特別障害者手当と特別障害給付金の違いについて解説

特別障害者手当と特別障害給付金の違いについて解説

特別障害者手当と特別障害給付金の違いについて解説
障害をお持ちの方やそのご家族にとって、日々の生活を支える経済的なサポートはとても重要です。

そのためには、支援制度を正しく理解し、適切に活用することが欠かせません。

特別障害者手当」と「特別障害給付金」は、どちらも障害のある方を支援する制度ですが、名前が似ているため混同しやすいものです。

しかし、対象となる方や支給条件、申請方法は大きく異なります。

特別障害者手当は、重度の障害を持ち、日常生活において常に介護を必要とする方に支給される手当です。

一方、特別障害給付金は、過去の年金制度の影響で障害基礎年金を受給できない方のための給付金として設けられています。

本記事では、この2つの制度について詳しく解説し、それぞれの対象者、支給額、申請方法などを分かりやすくお伝えします。

必要な支援をしっかり受けられるよう、ぜひ参考にしてください。

特別障害者手当とは

特別障害者手当は、日常生活において著しく重度な障害がある、20歳以上の方を対象とした手当です。

生活の負担を軽減するための経済的支援として設けられています。

この手当は、身体的・精神的な重い障害により、日常生活を単独で行うことが困難な方に向けた制度です。

例えば、日常生活において歩行・食事・入浴などの基本的な生活動作が難しい方が対象となります。

また、特別障害者手当は、障害の程度が一定以上であることが条件ですが、手帳の有無に関わらず認定される場合もあります。

したがって、障害者手帳を持っていない方でも、医師の診断や生活状況を基に申請することが可能です。

ただし、本人または配偶者の方の収入が一定額以上の場合、受けられないこともあるので注意が必要です。

この制度は、障害のある方が少しでも安定した生活を送れるよう、国が支援する重要な手当の一つです。

申請の際は、必要な書類をしっかり確認し、自治体の窓口で相談しながら進めることをおすすめします。

申請方法の案内

特別障害者手当の概要

特別障害者手当は、身体的または精神的な障害が重く、日常生活において常時介護が必要な方を対象とした国の支援制度です。

この手当は、障害のある方の生活の質を向上させることを目的としています。

重度の障害を持つ方が、自分らしい生活を送るための一助となるよう設けられています。

また、特別障害者手当は介護や日常生活の補助が必要な状態であることが要件の1つとなっています。

例えば、車椅子が必要な方や食事・排せつなどの動作が困難な方が対象となることが多いです。

支給のポイント

  • 介護を要する20歳以上の重度障害者が対象
  • 収入要件あり(一定の所得以上の場合は支給されない)
  • 3か月ごとに支給(年4回支給)

特別障害者手当の対象と基準

特別障害者手当の支給対象となるのは、身体障害者手帳や精神障害者手帳、療育手帳を持っている方の中で、常時介護を必要とする、特に重度の障害を持つ20歳以上の方です。

また、本人や配偶者、扶養者の所得が一定額以上である場合は受けられません。

対象となる具体的な症状や条件(例)

  • 寝たきりの状態が続いている方
  • 会話が困難で、コミュニケーションが取れない方
  • 日常的に医療的ケア(酸素療法、胃ろうなど)が必要な方

特定条件を満たす障害者の方のみ

特別障害者手当の支給額

令和6年度の特別障害者手当の支給額は、月額28,840円です。

ただし、支給額は毎年見直されるため、最新の金額を確認することが大切です。

特別障害者手当の受給期間

特別障害者手当は、定期的に支給される手当であり、受給資格を満たしている限り、継続して受け取ることができます。

障害や症状の程度が変わらない場合は無期認定となり、更新手続きなどはなく手当を受け続けることができます。

時間経過によって状態が変わる方の場合は有期認定となり、認定時に定められた期間に受給することができます。

また、所得制限が設けられているため、受給者本人や家族の状況によっては支給が停止される場合があります。

手当の継続受給を希望する場合は、定期的に所得確認の手続きを行うことが求められます。

60歳以上65歳未満

特別障害給付金とは

特別障害給付金は、過去の年金制度の影響により、障害基礎年金を受給できない方を支援するために設けられた給付金です。

この制度は、国民年金の加入が義務化される前に、任意加入が可能だった方々を救済するために設けられました。

そのため、現在の年金制度ではカバーしきれない方々へのサポートとして、大切な役割を果たしています。

障害を持つ方の生活には、医療費や介護費など、多くの費用がかかります。そのため、特別障害給付金は、そうした負担を少しでも軽減し、安心して生活できるようにするための支援策の一つです。

