【栄養豆知識】病院で働く栄養士のお仕事にはどのような物があるの?

【栄養豆知識】病院で働く栄養士のお仕事にはどのような物があるの?
・病院で働く栄養士について
・患者さんに適した食事を提供する
・栄養士は栄養に関するスペシャリスト

栄養士について

栄養士という職業をご存知ですか?
よく、『ご飯を作る人?』なんて言われることが多いのがこの職業です。
栄養士の仕事は、栄養の指導を行うことです。
その活躍の場は、ご飯を作る調理場だけにとどまりません。
病院、学校、工場、事務所、福祉施設、スポーツ施設など食に関連するところであればどこだって働けます。
栄養士のお仕事は、働く場所によってその内容も大きく異なります。
今回は、病院で働いている栄養士の仕事についてご紹介していきたいと思います。

病院で働く栄養士について

病院で働く栄養士の仕事は、食事の管理に始まる

私たちには食事は切っても切れない関係にあります。
なんといってもご飯を食べないとお腹がすいて動けませんね。
食事は、1日の活動に必要なエネルギーを補ってくれます。

元気な時は、なんでも食べることができますね。
ただ、病院にいる時は元気いっぱいではないと思います。
患者さんごとに合わせた食事を提供したり、栄養バランスを考えるのが栄養士の仕事となります。

病気に合わせた食事を提供する

病院で治療をする患者さんの多くは、元気な時とは状態が異なります。

手術のあとは消化管に負荷を与えないように、消化しやすいような形状の食事を選択してあげないと、縫合不全を起こしてしまいます。
高血圧の人には、塩分を控えめにしてだしで味付けを行い、病状をコントロールします。

そのため、患者さんに適した食事を提供する病院食は、20~30種類存在します。

食事は摂取できなければ意味がない

皆さんはおいしいご飯を食べていますね。
好きなものを好んで食べたり、嫌いなものを避けたり、少しずつバランス良く食べることも可能です。

しかし、せっかく栄養バランスを整えていても、きちんと食べることが出来なければ意味がありません。
お年寄りのような飲み込む力が弱い人や、歯や喉の治療をした人では、固い食べ物を飲み込むことが出来ませんね。
そのような場合、飲み込みやすいようにご飯をやわらかく炊いたりなど、栄養を摂れるような調理方法を常に考えなければなりません。

栄養士は、みなさんが普段食べているような通常食から消化しやすい形状の流動食、飲み込みがしやすいような嚥下食など患者さんに適した食事形態を提供します。

患者さんに行う栄養指導とは

栄養士が行う栄養指導の目的は、患者さんの食事を今よりも良くすることです。
具体的には、病気のコントロールをするために脂肪分を控えたり、手術後の患者さんに大豆や小麦、きのこ類などの不溶性食物繊維の摂取を控えるように説明をしたりします。
ただ、何よりも大切なのが、患者さんとの信頼関係です。

皆さんが大好きな食事を制限するよう栄養士は指導をします。
いくら病気のためとはいえ、食事の質を変えることは苦痛のなにものでもありません。
正しい知識や説明をどれだけ行っても行動に移してもらうことが出来なければ意味がありませんね。
これには、患者さんとの信頼関係が必要です。

チーム医療の中の栄養士

一昔前と違って、現代の医療はチーム医療だといわれています。
患者と医師のみの関係性では最適な医療を提供することは出来ません。
薬剤師や看護師、臨床検査技師、理学療法士などの医療スタッフが協力・連携しあうことではじめて最適な治療を提供することができます。

チーム医療で栄養士が担う役割

栄養のスペシャリストである栄養士は、栄養管理が必要な患者さんの栄養状態を把握する必要があります。

口から摂取することが可能であれば、病態に合わせた食事を提供します。
近年は、消化管を使うことが推奨されているため、注射薬でただ単に栄養を投与すればいいわけではありません。
鼻からチューブを入れて液体状の栄養を胃や腸に直接投与することも検討します。

薬は薬剤師の領域ですが、栄養は栄養士の領域です。
食事だけでなく、使用する栄養剤もカロリーが多いものや、とろみのついたものなど種類が多いため、患者さんに合わせた提案を行います。

栄養士が参加する栄養サポートチームとは

栄養士は栄養に関するスペシャリストです。
数ある医療チームの中で栄養士が一番力を発揮するのは、NST(栄養サポートチーム:Nutrition Support Team)です。

NSTは、食欲が低下している患者さんや、栄養状態の悪い患者さんに対して介入を行います。
目的は、適切な栄養管理を行って患者さんの状態を改善すること、合併症を予防することです。

このチームでの栄養士は、患者さんの栄養状態を把握し、食事摂取状況や嚥下機能に応じて栄養の補給方法を計画します。
ただ単に栄養を与えればいいのではなく、患者さんの嗜好に沿うことも重要です。
そのために面談をして、栄養指導を行う必要があります。

まとめ

栄養士は、ご飯を作る人という存在から病院などの医療現場にまで広がっています。
栄養のスペシャリストだからこそ、病気に合わせた栄養指導や食事形態の提案を行うことができます。
栄養状態が悪いと傷の直りが悪くなったりするリスクがあり、治療に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。
ご飯をうまく食べていない、苦手な食べ物が多くて困っているなど、食事に関する問題点があるときは、ぜひ一度栄養士に相談してみましょう。

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