学生生活を終えると新社会人としての道が待ち構えています。
私の場合は病院に勤務する栄養士として地元の病院で働くことでした。
夢や希望に満ち溢れて危なっかしい時期って誰にでもありますよね。
そんな時に限って失敗してしまうものです。
でも、ショックで立ち直れなかったあの経験があるからこそ今の私があるのだと確信できます。
今回は、栄養士として働きだした私の苦い経験をご紹介します。
病院での栄養士の仕事
栄養士をご飯を作る調理師と間違って認識している人はとても多いです。
実際、私も栄養士の勉強をするまでは同じように勘違いしていました(笑)。
正確に言えば間違ってはいませんが、病院で働く栄養士は皆さんのイメージとは違った仕事も多くしていますよ。
主な仕事は患者さんの栄養管理
病院の栄養士は、入院している患者さんに対して栄養指導を行います。
入院しているので患者さんたちは病気をもっています。
この病気の治療に即した栄養管理が必要不可欠です。
風邪をひいたときにお肉をモリモリ食べる人は少ないかと思いますが、それぞれの病態に合わせた食事が大切です。
意外と多い事務仕事
これは予想外の仕事でした。
栄養指導した後の指導記録を残すことや栄養バランスを考慮した食事の献立の立案、院内研修会の発表資料作成などデスクワークが多いことに衝撃を受けました。
体力自慢の私は、立って行う調理にとても向いていましたが、座って行うデスクワークは先輩たちについていくだけでやっとだった思い出があります。
私がやってしまった失敗と反省
ミスをしない人なんていません。
でも、ミスをしてしまうとかなり落ち込んでしまいますね。
立ち直りは早い方だと自負していましたが、仕事という責任感が私に思っていた以上のダメージを与えてくれました。
理想的な栄養指導を心がけてしまったために起こった失敗と反省
私の担当は消化器病棟でした。
ここには、炎症性腸疾患といわれる潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんが入院してきます。
特に、クローン病の患者さんは、食事が治療の一環といわれており、脂質を控えた食事管理が大切です。
薬物治療が奏功して退院を見据えた患者さんがいました。
先生は、自宅での食事に気を付けてもらうために私に栄養指導を依頼されました。
やっと病棟に慣れてきて仕事を楽しいと感じるようになっていた私は、とても気合を入れて栄養指導に向かいました。
基本的な栄養の知識からクローン病という病態に合わせた食事療法の大切さ、脂質摂取の目目安になる食材など丁寧に時間をかけて説明しました。
説明することに一生懸命だった私は、患者さんの顔色がどんどん曇っていくことに気づきませんでした。
栄養指導が終わったときに患者さんが、『僕はもうみんなと同じご飯は食べれないってことなんですね。これまで友達とご飯を食べるのがとても楽しみだったのに・・』ととても悲しい顔をしていました。
私は、自分の持っている知識を与えるだけで、患者さんに合わせた栄養指導が出来ていませんでした。
クローン病の栄養管理は脂質を制限こそするものの1日1日の食事内容を厳密にする必要はありません。
食べ過ぎた日があれば次の日は控える、症状が出たときは消化の良いものを中心に摂取するなど適宜状態に合わせた食事を心がければ食事を楽しむことができます。
自分の言いたいことばかりを並べるだけなく、患者さんの気持ちを傾聴しながら栄養指導をすることが大切なんだと学ぶことができました。
デスクワークの延長上?研究ってむずかしい
私の勤めている病院は、新人の栄養士が学会発表をします。
学会とは研究ってえらい学者さんだけがするものって思いませんか?
学生時代は勉強ばかりやっていたので研究なんてやったことありません。
発表テーマこと先輩に決めてもらいましたが、データ整理もしたことなければ発表用のPowerPointなんて作ったことありませんでした。
先輩に教えてもらいながら試行錯誤してやっとまとめることができましたが、仕事をしながら研究するのは私にとってとても苦痛でした。
そんな私ですが、今となっては毎年学会で発表しています。
私が1人頑張っても目の前の患者さんにしか関わることができません。
しかし、研究を頑張ってエビデンスを残せば、それを模倣した人が私の研究テーマを実践してくれるかもしれません。
私が直接かかわらなくても間接的に関わって患者さんのためになることができます。
仕事と並行しながらの研究はとても大変ですが、とてもやりがいあることだと感じています。
まとめ
学生から社会人になるということは仕事をするということだけでなく、責任感や新たな可能性を見出すことです。
失敗して落ち込んでしまっても、自分が感じたかけがえのない経験を無駄にしてはいけません。
この経験がきっとあなたとステップアップさせてくれますよ。
困ったときは、先輩や同期に相談してみてください。
きっとあなたのことをわかってくれます。