この給付金を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

また、特別障害給付金の申請を考えている場合、まずは自身が対象者に該当するかを確認し、自治体や年金事務所で相談することが大切です。

申請には必要な書類が複数あり、不備があると手続きが遅れることがあります。

そのため、事前に書類をそろえておくことで、スムーズに申請を進めることができます。

特別障害給付金の概要

この制度は、平成3年3月以前に国民年金任意加入対象だった学生の方、または昭和61年3月以前に国民年金の任意加入対象だった人の配偶者であった方が、後に障害を負い、条件を満たした場合に支給される給付金です。

子供がいる親
当時、学生や専業主婦は国民年金への加入が任意であり、その結果、加入していなかった方は、障害を負った際に年金を受給できないという問題が発生しました。

このような状況を補うため、特別障害給付金制度が創設され、年金を受給できない方の生活を支援することを目的としています。

また、特別障害給付金は、障害の発生時に国民年金の未加入期間であった方に対する救済措置として設けられています。そのため、対象者の中には専業主婦の方や、学生時代に事故や病気で障害を負った方も多く含まれます。

特別障害給付金の対象と基準

この給付金の対象者は、以下のいずれかに該当する方です。

  1. 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象だった学生の方
  2. 昭和61年3月以前に、国民年金の任意加入対象者の配偶者(専業主婦など)

上記の2.に該当する場合、更に以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 国民年金に任意加入対象だった期間中に初診日がある方(障害の原因となる病気やけがの診察を初めて受けた日が、未加入期間内である場合)
  • 障害基礎年金を受給できないが、一定の障害状態にある方(障害基礎年金の等級が1級または2級に該当する場合)
  • 障害者支援施設(通所は除く)や特別養護老人ホーム等の施設に入居していない

また、申請に際しては、障害の状態を証明する診断書や、年金手帳または年金番号通知書初診日が未加入期間内であることを証明する書類の提出が求められます。

特別障害給付金の支給額

令和6年度の支給額は以下の通りです。

障害基礎年金の相当する等級 基本月額
1級相当 55,350円
2級相当 44,280円

この支給額は毎年度見直される可能性があるため、最新の情報を確認することが大切です。

また、特別障害給付金は障害基礎年金とは異なり、消費者物価指数によって金額が定められています。

物価や経済状況によって変動する場合があるため、支給額の改定に注意が必要です。

老齢年金、遺族年金、労災補償等と同時に受ける場合、その受給額分が特別障害給付金から差し引かれて差額が支給されます。

特別障害給付金の受給期間

この給付金は、受給資格を満たしている限り継続して支給されます。

ただし、所得制限が設けられており、一定の収入を超えると支給が停止される可能性があります

そのため、受給を希望する方は、自身の収入状況を定期的に確認し、必要に応じて自治体や年金事務所に相談することが重要です。

また、申請には複数のの書類が必要となるため、事前に必要な準備をしておくとスムーズに手続きが進みます。

特に、初診日の証明書や診断書は審査の際に厳しく確認されるため、医療機関や役所で必要な書類を早めに準備することが重要です。

特別障害者手当・特別障害給付金の申請の流れ

それぞれの手当・給付金を受給するには、手続きが必要です。

申請手続きには、必要な書類をそろえ、指定された窓口に提出することが求められます。

また、申請後は審査が行われ、結果が通知されるまでに一定の期間を要します。

事前に必要な準備を整え、スムーズに手続きが進むようにしましょう。

特別障害者手当の申請方法

必要書類

  • 認定請求書(市区町村役場で取得)
  • 医師の診断書(障害の程度を証明するもの)
  • 身体障害者手帳、精神障害者手帳、療育手帳など(持っている場合)
  • 年金の受給額がわかるもの(受給している場合)
  • 口座情報(振込先となる銀行口座の情報)

