就労継続支援B型とは?|仕事内容・対象・工賃・利用手順まで完全ガイド
「働きたいけれど、体力やスキルに自信がない」
「一般就労は難しいけれど、日中活動の場や収入が欲しい」
そのように感じている障害のある方にとって、就労継続支援B型は1つの選択肢となります。
就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい方々に、無理なく働ける環境を提供する福祉制度です。
就労継続支援B型の事業所では、雇用契約を結ばずに「作業の体験」「訓練」「日中の居場所」を得られます。
利用者は、軽作業や施設外就労を通じて少しずつ働く力をつけながら、自分のペースで通うことができます。
この記事では、「就労継続支援B型とはなにか」から、仕事内容・利用できる人の条件・工賃の仕組み・料金・利用開始の流れまで、必要な情報をわかりやすく整理しました。
就労支援を検討している方や、そのご家族が不安を解消できるように、丁寧に解説していきます。
また、読み進める中で「就労継続支援ではなく一般企業に就職したい」と思われた方は、障害者向け職業紹介サイト スグJOB からも情報を確認できます。
B型事業所の利用を考えている方や、ご家族・支援者の方にとっても参考になるように情報をまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
- 就労継続支援B型の全体像|「仕事の内容・対象・利用のながれ」をまず把握する
- A型・B型・就労移行のちがいを整理|雇用契約の有無・賃金/工賃・利用期限・目的
- 利用できる人の条件|対象者要件・主治医の了解・アセスメントの考え方
- 就労継続支援B型の仕事の内容|6つの支援領域で毎日を支える
- 働き方の設計|勤務時間・日数・利用期間を無理なく調整する
- 工賃の基本理解|目安・地域差・伸ばし方の方向性
- 利用料金と自己負担|世帯収入による上限月額と実費の確認
- 利用開始までの手順|主治医相談→見学体験→申請→受給者証→契約
- 事業所選びのチェックリスト|作業・雰囲気・支援方針・アクセスを総合評価
- スタッフの役割と活かせる資格|現場で生きる専門性の選び方
- 成功事例に学ぶ運営改善|工賃アップと定着支援の両立をめざす
- 利用者と家族が感じるやりがい|信頼関係・成長実感・社会参加の積み重ね
- よくある質問(Q&A)|併用可否・長期利用・再開・工賃の考え方
- まとめ|見学予約から小さな目標設定まで「今できる一歩」を具体化する
就労継続支援B型の全体像|「仕事の内容・対象・利用のながれ」をまず把握する
まずは、「そもそも、就労継続支援B型とはどういったサービスなのか」という全体像から解説していきます。
この記事でわかること|就労継続支援B型の目的と日々の支援の範囲
就労継続支援B型を検討するうえで、多くの方が知りたいのは次のような点ではないでしょうか。
- 就労継続支援B型の設立目的
- 実際の仕事内容はどのようなものか
- 誰が対象になり、どのように利用できるのか
- 工賃はいくらぐらいもらえるのか
- 利用料金や負担はどのくらいかかるのか
- 利用開始までにどんな手続きが必要か
特に就労継続支援B型の仕事内容に関しては、日常的に行われる作業の種類や支援体制、さらに工賃の仕組みまで、利用を検討するうえで欠かせない情報を整理します。
また、就労継続支援B型は「仕事」だけでなく、生活リズムの安定や社会参加のきっかけづくりにも大きな役割を果たしています。
利用者は、事業所での作業を通じて「通う習慣」「仲間との関わり」「体調に合わせた働き方」を学ぶことができます。
さらに、本人だけでなく家族も含めて相談ができる場があることも特徴です。
このように、就労継続支援B型は単なる作業訓練の場ではなく、「働くこと」と「生活を支えること」の両方を目的とする支援制度である点を理解しておきましょう。
就労継続支援B型の基本定義|非雇用型で働く機会と訓練を提供するしくみ
就労継続支援B型とは、障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」のひとつです。
定義としては、一般企業への就労が難しい方に、雇用契約を結ばずに「働く機会」と「生産活動の訓練」を提供するしくみとされています。
まず押さえておきたいのは、就労継続支援B型が 「非雇用型の働き方」であるという点です。
就労継続支援はA型とB型の2つに分けられます。
一般企業や就労継続支援A型では、雇用契約を結んで就労し、決められた勤務時間や仕事の責任が求められます。
対して、就労継続支援B型の利用者は雇用契約を結びません。
利用契約を交わして事業所に通い、作業に取り組むスタイルです。
利用者は事業所が用意した作業に参加する形となり、事業所は1人ひとりの体調やペースに合わせて仕事ができるように調整します。
例えば、短時間勤務から始められ、必要に応じて休憩を取りながら働くことも可能です。
事業所は無理なく続けられる仕事を利用者へ提供し、利用者の得意なことを活かしながら、少しずつ自信を持てるような環境を整えています。
このように、就労継続支援B型は、様々な事情で一般企業への就職が難しい方や、安定した雇用を維持することが難しい方に対して、働くことで生活リズムを整えたり、社会参加を促したりする役割を担っています。
そのため、就労継続支援B型で得られる収入は「給与」ではなく「工賃」と呼ばれ、労働基準法に基づく最低賃金の保障はありません。
