障害者雇用でおすすめの職種８選！職種の特徴や探し方を解説

障害者雇用の状況

障害のある方が働くことをめぐる環境は、年々少しずつですが良い方向に変化しています。

制度が開始した1960年から60年以上経ち、企業の障害者雇用に対する意識も高まり、働き方や選べる職種も多様になってきました。

障害のある方がそれぞれの能力を活かし、社会で活躍できる機会が増えているのは、とても喜ばしいことです。

しかし一方で、まだまだ多くの課題も残っています。

「収入が安定しない」「希望の仕事に出会えない」といった声を聞くこともあります。

障害者雇用促進法に基づく企業への雇用義務（法定雇用率）は年々引き上げられており、企業側も障害者雇用に積極的に取り組む姿勢が見られます。

ただ、雇用の「質」という点ではまだ改善の余地があると言えるでしょう。

この章では、現在の障害者の雇用状況について、皆さんが安心して働くための具体的な情報をご紹介します。

平均的なお給料の実情、どのような働き方（雇用形態）が多いのか、そして最近の雇用トレンドはどうか、といった点について詳しく見ていきましょう。

これから就職や転職を考えている方にとって、今の社会の状況を正確に把握することは、自分に合った仕事を見つけるための大切な第一歩となるはずです。

最新のデータも交えながら解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

障害者の平均賃金と雇用形態

障害のある方々がどのような形で働いているか、まずは雇用形態から見ていきましょう。

厚生労働省が発表した「令和5年度障害者雇用実態調査」（厚生労働省｜2024年）のデータによると、障害者の雇用形態は、障害の種類によって傾向が分かれることが分かります。

特に注目すべきは、身体障害者の場合、全体の59.3％が「正社員」として働いている点です。

これは身体障害のある方が、安定した雇用形態で活躍する場が広がっていることを示しています。

一方で、知的障害者の正社員割合は20.3%、精神障害者は32.7%、発達障害者は36.6%にとどまっており、これらの方々にとっては「契約社員」や「パート・アルバイト」といった非正規雇用が依然として多い状況です。

これには、労使ともに様々な背景があります。

例えば、初めて働く方や、体調管理や通院の都合でフルタイム勤務が難しい方にとって、勤務時間や日数を調整しやすい非正規雇用は、現実的で柔軟な選択肢となっています。

また、企業側が障害者雇用に不慣れな場合、まずは非正規雇用で受け入れ、職場内の理解や支援体制を整えながら本格的な受け入れを進めるケースもあります。

障害特性への配慮を段階的に進めるため、まずは契約社員やパートからスタートし、本人の適性や状況を見ながら正社員登用を検討するケースも少なくありません。

次に、最も気になると思われる平均賃金についてです。

こちらも障害の種類、働く業界や職種、そして地域によって大きく異なりますが、令和5年度の調査データでは、全体的に賃金が上昇傾向にあることが見て取れます。

具体的な数字（超過勤務手当を含む月額平均賃金）を見ると、以下のようになっています。

• 身体障害者：23万5千円

• 知的障害者：13万7千円

• 精神障害者：14万9千円

• 発達障害者：13万円

これらの数字はあくまで全国的な平均であり、全体の傾向を示しています。

身体障害者の平均賃金が大幅に増加しているのは明るいニュースと言えるでしょう。

一方で、知的障害者や発達障害者の賃金は、他の障害種別に比べて依然として低い水準にあることが分かります。

これは、雇用される職種が限定的であったり、短時間勤務が多かったりすることが要因として挙げられます。

しかし、この賃金は、専門的なスキルを習得したり、長く勤めてキャリアアップしたりすることで、評価を上げて賃金を上げることもできます。

実際に、専門性の高い事務職、あるいは長く勤めて経験を積んだ方の中には、一般雇用の方と変わらない、あるいはそれ以上の収入を得ている方も多くいらっしゃいます。

企業側も、障害のある方の能力を正当に評価し、適材適所で活躍してもらうことで、企業全体の生産性向上にもつながると認識し始めています。

大切なのは、ご自身の特性や希望を明確にし、それに見合った求人を粘り強く探すことです。

そして、就職後も、企業側とのコミュニケーションを密に取り、必要な配慮を適切に求めていくことが、より良い雇用条件や働きがいにつながります。

近年の障害者雇用の動向

近年は「誰もが働きやすい社会」を目指す流れが強まり、障害者雇用にもさまざまな前向きな変化が見られます。

また、在宅勤務やテレワークの普及によって、通勤が難しい方でも自宅で仕事ができる環境が整いつつあります。

実際、パソコンを使ったデータ入力や、Web関連の仕事などを中心に、在宅の求人も増えています。

さらに、大企業では障害者雇用を専門に行う「特例子会社」の設立も進んでいます。

特例子会社とは、親会社のグループ会社として、障害者が安心して働けるようにサポート体制が整った職場のことです。

こうした企業では、医療的、福祉的な配慮だけでなく、キャリア形成や成長の機会にも力を入れているところが増えており、配慮を受けながら長く安心して働きたい方には特におすすめです。

