「クックチル」「クックフリーズ」。
調理現場に従事する管理栄養士・栄養士・調理師など、調理に従事する方は、なんとなくこれらの言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、実際に言葉の意味や説明を求められた際に、説明できるかというと自信がないという方も多いのが現状です。
私自身も、実際に調理現場で働いていた際も自信がない・・・と不安を抱えながら、マニュアルを読み込んだ覚えがあります。
今日は、そんな方に向けて、自信を持って調理現場に立っていただけるように、「クックチル」「クックフリーズ」についてお話を進めていきたいと思います。
「クックチル」「クックフリーズ」とは?
簡単に違いを説明すると、「クックチル」は、冷蔵保存、「クックフリーズ」は冷凍保存するという意味があります。
それぞれ、事前に調理を行い、冷蔵保存、冷凍保存を行い、喫食のタイミングで再加熱を行い提供する調理システムのことを指します。
実際に、病院や高齢者施設などの大量調理に利用されることが多く見られます。
「クックチル」の発祥について
そもそも、「クックチル」の発祥はどこだったのでしょうか?
「クックチル」発祥は、欧州であったと言われています。
効率的に調理を行うために当初使われ始めた方法は、「クックチル」ではなく「クックフリーズ」でした。
しかし、野菜などは冷凍による組織破壊が起こりやすく、食感や美味しさが損なわれやすいということで、「クックチル」が次第に定着していったという背景があります。
ただ、近年は急速凍結の技術や、解凍時に食材の細胞破壊を防ぐ技術が進んでおり、冷凍しても美味しさが変わらない食材も増えてきたことで、保存期間の長い「クックフリーズ」の活用も進んでいます。
「クックチル」と「クックフリーズ」の共通点・異なる点
「クックチル」「クックフリーズ」には、それぞれ共通な点と異なる点があります。
それぞれを見ていきましょう。
共通する点
冷却または冷凍により、提供と調理を分離することができたり、加熱後の食品は、危険温度地帯(食中毒などの危険)を短時間にくぐり抜け、細菌増殖の危険性を低くすることができることです。
また、事前調理が可能になるため、提供する時は、再加熱をして盛り付けを行うだけになるため、その場調理をしてそのまま調理されたものを盛り付けを行う「クックサーブ」に比べて、スタッフの人員確保の問題や作業量の負担を減らすことができます。
そして、何より、提供時は調理などが全て終わっているため、盛り付けを行うだけのため、作業時間が短縮ができて、なるべく早く提供者の元に料理を提供することができるのも一つのポイントです。
異なる点
保存期間で見た場合、「クックチル」は、製造日を含めて3℃以下で保存して5日間が期限。
反対に、「クックフリーズ」は、食品のタイプによっても異なりますが、−18℃以下保存で最大8週間程度持ちます。
また、「クックチル」よりさらに長い期間での計画生産が可能になり、食材のロスを防ぎやすいのも特長です。
また、配送時の温度管理もしやすいため、センターなどで一括調理をして提供場所まで運ぶとといった形態を取られている施設に向いています。
味に関しては、「クックチル」は、食材の細胞が劣化しづらく、美味しいまま提供できる面があるものの、「クックフリーズ」は、凍結の方法や食材によっては、冷凍による組織破壊が起こりやすく、素材本来の美味しさや食感が損なわれることもあります。
そのため、どのようなものを扱うのか、人員確保問題などの面から、どちらの方式があっているかなど総合的に見て判断する必要があります。
最後に
いかがだったでしょうか?なんとなくで見ていた「クックチル」と「クックフリーズ」の違いについてお話ししてきました。少しは、理解していただけたでしょうか?
大量調理現場において、冷却・凍結しておくことで事前調理を可能にできることは、食品の安全性確保の面でも、作業効率化の面でも役立ち、食材ロスの低減にもつながります。
食材ロスの問題は、かなり現在注目されていますよね!それぞれの食材の特性によって「クックチル」と「クックフリーズ」を使い分けて、計画的な調理を実現し、喫食者、提供者ともに優しい、調理法を心がけて、環境汚染につながらないような取り組みも頭に入れていきたいものですね。