就労継続支援B型には以下のような特長があります。
- 体調やペースに合わせた通所ができる
→ 半日や週1回からでも利用可能な場所も。無理なく継続しやすい。 - 幅広い仕事の内容に挑戦できる
→ 封入・清掃・農作業・軽作業・アクセサリー製作・パソコン入力など。 - 生活支援や相談支援が同時に受けられる
→ 服薬の見守りや家族への連絡調整など、生活全般をサポート。
つまり、就労継続支援B型は「収入」よりも 「自分のペースで働く経験を積み、生活を安定させること」を重視した制度といえます。
就労継続支援B型は 「働く経験を積みながら、生活全般を支える福祉サービス」 なのです。
まずこの定義を理解しておくことが、事業所選びや将来設計を考えるうえでの出発点になります。

A型・B型・就労移行のちがいを整理|雇用契約の有無・賃金/工賃・利用期限・目的
就労支援サービスにはB型以外にも「A型」「就労移行支援」という2つの主要な選択肢があります。
どれも「働くことを支える制度」ですが、雇用契約の有無・賃金や工賃の仕組み・利用期間の制限・最終的な目的が大きく異なります。
利用を検討している方にとって大切なのは、「自分の体調・経験・将来の目標」に最も合ったサービスを選ぶことです。
ここでは、比較のポイントを整理しながら違いを理解していきましょう。
比較の見方|自分に合う支援サービスを選ぶ基準
まず最初に、どの制度を選ぶかを考えるときの基準を整理してみましょう。
- 雇用契約の有無
→ 働いた分が「給与」として支払われるのか、それとも「工賃」として分配されるのか。 - 収入の安定性
→ 最低賃金が保障されるのか、それとも作業成果に応じて変動するのか。 - 利用期限の有無
→ 長期的に通所できるのか、2年などの制限があるのか。 - 最終的なゴール
→ 「一般就労につなげること」なのか、「安心して長く通える居場所を持つこと」なのか。
これらを整理したうえで、A型・B型・就労移行の違いを具体的に見ていきます。
就労継続支援A型とのちがい|雇用の有無と働き方の幅
A型事業所は、事業所と雇用契約を結び、「従業員」として働く形態です。
労働時間や勤務日数が決められており、給与は最低賃金以上が保障されるなど、労働条件も労働基準法の対象になります。
ある程度安定した収入を得ることができ、ほとんどの場合労災保険や雇用保険に加入できます。
労働時間などの条件を満たせば健康保険や厚生年金にも加入できることもあるなど、安定感が強みです。
一方で、B型事業所は非雇用型であり、働く方は作業に参加する「利用者」です。
そのため作業に対する収入は「工賃」等と呼ばれ、全国平均額は月23,053 円となり、A型の平均給与である86,752 円と比べると低い傾向にあります。
(「令和5年度工賃(賃金)の実績について」|厚生労働省|2025年10月確認)
B型の強みは、雇用契約に縛られないため、体調や生活状況に合わせて柔軟に利用できることです。
「週1回だけ通所する」「半日だけ作業に参加する」といった働き方も可能で、無理なく継続しやすい仕組みになっています。
この柔軟さが、体力や生活リズムに不安がある方にとって安心材料となります。

就労移行支援とのちがい|就職準備の訓練と収入の扱い
就労移行支援は、一般就労を目指すための訓練・準備を行うサービスです。
利用期間は原則2年以内と定められており、その間に職業訓練や就職活動のサポートを受けられます。
就労移行支援とB型の最大の違いは、収入の有無です。
就労移行支援は、就労の前の準備という位置づけであるため、作業による工賃や給与は発生せず、あくまで訓練の場となります。
一方でB型では、少額ではありますが工賃を得ながら通所できるため、「働きながら生活リズムを整える」ことが可能です。
つまり、
- 「将来は一般企業就職を目指したい」→ 就労移行支援
- 「安定して通える場所が欲しい」→ 就労継続支援B型
と整理するとわかりやすいでしょう。
【表】就労継続支援A型・B型・就労移行支援の比較
就労継続支援A型・B型・就労移行支援の違いを、以下の表に整理します。
| 項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 |
| 目的 | 安定就労・自立 | 働く体験・日中活動・社会参加 | 一般就労への移行 |
| 雇用契約 | あり(労働者として雇用) | なし(利用契約のみ) | なし |
| 利用期間 | 制限なし | 制限なし | 原則2年
※延長は最大1年 |
| 対象者 | 障害や難病があり、一般企業での就労は難しいが、雇用契約に基づき働ける人 | 障害や難病があり、企業就労やA型の就労が難しい人 | 障害や難病があり、一般就労を目指す人 |
| 収入 | 給与あり
月平均 86,752 円 |
工賃あり
月平均 23,053円 |
なし |
| 訓練内容 | 事業所内作業・実務 | 軽作業・施設外就労・生活支援 | ビジネスマナー・職場実習・就活支援 |
比較をもとに、自分に合ったサービスがどれなのかをまずは検討してみましょう。
利用できる人の条件|対象者要件・主治医の了解・アセスメントの考え方
就労継続支援B型は誰でも自由に申し込めるわけではなく、利用するためには一定の条件や手続きが求められます。

先に述べたように、就労継続支援B型は、一般就労やA型での雇用が難しい方に対して、「働く場」と「日中活動の場」を提供する制度です。