このように、障害者雇用を取り巻く環境は確実に広がりを見せています。

とはいえ、仕事選びはひとりひとりの特性や希望に合わせて考えることが必要です。

次の章では、実際にどのような職種が障害のある方に向いているのか、具体的にご紹介していきます。

障害のある方に向いている仕事とは

「自分にできる仕事って、何だろう？」

障害のある方が就職や転職を考えるとき、多くの方がこの問いに向き合います。

体力的な制約や、集中力の波、家族の状況、環境への配慮が必要な場合など、それぞれに異なる事情がある中で、自分に合った仕事を見つけることは簡単ではないかもしれません。

ですが、今の障害者雇用の世界には、さまざまな職種や働き方が用意されています。

その中から「無理なく、自分らしく働ける」仕事を見つけていきましょう。

ここでは、障害のある方が比較的取り組みやすいとされる職種を5つご紹介します。

それぞれの職種には特徴があり、どんな人におすすめかという視点も交えながら解説していきます。

事務職

パソコン操作ができる方や、集中して物事に取り組むのが得意な方に向いています。

企業によっては、配慮された静かな環境で作業できる職場もあります。

おすすめの事務職と求人例

• 一般事務（データ入力、書類作成）
• 経理補助（伝票処理、会計ソフトへの入力）
• 人事や総務のアシスタント業務

WordやExcelなどオフィスソフトの基本スキルが求められることも多いですが、入社後に習得していけるケースもあります。

特例子会社などでは、障害者向けの研修があることも安心ポイントです。

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軽作業・製造

ルーティン業務が中心で、作業手順が明確なため、安定した業務を望む方に適しています。

立ち仕事が多いですが、座ってできる作業もあります。

おすすめの軽作業・製造と求人例

• 製品の検品や梱包作業
• 部品の組み立て
• 仕分けやピッキング業務

短時間勤務の求人も多く、無理なく働きたい方におすすめです。

また、作業はチームで分担されることが多いため、人との関わりが苦手な方にも配慮されていることがあります。

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清掃・メンテナンス

身体を動かすことが好きな方や、きれい好きな方に向いています。

マニュアルがあり、決まった範囲で黙々と作業するのが好きな方にはぴったりです。

おすすめの清掃・メンテナンスと求人例

• オフィスビルや商業施設の清掃業務
• 公共施設のメンテナンス
• 病院内の清掃スタッフ

勤務時間が短めで朝や夕方だけという求人もあり、生活リズムを整えやすいのもメリットです。

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接客・販売

人と接することが好きな方、明るく丁寧な対応ができる方に適した職種です。

職場によっては、裏方中心の業務もあるため、対人対応に不安がある方も安心です。

おすすめの接客・販売と求人例

• スーパーやドラッグストアの品出し・レジ補助
• アパレルショップでの在庫管理
• 飲食店での配膳や片づけ

接客といっても、お客様と直接やりとりする業務ばかりではありません。

自分に合ったポジションを選ぶことができます。

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在宅ワーク

通勤が難しい方、静かな環境で自分のペースで働きたい方にぴったりです。

自宅にネット環境とパソコンがあれば、応募できる求人が増えています。

おすすめの在宅ワークと求人例

• データ入力、文字起こし
• Webデザイン、バナー作成
• システム開発やプログラミング業務

最近では、在宅ワークのノウハウが確立され、在宅でもしっかりサポートしてくれる企業も増えています。

オンライン研修やチャットでのやりとりなど、安心して働ける環境づくりが進んでいます。

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障害種別と適職

障害のある方が仕事を探すときに大切なのは、自分の特性や体調、得意・不得意をしっかりと理解したうえで、それに合った職種や働き方を選ぶことです。

無理をしすぎてしまうと、せっかく見つけた職場でも長く続けられない可能性があります。

