました。
チェック体制を確立してからは、提供に関しての誤食はほぼゼロになりました。
また、4、5歳児になると、園児が自分でこのメニューは食べられないことを覚えはじめます。
年度末にバイキング給食をする際、提供する前から「こめこ(米粉)のパンくださいー。」と私に伝えにくる園児にとても感動しました。

給食提供にあたってのチェック体制

コンタミネーションが起こる可能性も考えて、代替・除去食から調理するようにします。
小麦アレルギーでも醤油など調味料に入るものも症状が出る園児など、調理の初期段階で別の鍋で調理しなければなりません。
年数を重ねると共に、食物アレルギーをもつ園児への対応が好評だという口コミが増えて、食物アレルギーをもつ園児の入園が増え、アレルギー食品の種類もとても増えました。
除去食品ごとに代替食も何種類にも分けることは調理師のミスに繋がる恐れもあるため、除去・代替食を細分化しすぎない様にしました。
例えば、かきたま汁の場合、卵、小麦、乳糖アレルギーを一緒にまとめ、米醤油、乳糖なしの和風だし粉で味付けし、豆腐の澄まし汁を作る等。

まとめ

「食」は子ども達の身体や情緒の成長に繋がります。
しかし、食物アレルギーをもつ園児にとっては、一歩間違えれば、命を奪う可能性もあります。
私は恥ずかしながら、入職1年目は失敗だらけで、涙を流す日も多々ありました。
管理栄養士からの除去・代替食の調理の指示はもちろんですが、その指示がきちんと通っているかどうか、確認やフォローも大切です。
調理師も普通食に加えての何種かの除去・代替食を作るとなると手が足りない時もあります。
指示を投げっぱなしにせず、状況を見て、除去・代替食作りのフォローに入るのも良いでしょう。
他機関同士、声を掛け合い、一つのチームとして情報を共有し、気持ちよく仕事にいどめればと思います。

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