そのため、対象者は障害や難病をお持ちの方のうち、以下のいずれかの条件を満たす方となります。
- 就労経験があり、年齢や体力の面で仕事が困難となった方
- 50歳以上の方
- 障害基礎年金1級の受給者
- 就労移行支援事業所などでB型の利用が適切と判断された方
障害者手帳は必ずしも必要ではなく、居住地の自治体から障害福祉サービス受給者証を受給することで利用できるようになります。
その際、主治医の意見書や診断書、相談支援専門員によるアセスメント(利用適性の確認)などが必要です。
※利用条件は自治体によっても異なりますので、ご自分が条件に合っているかどうかは、お住まいの自治体の福祉課などに問い合わせてください。
以下に、条件を1つずつ見ていきましょう。
1.就労経験があり、年齢や体力の面で仕事が困難となった方
「以前は企業で働いていたが、体力が落ちて長時間労働が難しくなった方」などが対象です。
50歳未満の場合は、就労アセスメントなどを通じて、利用が適切かどうかを判断する必要があります。
2.50歳以上の方
50歳以上の方は、利用の際に就労経験や就労アセスメントなどが不要になります。
3.障害基礎年金1級の受給者
障害基礎年金1級を受給している方は、就労経験や就労アセスメントなどがなくてもB型事業所を利用できます。
4.就労移行支援事業所などでB型の利用が適切と判断された方
その他、就労アセスメントなどを通じて利用適性があると判断された方が対象になります。
障害者手帳が無いときの手続き|診断書などの書類での申請可否
就労継続支援B型を利用するには、多くの場合 障害者手帳(身体・療育・精神) の提示が求められます。
しかし、状況によっては手帳を持っていなくても利用できます。
例えば、指定難病の受給者証や医師の診断書をもとに、市区町村が必要性を認めた場合には利用が可能です。
この場合は、主治医の意見書や医療機関からの診断書が大きな判断材料となります。
ただし、自治体によっても運用は異なります。
「手帳が無いから無理」と思い込まず、まずは市区町村の障害福祉課や相談支援事業所に確認しましょう。
就労継続支援B型の仕事の内容|6つの支援領域で毎日を支える
就労継続支援B型は、単に「作業を行う場所」ではありません。
日々の生活や社会参加を支えるために、6つの支援領域を柱としています。
利用者は生産活動や施設外就労だけでなく、生活支援や相談、送迎まで幅広いサポートを受けられます。
この総合的な支援体制が、無理なく継続できる安心感を生み出しています。
順番に見ていきましょう。
1.生産活動の支援|特性に合う作業を設計し安全と品質を守る
就労継続支援B型の支援の中心となるのが 生産活動の支援 です。
利用者の特性や体調に合わせて、無理なく取り組める作業を設計します。
例としては、以下のようなものがあります。
- 内職作業(封入・袋詰め・シール貼り)
- 清掃業務(オフィスや公共施設の清掃)
- 軽作業(部品の組み立てや検品)
- 農作業(野菜や花の栽培)
- 手工芸(アクセサリーや雑貨づくり)
- IT関連(データ入力や簡単なパソコン作業)
食品製造やハンドメイドなど、特定の作業内容に特化した事業所もあります。
事業所では 安全面や品質管理 も重視し、作業工程を細かく分けて、誰でも取り組みやすい仕組みを整えています。

2.施設外就労の支援|実習先の開拓と現場フォローの体制
近年注目されているのが「施設外就労」です。
これは事業所の外に出て、企業や地域団体と連携して働くスタイルです。
例えば、スーパーでの商品陳列、ホテルの清掃、農場での収穫作業などがあります。
現場には支援員が同行することも多く、利用者が安心して作業できるようフォローします。
施設外就労は「社会とつながる経験」を積む貴重な機会であり、将来的にA型や一般就労へ繋げやすくもなります。
3.日常生活の支援|服薬や食事の見守りと余暇の企画
就労継続支援B型は、仕事だけでなく生活面の支援も行っています。
- 服薬の声かけ・確認
- 昼食時の見守りや食事介助
- 健康チェック(体調や血圧の確認)
- 余暇活動の企画(季節行事や趣味活動)
特に体調が不安定な方にとって、こうした日常生活支援は働く上での安心に繋がります。
4.相談支援(利用者・家族)|困りごとを早く拾う面談と記録
利用者や家族にとって欠かせないのが相談支援です。
事業所では定期的な面談を行い、体調・人間関係・家庭の悩みなど幅広い課題を聞き取ります。
相談の記録を残し、支援員間で共有することで、問題を早期に解決する体制も整っています。
5.個別支援計画(ISP)の作成と見直し|目標設定→実施→評価のループ
就労継続支援B型の支援は、場当たり的なものではなく、計画に基づいて行われます。
利用開始時には「個別支援計画(ISP)」を作成し、本人の目標や課題を明確にします。
また、計画は定期的に本人や家族を交えて見直されます。
6.送迎と通所サポート|安全運行と遅刻欠席の連絡ルール
最後に、利用者の通所を支えるのが 送迎サービス です。
多くの事業所では、自宅近くまで車で送迎を行い、安全に通える環境を用意しています。
送迎や通所支援は「毎日続けるための土台」であり、就労継続支援B型が生活の一部として根付く大きな要素となっています。
働き方の設計|勤務時間・日数・利用期間を無理なく調整する
就労継続支援B型の大きな特徴は、働き方を柔軟に設計できることです。