ここでは、障害の種類ごとに、どんな仕事が向いているかをわかりやすくご紹介していきます。

「自分と似た環境の人がどんな仕事をしているのか」を知ることで、今後の職探しのヒントになるかもしれません。

身体障害のある方におすすめの仕事

身体障害のある方は、障害の部位や程度によってできることが大きく異なります。

たとえば車いすを利用している方であれば、バリアフリー対応のオフィスで座ってできる事務職や、コールセンターの仕事などが向いている場合があります。

【おすすめの職種例】

• 一般事務・総務補助
• テレワークでのデータ入力やカスタマーサポート
• IT系の業務（プログラミングやWeb制作など）

職場において、エレベーターやバリアフリートイレの有無など、設備面の配慮が重要になりますので、応募前と面接時にしっかり確認しておきましょう。

知的障害のある方におすすめの仕事

知的障害のある方は、わかりやすい作業内容や、繰り返しの作業が得意なことが多いため、マニュアル化された業務や決まったルーチンで進める仕事が向いています。

職場での丁寧な指導や、理解度に応じたサポート体制があると、より安心して働くことができます。

【おすすめの職種例】

• 製品の梱包や検品などの軽作業
• 清掃業務（学校・病院・オフィスなど）
• 農業系の作業（ビニールハウス内での作業など）

特例子会社など、障害者雇用に慣れている職場での勤務を希望する方も多く、安心して働ける環境が広がっています。

精神障害のある方におすすめの仕事

精神障害のある方は、体調に波がある方も多くいらっしゃいます。

そのため、自分のペースで作業ができる仕事や、静かな環境での業務がおすすめです。

また、職場の理解や定期的なフォローアップが得られる職場かどうかも、大きなポイントになります。

【おすすめの職種例】

• データ入力や文書作成などの事務補助
• 清掃や軽作業（裏方業務中心）
• テレワークでの事務業務

短時間勤務や週2〜3日の就業からスタートできる職場もあり、無理なく社会復帰を目指したい方にとって安心できる環境が整っています。

発達障害のある方におすすめの仕事

発達障害のある方は、特定の分野に強い集中力を発揮したり、細かい作業が得意だったりする一方で、コミュニケーションやマルチタスクが苦手な場合もあります。

そのため、自分の得意を活かせる専門的な職種や、明確な指示のもとで行う業務がおすすめです。

【おすすめの職種例】

• WebデザインやIT系のエンジニア職
• データ集計・リサーチ業務
• 品質検査やライン作業などの軽作業

本人の得意なことを活かせるように、職場での配慮があると働きやすさが大きく変わります。

自分に合った職種を見つけるために、自己理解や周囲への情報共有がカギになります。

障害のある方が働きやすい環境

どんなにやりがいのある仕事であっても、働く場所や人間関係、職場の制度が合わなければ、安心して長く働き続けることは難しくなってしまいます。

障害のある方にとっては特に、「働きやすい環境」が整っていることが、職場選びの大きなポイントになります。

ここでは、障害者雇用において重要な制度や、実際の職場でどのような配慮がなされているのか、サポートを受けながら働くための支援機関について解説していきます。

障害者雇用の制度

企業には「障害者雇用促進法」によって、一定の割合以上の障害者を雇用する義務があります。

この制度により、多くの企業が積極的に障害者雇用に取り組むようになっています。

また、障害者手帳を所持している方は、いわゆる「障害者枠」での採用に応募することができ、選考や勤務条件などで一定の配慮を受けられることがあります。

例えば、勤務時間の調整、通院への配慮、作業内容の調整などが含まれます。

さらに、国や自治体から企業に対して支援金や助成金が出る制度もあり、これが障害者雇用の促進につながっています。

職場の配慮と支援体制

「働きやすさ」は制度だけでは実現しません。

実際に働く現場で、どれだけ一人ひとりの事情に寄り添った配慮がされているかが大切です。

たとえば、以下のような配慮が行われている職場もあります。

• 作業スペースの工夫（パーティション設置、静かな作業環境など）
• スケジュールの柔軟な調整（短時間勤務や週3日勤務など）
• 専任のサポーターや相談員の配置
• 定期的な面談やメンタルヘルスのフォロー

また、「特例子会社」など障害者雇用に特化した企業では、職場全体がサポート前提で運営されており、障害に対する理解が深く、安心して働ける環境が整っているケースが多いです。

