
睡眠障害のある方が安定して長く働くためのポイント
睡眠障害を抱えながら、働き続けることに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
夜に十分な休息が取れないことは、体力だけでなく、心の余裕にも影響を及ぼし、仕事への集中力や意欲を低下させてしまうことがあります。
その結果、日常業務に支障が出たり、将来の働き方に対して不安が募ったりすることも少なくありません。
しかし、適切な理解と配慮を得ながら働くことで、無理なく安定して長く働くことは十分に可能です。
本記事では、睡眠障害の基本的な種類や特徴をわかりやすくご紹介しながら、仕事選びのコツや、職場で長く活躍するためのポイントを、具体例を交えてやさしく解説していきます。
自分らしく働くためのヒントを、ぜひ最後までご覧ください。
睡眠障害の種類と症状
睡眠障害とは、睡眠に関する質や量、または睡眠・覚醒のリズムに何らかの問題が生じることによって、日常生活に支障をきたす状態を指します。
眠れない、寝すぎる、あるいは夜と昼のリズムが乱れるなど、症状の現れ方は人によってさまざまです。
睡眠障害は、本人にとって大きな負担となるだけでなく、社会生活や仕事にも影響を及ぼす可能性があるため、正しい理解がとても大切です。
ここでは、代表的な睡眠障害について、できるだけわかりやすくご紹介していきます。
不眠症(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)
不眠症とは、眠りにつきにくい、眠りが浅い、または十分に眠った感覚が得られないといった、睡眠の質や量に問題が生じる状態を指します。
代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 入眠障害:夜、布団に入ってもなかなか寝つけず、30分以上眠れないことが続きます。
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚め、その後の再入眠に苦労する状態です。
- 早朝覚醒:予定よりかなり早い時間に目が覚めてしまい、その後眠れなくなります。
- 熟眠障害:十分な睡眠時間をとっても、ぐっすり寝た感じがせず、朝起きたときに強い疲労感を覚えます。
これらの不調が慢性的に続くと、日中の集中力低下や倦怠感、気分の落ち込みを引き起こすことがあり、仕事や生活全般に大きな影響を及ぼすため注意が必要です。
過眠症
過眠症とは、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ、起き続けることが難しくなる病気です。
特に代表的な疾患に「ナルコレプシー」があり、これは突然、強い眠気に襲われ、意図せず眠り込んでしまう発作(睡眠発作)が特徴です。
過眠症を持つ方は、仕事中、授業中、運転中など、意識して起きていなければならない場面で急に眠ってしまうリスクがあるため、医療機関での適切な診断とサポートが重要です。
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害とは、体内時計(生体リズム)の乱れにより、社会的な生活リズム(朝起きて夜眠る)と自分の眠りのリズムがずれてしまう状態を指します。
典型的な例としては、次のような症状が見られます。
- 夜遅くまで眠れない(睡眠相後退型)
- 朝起きるのが極端に難しい
- 日中に活動できず、夕方以降にようやく元気が出る
このズレにより、出勤や通学に遅刻してしまったり、社会生活に支障をきたしたりすることがあり、特に規則正しい勤務が求められる職場では課題となります。
その他の睡眠障害
睡眠時呼吸障害
睡眠時呼吸障害には、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が代表的です。
これは、睡眠中に何度も呼吸が止まる(無呼吸)ことにより、夜間に十分な酸素が体に行き渡らなくなる障害です。
このため、夜間にぐっすり眠れず、朝起きたときに強い疲労感が残ることが多く、日中の眠気や頭痛、集中力の低下を引き起こす原因となります。
睡眠関連運動障害
睡眠関連運動障害には、例えば「むずむず脚症候群」や「周期性四肢運動障害」などがあり、睡眠中に脚や腕を無意識に動かしてしまう異常な運動が特徴です。
その結果、夜間に何度も目が覚めたり、眠りが浅くなったりして、しっかり休んだ感覚を得ることができません。
慢性的な疲労や集中力の低下につながるため、こちらも医師の診断が大切です。
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは、睡眠中に異常行動が現れる症状の総称です。
具体的には、寝言、夢遊病、夜驚症(夜中に突然叫びながら目覚める)などが含まれます。
これらの行動は本人に自覚がない場合が多く、家族や同居者が最初に異変に気づくことが多いです。
安全な睡眠環境を整え、必要に応じて専門医に相談することが推奨されます。
睡眠障害が仕事に与える影響
睡眠障害を抱えていると、仕事や人間関係にさまざまな影響が出ることがあります。
ここでは、特に多くの方が悩みやすい影響について、具体的にご紹介していきます。
パフォーマンス低下や事故リスクの増大
睡眠障害により、集中力や注意力が低下することは非常によくあります。
その結果、ちょっとしたミスが増えてしまったり、作業スピードが落ちてしまうことも少なくありません。
特に車両を運転する仕事や、工場などで機械を扱う仕事では、小さなミスが大きな事故につながるリスクを伴います。
眠気を我慢しながら仕事を続けることは非常に危険なため、無理をせず早めに対策を講じることが大切です。
コミュニケーション能力の低下
睡眠不足や慢性的な疲労感は、職場での円滑なコミュニケーションにも影響を与えます。
普段なら自然にできるはずの会話も、眠気が強いと億劫になったり、相手の話を正確に受け取れなかったりすることが増えてしまいます。
こうした小さなすれ違いが積み重なると、職場の人間関係にストレスを感じやすくなるため、注意が必要です。