就労継続支援B型の仕事内容は多様ですが、それを支える仕組みとして、勤務時間・通所日数・利用期間が個々の体調や生活状況に応じて調整できます。
一般就労のように「週5日・1日8時間勤務」を前提とせず、半日や週1回からでも利用可能な点は、体調が安定しにくい方にとって大きな安心です。
ここでは、B型事業所での働き方の調整方法について詳しく見ていきましょう。
半日・週1の利用から始める計画|負荷を上げる手順
B型事業所では、最初からフルタイムに近い形で通所する必要はありません。
むしろ、半日・週1日からの利用を推奨するケースも多くあります。
たとえば、
- 最初の1か月は「午前中のみ、週2日」
- 慣れてきたら「週3〜4日に増やす」
- 体調が安定してきたら「午後も参加する」
といった形で、段階的に負荷を高めていくことができます。
このステップアップ方式は、「無理をして途中で辞めてしまう」リスクを減らすうえで非常に有効です。
体調がゆらぐ日の対応|サインの見つけ方と作業の切り替え
障害や難病を抱える方にとって、体調が日によって変わることは珍しくありません。
就労継続支援B型では、そうしたゆらぎに柔軟に対応する仕組みがあります。
たとえば、
- 体調が悪いときは「休憩を長めにとる」
- 集中力が落ちてきたら「簡単な作業に切り替える」
- 無理に通所せず「欠席の連絡をして休養する」
といった対応ができます。
はじめての1週間モデル|導入期の過ごし方
初めて就労継続支援B型を利用する際には、1週間の導入モデルを想定するとわかりやすいです。
例としては以下のようなスケジュールです。
- 月曜日:午前中のみ、軽作業を体験
- 火曜日:休養日(体調を整える)
- 水曜日:午前作業+昼食、午後は早退
- 木曜日:休養または通所
- 金曜日:午前・午後の作業に参加
このように、最初は「通所リズムをつくること」を優先します。
慣れてきたら作業時間を少しずつ延ばし、生活リズムと体調に合わせて安定した通所スタイルを確立していきます。
また、1日の流れは、以下のようになります。
- 09:30~ 朝の送迎や体調確認
- 10:00~ 午前の作業(適時休憩を挟む)
- 12:00~ お昼休み
- 13:00~ 午後の作業(適時休憩を挟む)
- 15:00~ 終礼や振り返り後、帰宅
上記は一例ですが、このように利用者に無理のないスケジュール設計が特徴です。
作業内容は地域や事業所によって多様ですが、封入作業や清掃、農作業、リサイクル作業、パソコン入力などがあります。
工賃の基本理解|目安・地域差・伸ばし方の方向性
就労継続支援B型を利用するうえで、多くの方が関心を持つのが 工賃(こうちん) です。
工賃とは、利用者が行った作業に対して事業所から支払われる「収入」のことを指します。
一般就労やA型のような「給与」ではなく、事業所の生産活動から得られた収益をもとに分配される仕組みです。
つまり、就労継続支援B型での仕事内容にどの程度取り組んだか、事業所の売上がどれだけあるかによって金額が左右されます。
ここでは、工賃の目安・伸ばし方・原資の考え方を整理していきましょう。
平均工賃の目安と幅|時間換算で考える視点
厚生労働省の調査によると、就労継続支援B型の工賃は月平均23,053円となっています。(「令和5年度工賃(賃金)の実績について」|厚生労働省|2025年10月確認)
事業所や地域によって差があり、5,000円程度のところもあれば、3万円以上を実現しているところも存在します。
時間単価に換算すると、1時間あたり200〜300円前後となります。
最低賃金と比べると低額ですが、B型事業所は「収入の確保」よりも「日中活動と社会参加」「無理なく働く経験」を目的としています。
B型事業所を検討する際は、金額の多さだけではなく、作業内容や環境を見て判断するようにしましょう。
工賃アップの打ち手|原価見直し・販路開拓・価格設定・作業メニュー再設計
工賃を上げるため、事業所側も日々工夫を行っています。
例えば、取り組みとしては以下のようなものがあります。
- 原価の見直し:材料費や作業効率を改善し、利益率を高める
- 販路の開拓:地域イベントやオンライン販売を活用して売上を増やす
- 価格設定の工夫:商品の価値に見合った価格を設定し、安売り競争から脱却する
- 作業メニューの再設計:利用者の得意分野を活かせる作業を増やす
こうした取り組みにより、実際に工賃を全国平均の2倍以上に伸ばしている事業所も存在します。
つまり、工賃の高さは「どの事業所を選ぶか」によっても大きく変わるのです。
事業収入と工賃原資の見える化|生産性と稼働率の管理
工賃は「事業所の生産収益」から支払われるため、経営状況に左右されます。
そのため、事業収入と工賃の関係を利用者に見える化することが求められます。
たとえば、
- 「商品の売上が増えると工賃に反映される」
- 「稼働率が上がると事業収入が安定する」
といった仕組みを説明することで、利用者のモチベーションを高めている事業所もあります。
利用料金と自己負担|世帯収入による上限月額と実費の確認
就労継続支援B型を利用する際には、自己負担が発生する可能性があります。
ただし、多くの方は「世帯収入に応じた月額上限」が設定されているため、実際の負担は限定的です。
利用料金そのものが大きな障壁になることは少ないですが、思わぬ出費となることもあります。
この章では、自己負担の仕組み・実費の考え方・上限月額について解説します。