申請先

市区町村の福祉課に申請します。

申請の際には、役所の担当者が必要書類の確認を行います。

記載内容に不備がある場合は修正が求められるため、書類を提出する前に事前にチェックしておくことが大切です。

申請から認定までは2~3カ月程度かかる場合があります。

余裕を持って申請を行うようにしましょう。

特別障害給付金の申請方法

必要書類

  • 特別障害給付金請求書(窓口で取得)
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 医師の診断書(障害の原因となる傷病が複数ある場合、すべての傷病に対して)
  • 受診状況等証明書(窓口で取得。初診時に治療を受けた病院の診断書が準備できない場合に添付)
  • 病歴等申立書(窓口で取得)
  • 特別障害給付金所得状況届(窓口で取得)
  • 口座情報(給付金の振込先)

その他本人の状況に応じて、戸籍謄本、年金加入期間確認通知書などが必要になる場合があります。

何らかの理由で書類が準備できない場合、相当する書類で代替できることもあるので、一度窓口で相談してみましょう。

申請先

最寄りの市町村役場に申請します。

申請書類を基に審査が行われ、給付金の支給可否が決定されます。

審査結果が通知されるまでには通常1〜2か月ほどかかるため、余裕を持って申請することが重要です。

特別障害者手当・特別障害給付金に関するよくある質問

特別障害者手当や特別障害給付金について、申請を検討されている方からよく寄せられる質問をまとめました。

審査の流れや他の手当との併給の可否など、事前に知っておくと安心できる情報を紹介します。

審査について

特別障害者手当、特別障害給付金のどちらも申請後、審査には通常1〜3か月程度の時間がかかります。

審査では、提出された診断書の内容や所得要件をもとに支給の可否が判断されます。

特に、診断書には障害の程度や日常生活への影響が詳細に記載されている必要があり、不備があると追加の書類提出を求められることがあります。

また、所得要件についても厳格に審査されるため、扶養家族の有無や収入状況を正しく申告することが重要です。

審査の進捗については、市区町村の福祉課または年金事務所に問い合わせることで確認できます。

他の手当・年金との併給について

特別障害者手当は、障害年金と併給することが可能です。

これは、日常生活において特に支援が必要な方を経済的に補助するための制度だからです。

一方、特別障害給付金は他の障害年金と併給できません

これは、特別障害給付金が年金制度の救済措置として設けられているためであり、既に障害年金を受給している場合は、重複した支給が行われないように規定されています。

そのため、申請時には現在受給している手当や年金について、しっかりと確認し、自治体や年金事務所に相談することをおすすめします。

その他の障害者支援制度

障害のある方が安心して暮らせるように、さまざまな支援制度が設けられています。

ここでは、代表的な支援制度について詳しく紹介します。

自立支援医療制度(更生医療・育成医療)

障害のある方が必要な医療を受けやすくするため、医療費の自己負担を軽減する制度です。

更生医療は、成人になってから手術や治療を受ける際に適用され、育成医療は、18歳未満の子どもが対象となります。

指定医療機関での治療が条件となりますので、事前に利用可能な病院を確認しておくと安心です。

生活保護

障害のある方が経済的に困難な状況にある場合に、最低限の生活を保障するための制度です。

障害年金を受給していても、収入が一定額に満たない場合には、生活保護の対象となることがあります。

申請は、市区町村の福祉事務所で行います。

困っている場合は、まずは相談してみることをおすすめします。

傷病手当金

企業に勤める方が病気やけがで長期間働けなくなった場合に受給できる給付金です。

健康保険に加入しており、連続する3日以上の休業があることが条件となります。

傷病手当金の受給期間は最大で1年6か月間であり、その間の生活を支える大切な制度です。

障害者手帳による税金の控除や公共料金の割引

障害者手帳を取得すると、税制優遇や交通機関の割引、公共料金の減免を受けられる場合があります。

例えば、所得税や住民税の控除、NHK受信料の減免、携帯電話料金の割引など、さまざまな特典があります。

対象となる制度は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの市区町村窓口で確認することをおすすめします。

これらの支援制度を上手に活用し、少しでも負担を軽減できるようにしましょう。
違いを理解しようとする女性

まとめ

特別障害者手当と特別障害給付金は、それぞれ対象者や支給条件が異なる制度です。

どちらの制度が適用されるのかをよく確認し、自分に合った支援を受けられるようにしましょう。

また、障害のある方が社会で活躍するための支援は、経済的なものだけではありません。

働く場を見つけることも大切なステップの一つです。

もし、就職活動を考えている方は、障害者向けの就職支援サイト「スグJOB」を活用するのも良いでしょう。

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障害を持つ方が安心して働ける環境を見つけるために、ぜひ活用してみてください。

新しい一歩を踏み出すための支援が、ここにあります。

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