就労移行支援・就労継続支援

「仕事はしたいけど、いきなり一般企業に就職するのは不安」という方には、就労支援の福祉サービスを活用するのもひとつの方法です。

• 就労移行支援：最長2年間、就職に向けたトレーニングを受けながら、就職活動のサポートも受けられるサービスです。

生活リズムを整えたり、ビジネスマナーやパソコンスキルなどを身につけたりしながら、就職を目指すことができます。

• 就労継続支援A型：企業との雇用契約がある形で働きながら、少しずつ就労能力を高めることができます。

最低賃金が保証されている点も安心です。

• 就労継続支援B型：体調や障害の特性によって、すぐの雇用が難しい方を対象にした、福祉的就労の場です。

自分のペースで作業を行いながら、日常生活や社会参加の第一歩として利用されています。

このように、自分に合った支援を受けながら段階を踏んでいくことで、長く安定して働くための大切な準備ができます。

障害がある方におすすめの仕事の探し方

「自分に合った仕事を探したいけど、どこから始めたらいいかわからない」「求人情報を見ても、どれが自分に向いているのか判断できない」

このような不安を抱えている方は少なくありません。

障害者雇用の求人は、一般の求人サイトには載っていないことも多く、情報収集の方法が分かりづらいと感じることもあります。

そのため、お仕事を探すときは、障害のある方を対象とした専門機関やサービスを活用すれば、自分の特性や希望に合った求人を見つけやすくなります。

ここでは、信頼できる求人の探し方を4つの方法に分けてわかりやすく解説します。

ハローワークの専門援助機関

全国にあるハローワークでは、障害者の方専用の窓口を設けているところが多くあります。
ここでは、「専門援助部門」や「障害者職業相談員」が常駐しており、障害に関する事情を理解した上で、職業紹介や相談に対応してくれます。

また、障害者の方向けの合同面接会や職業訓練、職場実習などの機会も提供されており、実際に働く前に職場の雰囲気を確かめることもできます。

定期的な相談を通じて、自分に合った仕事をじっくり探すことができるため、初めての就職活動にもおすすめです。

障害者専門の職業紹介サービス

最近では、障害者雇用に特化した民間の職業紹介サービスも増えてきました。

こうしたサービスでは、専門のキャリアアドバイザーが、ご本人の希望や障害特性を丁寧にヒアリングし、最適な求人を提案してくれます。

たとえば、障害者の就職支援に強い「スグJOB」のようなサービスでは、全国の企業と連携し、幅広い業種・職種の求人情報を取り扱っています。

こうした障害者雇用専門の職業紹介サービスでは、応募書類の作成や面接対策などのサポートも受けられます。

初めての就職や、職歴にブランクがある方にも心強い味方です。

企業の採用情報をチェック

近年では、障害者雇用に積極的な企業が、自社のホームページや採用ページに「障害者採用情報」を掲載していることもあります。

職場の配慮内容や働いている方のインタビューなどを紹介している企業もあり、職場の雰囲気を事前に知ることができます。

「気になる企業があるけど、障害者雇用をしているか分からない」というときは、「企業名　障害者採用」などで検索してみましょう。

採用ページにたどり着けることがあります。

直接応募が不安な場合は、前述の専門サービスを通じて紹介を受ける方法もおすすめです。

障害者就労支援機関の活用

自治体や福祉施設が運営する就労支援機関も、仕事探しの頼れる存在です。

たとえば、就労移行支援事業所では、生活リズムを整える支援やビジネスマナーの習得、職場体験などを経て、一般就労への移行を目指します。

また、「地域障害者職業センター」では、職業評価や適職診断、ジョブコーチ支援（職場定着支援）なども受けられるため、自分に合った働き方を具体的に考える場として活用できます。

一人で悩まず、こうした専門機関と一緒に「自分らしい働き方」を探していくことが、安心して働くための大きな一歩になります。

まとめ

ここまで、障害のある方におすすめの職種や、障害種別ごとの適職、働きやすい環境のポイント、お仕事の探し方まで、幅広くご紹介してきました。

ひとくちに「障害者雇用」といっても、障害のある方は一人一人状況が異なり、その内容は本当に多様です。

障害の特性や生活のリズム、得意なこと・苦手なことによって、向いている仕事や職場の環境は変わってきます。

そして何よりも大切なのは、「自分に合った働き方」を無理せず見つけていくことです。

「こんな仕事なら、自分でもできそうかも」
「安心して相談できる場所があるなら、少し動き出してみようかな」

そんな小さな前向きな気持ちを大切に、まずは一歩を踏み出してみませんか？

もし、「どんな仕事が自分に向いているのかわからない」「応募先でどんな配慮をお願いすればいいのか不安」といったお悩みがあれば、ぜひ専門の就職支援サービスを活用してみてください。

私たちが運営する【スグJOB】では、障害のある方の働きたい気持ちに寄り添い、職種選びから応募・面接の準備、職場定着までを丁寧にサポートしています。

事務や軽作業、在宅勤務、クリエイティブ職など、あなたの希望や特性に合わせた幅広い求人情報をご紹介しています。

一人で悩まず、私たちと一緒に「自分らしく働ける未来」を探していきましょう。

あなたの一歩を、心から応援しています。