区分ごとの負担上限の考え方|無料~上限のレンジ
就労継続支援B型の利用料は、原則として1ヶ月にかかったサービス利用料の1割となっています。
ただしこの支払額には上限が定められており、その人の上限額は「世帯所得」によって決まります。
具体的には、以下の区分に分けられます。
| 区分 | 月額上限 | 留意点 |
| 生活保護世帯 / 市町村民税非課税世帯 | 0円 | 自己負担なし |
| 一般世帯(収入が一定以下) | 9,300円 | 20歳以上の入所施設利用者、グループホーム利用者を除く |
| 上記以外 | 37,200円 |
(「障害者の利用者負担」より作成|厚生労働省|2025年10月確認)
なお、世帯所得とは、18歳以上の方の場合本人とその配偶者の所得合計、18歳未満の方の場合は住民基本台帳上の保護者(父母など)の世帯所得合計となります。
この表のように、自己負担は「世帯収入」で大きく変わります。
なお、実際にはほとんどの利用者が0円または9,300円の範囲内に収まっているのが実情です。
そのため、安心して通所を継続できるようになっています。
食事・送迎などの実費と加算の取り扱い
利用料金のほかに注意すべきなのが、実費負担です。
何を実費負担とするかは事業所にもよりますが、代表的なものには、
- 昼食代
- 通所の交通費・送迎費用(事業所によっては無料の場合もある)
- 行事やレクリエーションの費用
- 作業で使う作業着・道具・材料費の一部
などがあります。
利用開始までの手順|主治医相談→見学体験→申請→受給者証→契約
就労継続支援B型を利用するためには、手続きが必要になります。
就労継続支援B型の作業に参加する前段階として、主治医との相談から始まり、見学・体験、申請、受給者証の取得、事業所との契約と進んでいきます。
流れを理解しておくことで、安心して準備を進められるようになります。
主治医へ相談するときのポイント|就労可否と留意事項の確認
まず最初に行うべきは、主治医への相談です。
B型事業所で働くことが可能か、医師の意見を確認します。
特に大切なのは、
- 体力的に無理なく通えるか
- 作業内容に制限が必要か(重量物が持てない、長時間の集中が難しいなど)
- 服薬や通院の影響をどう考えるか
といった点です。
特に障害者手帳をお持ちでない方の場合、医師の診断書や意見書は、市区町村の申請においても必須となります。
ここでしっかり確認しておきましょう。
事業所の探し方|見学・体験の申込みとチェックメモ
次に行うのが、事業所の見学や体験利用です。
B型事業所は地域ごとに複数存在するため、自分に合う場所を選ぶことが重要です。
見学・体験時には、次のようなポイントをチェックすると良いでしょう。
- 作業内容が自分に合っているか(やりたいか/できそうか)
- 送迎や交通アクセスの便利さ(通所が負担にならないか)
- 工賃の実績(求める額と合っているか)
- 職員や利用者同士の関係性や雰囲気
これらを比較しながら、自分に合う事業所を選びましょう。
障害福祉サービス受給者証の申請|申し込み方法
事業所が決まったら、お住まいの市区町村の窓口に 「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。
この受給者証がないと、就労継続支援B型を正式に利用することはできません。
発行のためには審査が必要となり、訪問による調査などが行われます。
サービス等利用計画書の作成、受給者証発行|相談支援専門員との進め方
受給者証の申請後、市区町村から依頼が来たらサービス等利用計画書を作成します。
計画書には本人の希望・目標・課題を整理してまとめます。
自治体が紹介する相談支援専門員と一緒に、介護を行う方にも聞き取るなどして作成されます。
自分自身で作成することもできます。
この計画書は、受給者証を発行するための基礎資料となるため、「自分にはどんな支援が必要か」「B型で何を目指すか」をしっかり明文化しておきましょう。
その後受給者証が発行されると、就労継続支援の利用が可能になります。
このとき、利用者負担の上限額も決定されていますので確認しましょう。
なお、発行までは最長で2ヶ月ほどかかる場合があります。
契約から初日の流れ|オリエンテーションと目標共有
受給者証が交付されたら、事業所との契約 を行います。
契約時には利用規約や工賃の仕組み、送迎や食事などの詳細を確認します。
初日の通所では、オリエンテーションとして
- 施設のルール説明
- 目標や希望の共有
- スケジュール確認
が行われるのが一般的です。
また、サービス料の支払いなども発生する可能性があります。
こうして一連の流れを経て、就労継続支援B型の仕事内容に取り組む準備が整います。
事業所選びのチェックリスト|作業・雰囲気・支援方針・アクセスを総合評価
就労継続支援B型を安心して利用するためには、事業所選びがとても重要です。
就労継続支援B型の仕事内容は事業所によって大きく異なり、工賃や支援体制、雰囲気も千差万別です。
そのため、「どの事業所を選ぶか」が通所の満足度や継続性を左右するといっても過言ではありません。
ここでは、事業所選びで確認しておきたいチェックポイントを整理します。

作業内容とペースが合うか|疲労度と集中の持続時間で判断
内職作業・農作業・清掃・パソコン業務など、就労継続支援B型の仕事内容は多岐にわたります。
大切なのは、自分の体力・集中力に合った作業かどうかです。
例えば、長時間の座り作業が得意な方には内職やPC業務が向いています。
体を動かすのが好きな方には農作業や清掃が適しているでしょう。
ものづくりが好きな方には、パン製造やハンドメイドに特化した事業所もあります。
見学や体験を通じて「疲労度」「集中が続く時間」を確認し、自分に合う作業を選ぶことがポイントです。
職員体制と支援の質|声かけ頻度・記録の精度・家族連携
安心して利用を続けるには、職員のサポート体制が重要です。
チェックする視点としては、
- 職員が利用者にどのくらい声をかけているか
- 記録や振り返りを丁寧に行っているか
- 家族との連携を大切にしているか
といった点があります。
「体調が悪そうなときに気づいて声をかけてくれるか」など、支援の質は日常の小さなやり取りに表れます。
安心して通える環境かどうかを見極めるポイントにしましょう。
工賃だけに偏らない見方|モチベーションとスキル獲得の両立
事業所を選ぶ際に「工賃が高いかどうか」だけで判断するのは危険です。
もちろん工賃は大事ですが、B型の本来の目的は「自分に合った働き方の継続」「生活リズムの安定」「社会参加」にあります。
そのため、以下の視点も忘れずに確認しましょう。
- 作業を通じて新しいスキルを学べるか
- 継続して通える雰囲気があるか
- 小さな達成感を積み重ねられるか
収入面だけでなく、モチベーションや生活全体の充実度も含めて評価することが大切です。
アクセス・送迎・交通費の確認|通いやすさの重要性
最後に忘れてはいけないのが、通いやすさです。
どんなに内容が良くても、通所に負担がかかりすぎると継続は難しくなります。
- 自宅からの距離や公共交通機関でのアクセス
- 送迎サービスの有無と範囲
- 交通費の自己負担の有無
これらを確認しておくことで、「無理なく通えるかどうか」を判断できます。
特に送迎の有無は大きな差になるため、事前に必ずチェックしておきましょう。
スタッフの役割と活かせる資格|現場で生きる専門性の選び方
事業所選びの際は、スタッフの人員体制も重要な判断材料になります。
就労継続支援B型を支えているのは、様々な役割と専門性を持つスタッフです。
ここでは、現場で働くスタッフの役割分担と資格について解説します。
職業指導員と生活支援員の役割分担|工程設計と生活課題の支援
まず中心となるのが、職業指導員と生活支援員です。
- 職業指導員
利用者が行う作業(パン作り、PC作業など)の工程を設計し、効率的かつ安全に進められるよう指導します。
作業のやり方を丁寧に説明し、品質チェックや改善提案も行います。
一般企業への就業のための訓練なども担当しています。 - 生活支援員
日常生活全般に関するサポートを担います。
服薬の声かけ、体調管理、金銭管理のアドバイス、食事や排泄の介助、家族との連絡調整など、生活面での安心を支えます。
この2つの役割がバランスよく機能することで、利用者は「働くこと」と「生活の安定」の両方を実現できるのです。
サービス管理責任者(サビ管)の仕事|ISP統括と会議運営
事業所全体の支援を統括するのが、サービス管理責任者(サビ管)です。
就労継続支援B型では、サービス管理責任者は障害者総合福祉法により配置が義務付けられています。
サービス管理責任者は、職員会議を運営し、支援方針を決定するアセスメントの役割を担います。
また、利用者ごとの 個別支援計画(ISP) を作成・見直しし、支援が計画通りに進んでいるかを管理します。
それ以外にも、「作業で困っている利用者はいないか」「生活支援で改善点はないか」といった課題を職員間で検討し、現場の支援に反映させるといったマネジメントの役割も担っています。
サービス管理責任者が機能している事業所ほど、支援の質が安定しているといえるでしょう。
各種相談支援業務|社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・初任者研修・作業療法士
就労継続支援B型では、利用者の方への相談支援を行うため、福祉や医療に関する各種専門資格を持ったスタッフが活躍しています。
- 社会福祉士:福祉制度の知識を活かし、相談支援や家族連携をサポート
- 精神保健福祉士:精神障害や発達障害に関する専門支援、医療機関との連携を担当
- 介護福祉士・初任者研修修了者:日常生活支援や身体介助をサポート
- 作業療法士(OT):リハビリテーションの観点から作業内容を調整し、機能訓練を行う
これらの資格を持つスタッフが配置されているかどうかは、事業所選びの大きな判断材料となります。
特に医療的ケアや精神的サポートが必要な方にとって、専門性のある職員がいることは大きな安心につながります。
成功事例に学ぶ運営改善|工賃アップと定着支援の両立をめざす
近年、就労継続支援B型の事業所数および利用者数は増加しています。
例えば、2021年時点で事業所数は14,407箇所であったのが、2025年5月の数字では19,015箇所となっています。
利用者数も2025年は400,091人となっており、今後も拡大傾向にあることが予想されます。(厚生労働省|障害者の就労支援対策の状況|2025年10月確認)
この数字は、「働く機会」「日中活動の場」としての需要が高まっていることを示しており、事業所側でも運営改善を迫られている背景があります。
なぜ増えているのか、その理由として主に次のような点が挙げられます。
- 障害のある方や難病を抱える方の就労・社会参加ニーズの増加。
- 報酬制度・運営基準の見直しにより、B型事業所の参入・運営が促進されている。
- 事業所が「工賃アップ」「定着支援」を重視した運営改善に取り組むようになったこと。
こうした運営改善は、利用者にとって大きな意味を持ちます。
また、地域企業との連携で施設外就労を広げた事業所では、働く実感・社会参加の実感が利用者の定着につながっています。
工賃はもちろん大切ですが、就労継続支援の大きな目的は次の就職に繋げるための訓練であり、働く実感ややりがいを得られるようになることです。
利用者目線から見れば、事業所選びの際に「運営改善に取り組んでいるかどうか」を判断材料にすることが大変有効です。
あなたが通うB型事業所を選ぶ際には、ぜひ「運営改善とその実践」の有無もチェックしてみてください。
全国の成功事例を見ると、工賃アップと定着支援を両立させている事業所には共通点があります。
ここでは、その具体的な取り組みを紹介します。
原価・販路・価格の見直しで成果を伸ばした実践の要点
ある事業所では、従来から行っていた内職作業だけでは工賃が伸び悩んでいました。
そこで取り組んだのが、設備投資・販路拡大・価格設定の改善です。
- 設備投資:助成金を利用して作業機械を導入。生産効率をアップし、新規の受注に対応できる体制を確立
- 販路拡大:これまで開拓していなかった業種の企業へ営業を行い、新規の受注を獲得
- 価格設定の改善:商品の付加価値を高め、適正価格で販売
この結果、作業者に無理な負担なく生産量と売り上げを増やし、工賃アップに成功しています。
工賃が上がったことで利用者のモチベーションも高まり、「頑張れば工賃に反映される」という実感が得られるようになったのです。
地域企業との連携で施設外就労を広げるプロセス
別の事業所では、地域企業との連携に力を入れました。
最初にコンセプトをしっかりと設計し、ブランド力を高めた上で地元スーパーや清掃会社、農園などと契約し、施設外就労の場を増やしたのです。
利用者にとっては「社会と直接つながる経験」が得られるため、生活リズムの安定や就労意欲の向上につながりました。
企業にとっても「人手不足の解消」というメリットがあり、企業との連携を深めることで、より収益性の高い業務を回してもらえるようにもなり、事業所にとっては利用者の工賃アップにつながりました。
このように、地域社会との協力関係を築くことは、工賃アップと定着支援を同時に実現する有効な手段となります。
成功事例に共通しているのは「作業を増やす」のではなく、提携先を増やす営業努力と、利用者が誇りを持てる仕事の内容を提供することです。
こうした工夫によって、就労継続支援B型は単なる作業の場から、「やりがいと成長を実感できる場」へと進化しています。
利用者と家族が感じるやりがい|信頼関係・成長実感・社会参加の積み重ね
就労継続支援B型は、単に「仕事をする場」ではありません。
日々の活動を通して、利用者本人だけでなく、その家族にとっても大きなやりがいや安心感を与える役割を果たしています。
就労継続支援B型の仕事内容は、一見すると軽作業や単純作業に思えるかもしれません。
ですが、その積み重ねによって、信頼関係・成長実感・社会参加といった大切な価値を生み出します。
言葉かけと承認の設計|小さな成功の見つけ方
やりがいを感じるためには、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。
B型事業所の職員は、日々の作業の中で「ここが上手にできたね」「昨日よりスピードが上がったね」といった声かけを行います。
こうした承認の積み重ねが、利用者の自信を育みます。
たとえ数分の集中や、数個の製品を仕上げるといった小さな進歩でも、「自分にはできることがある」という実感につながるのです。
このプロセスは、就労継続支援B型ならではの支援スタイルといえます。
不安や誤解への対応|面談・記録共有・第三者支援の活用
一方で、利用者や家族は「本当に続けられるのか」「工賃が少ないことへの不安」といった悩みを抱えることも少なくありません。
そのため事業所では、定期面談や記録共有を通じて、利用状況や今後の見通しを分かりやすく伝えています。
また、必要に応じて相談支援専門員や医療機関など、第三者と連携することで、家族の安心感も高めています。
「一人で抱え込まなくてもいい」という仕組みがあることは、継続利用の大きな支えとなります。
社会参加の積み重ねがもたらす効果
B型事業所に通うことは、社会参加の第一歩でもあります。
仲間と作業を分担し、地域のイベントや施設外就労に参加する中で、自然と「社会の一員である」という感覚が育まれていきます。
この感覚は、本人の自己肯定感だけでなく、家族にとっても「安心して送り出せる」という気持ちにつながります。
結果として、家庭全体の生活リズムや安心感にも良い影響を与えるのです。
工賃は重要ですが、利用者と家族が感じるやりがいは「工賃の額」だけでは測れません。
信頼関係の構築、成長の実感、社会参加の積み重ねこそが、就労継続支援B型の真の価値といえるでしょう。
よくある質問(Q&A)|併用可否・長期利用・再開・工賃の考え方
就労継続支援B型を検討する方やそのご家族からは、共通して多くの質問が寄せられます。
ここでは、実際によくある疑問をQ&A形式でまとめました。
就労継続支援B型の仕事内容を理解するうえでの参考にしてください。
障害者手帳が無くても利用できる?
Q:障害者手帳を持っていないのですが、利用は可能ですか?
A:原則として障害者手帳(身体・療育・精神のいずれか)が必要です。
ただし、医師の診断書や指定難病受給者証などがあれば、手帳がなくても利用できる場合があります。
市区町村の障害福祉課が判断するため、まずは相談支援事業所を通じて確認しましょう。
A型/B型/就労移行の併用はできる?
Q:A型や就労移行支援とB型を同時に利用することはできますか?
A:同時併用はできません。
ただし、時期をずらしての利用(例:就労移行支援を終了後にB型を利用する)は可能です。
利用目的や体調に応じて、相談支援専門員と調整しましょう。
長期利用と「卒業」の目安はどう考える?
Q:B型はどれくらいの期間利用できますか?
A:就労継続支援B型およびA型には、就労移行支援のような「原則2年」の利用期限はありません。
体調や生活の安定を目的に、長期的に利用し続けることができます。
一方で、「一般就労にチャレンジしたい」と希望が出てきた場合には、B型からA型へステップアップすることもあります。
卒業のタイミングは「本人の希望」「体調の安定度」「支援計画の評価」をもとに決めるのが一般的です。
工賃はどう決まり、どう伸ばせる?
Q:工賃はどのように決まりますか?
A:工賃は、事業所の生産活動で得られた収益をもとに分配されます。
そのため、同じ作業量でも事業所によって金額が異なります。
Q:工賃を伸ばす方法はありますか?
A:工賃アップは、
- 作業効率を上げる
- 新しい販路を開拓する
- 高付加価値の商品やサービスを提供する
といった取り組みによって実現します。
事業所によっては、地域企業と連携して施設外就労を拡大し、工賃を向上させている事例もあります。
利用者側の努力で工賃を上げることは難しいですが、高い工賃を目指すのであれば、より収益性の高い仕事を提供している事業所への入所がもっとも早いです。
このように、就労継続支援B型は「長く安心して通える制度」でありながら、「工賃や働き方を工夫することで成長していける制度」でもあります。
まとめ|見学予約から小さな目標設定まで「今できる一歩」を具体化する
就労継続支援B型は、一般就労やA型での雇用が難しい方に対して、働く場と生活を支えるサポートを提供する制度です。
就労継続支援B型の仕事内容は、封入や清掃などの軽作業から、施設外での実習、日常生活の支援や相談対応まで幅広く、利用者の状況に合わせて柔軟に設計されています。
ここまでの記事を振り返ると、B型を理解するための重要なポイントは次のとおりです。
- 利用できる人の条件:障害の種類や体調、主治医の判断により決定される
- 仕事内容の特徴:生産活動・施設外就労・生活支援など6つの領域で構成
- 働き方の柔軟性:半日や週1日から始められ、体調に合わせた利用が可能
- 工賃の仕組み:平均は月2万円前後、事業所の取り組みによって差がある
- 利用料金:多くの人は0円または 9,300円以内で利用できる
- 開始までの流れ:主治医相談→見学体験→受給者証取得→契約というステップ
- 事業所選びの視点:仕事内容・雰囲気・職員体制・アクセスを総合評価
- 家族と本人のやりがい:小さな成功体験の積み重ねが自信と安心につながる
大切なのは、「一度にすべてを解決しよう」とせず、今できる小さな一歩から始めることです。
まずは、気になる事業所の見学や体験を予約してみましょう。
実際に職員や利用者と接することで、パンフレットやネット情報ではわからない雰囲気が見えてきます。
また、就労継続支援B型を検討する中で「自分に合う働き方を探したい」と思った方は、当社が運営する スグJOBの活用もおすすめです。
スグJOBでは、障害のある方が安心して働ける求人情報や就労支援に関するコラムを幅広く掲載しています。
あなたにとっての「今できる一歩」は、見学予約かもしれませんし、主治医への相談かもしれません。
小さな一歩を積み重ねることで、やがて大きな安心とやりがいにつながっていきます。
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この記事の執筆者
2012年スクエアプランニング株式会社を設立。2016年より障害者パソコン訓練を愛知県の委託を受けて開始。人材ビジネス20年以上の経験をもとに様々な障害をお持ちの訓練生に対して社会進出、社会復帰のお手伝いをさせて頂いております。 今後もより多くの方に安心や自信を持って頂くことを念頭に、様々な情報発信をしていきたいと考えています。