欠勤率の上昇
睡眠障害による体調不良は、欠勤や早退の原因になりがちです。
「また休んでしまった」「周りに迷惑をかけてしまった」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
しかし、無理をして出勤を続けることで症状が悪化するリスクもあるため、適切なタイミングで休息をとることも大切な自己管理のひとつです。
必要に応じて、主治医や上司と相談しながら働き方を調整する工夫も取り入れていきましょう。
睡眠障害のある方の仕事探しのポイント
自分に合った働き方を見つけるためには、まず、現在の自分の体調や生活リズム、働ける時間帯、得意なことや苦手なことを整理することが必要になります。
その上で、自分の状況に合った勤務体系や職場環境を備えている仕事を探していきます。
ここでは、仕事探しを進めるうえで押さえておきたい、具体的な重要ポイントをわかりやすくご紹介します。
自身の症状や配慮事項を把握する
まずは、自分の睡眠障害の種類や症状の特徴を正確に理解することが出発点です。
例えば、「朝の起床が苦手」「昼間に強い眠気が出る」など、具体的な困りごとを整理しましょう。
次に、どのような配慮があれば働きやすいかをリストアップしておくと、企業との面談や職場探しの際にスムーズに伝えることができます。
理解と配慮のある職場を探す
睡眠障害に対する理解がある職場を選ぶことも、とても重要です。
障害者雇用枠での募集案件は、配慮事項が明記されている場合が多く、安心して応募しやすいでしょう。
求人票には、勤務時間の柔軟性や、体調に応じた勤務調整が可能かどうかなど、具体的な配慮内容が書かれているかを必ずチェックしましょう。
医療機関や専門家に相談する
就職活動を進める際には、主治医やカウンセラーなどの専門家に相談することも大切です。
働き方に関するアドバイスを受けたり、必要に応じて「就労可能」という診断書を取得したりすることで、企業側にも安心してもらう材料になります。
また、自分ひとりで抱え込まず、専門家と二人三脚で進めることが、よりよい就労環境につながります。
就労移行支援の利用を検討する
障害をお持ちの方を対象に、働く力を育てるためのサポートをしている就労移行支援事業所を活用するのもひとつの方法です。
ここでは、実際の職場に近い環境での実習体験を通して、自分に合った仕事のスタイルや業務内容を見極めることができます。
また、ビジネスマナーや面接対策、応募書類の作成サポートなども受けられるため、就職活動を総合的にバックアップしてもらえるのが大きな魅力です。
睡眠障害に適した職場環境
働きやすい環境づくりは、実は職場選びの段階から始まっています。
無理のないペースで長く働き続けるためには、職場の特徴をしっかり見極めることが大切です。
ここでは、特に押さえておきたいポイントを具体的にご紹介します。
睡眠障害への理解がある職場
まず大切なのは、睡眠障害に対する理解や配慮がきちんとなされている職場を選ぶことです。
例えば、社員向けに障害理解の研修を実施している企業や、障害者雇用の実績が豊富な企業では、困ったときにも相談しやすく、安心して働きやすい環境が整っている場合が多いです。
求人情報だけでは分かりにくいこともあるため、見学や面接時に「障害に対する社内の取り組み」を具体的に質問してみるのもおすすめです。
残業や夜勤のない勤務体系
次に重要なのは、規則正しい生活リズムを守れる勤務体系かどうかです。
睡眠障害を抱えている場合、残業や夜勤が頻繁にある仕事は、体調悪化の原因になりやすいです。
日勤中心で、決まった時間に出退勤できる職場を選ぶと、無理なく生活リズムを整えやすくなります。
なお、シフト制の仕事に応募する場合は、夜勤や変則勤務の頻度について事前にしっかり確認することをおすすめします。
勤務時間の柔軟性
体調の波に対応できる職場環境も、長く働くためには欠かせません。
例えば、フレックスタイム制(出勤・退勤時間を自分で調整できる制度)や、短時間勤務制度(週30時間以内の勤務など)を導入している企業では、睡眠状態に合わせた働き方がしやすくなります。
症状が不安定なときも、無理せず自分のペースで働きやすい制度が整っているかをチェックしましょう。
自身の能力を発揮できる業務
最後に、自分の得意なことを活かせる仕事を選ぶことが大切です。
たとえば、集中力が高い時間帯にできる作業系の仕事や、静かな環境で取り組める事務職や在宅ワークなどが向いている方もいます。
得意分野を活かすことで、睡眠障害による体調の波があっても、自信を持って働くことができるようになります。
職種選びに迷った場合は、過去の成功体験や、周囲から「向いている」と言われたことをヒントにしてみると良いでしょう。
睡眠障害のある方の職場定着のコツ
無理なく、そして長く働き続けるためには、いくつか意識したいポイントがあります。
焦らず一歩ずつ、自分らしく働ける環境を整えていきましょう。
労働条件の確認と交渉
労働条件の確認と交渉
働き始める前には、雇用契約や就業規則をしっかり確認することがとても重要です。
勤務時間、休憩時間、残業の有無、体調不良時の対応など、あいまいな部分をそのままにしないことが安心につながります。
特に、「通院で早退する場合の扱い」や「体調悪化時の休暇取得について」など、事前に確認・交渉しておくことが、働きやすさに直結します。
福利厚生制度の有効活用
企業によっては、短時間勤務制度や休職制度、フレックスタイム制度など、さまざまな福利厚生を整えているところもあります。
たとえば、体調が安定しない時期には短時間勤務に切り替えたり、無理をせず休職制度を利用したりすることで、長期的な就労を支える仕組みを活用できます。
入社前に、「どんな制度があり、どういう条件で利用できるのか」を確認しておきましょう。
良好な人間関係の構築
働きやすい職場をつくるうえで、周囲との信頼関係づくりはとても大切です。
毎日のあいさつ、小さな感謝の言葉、困ったときに素直に頼る姿勢。
こうした小さな積み重ねが、信頼を育み、支え合える環境をつくっていきます。
また、自分一人で抱え込まず、悩みを打ち明けられる同僚や上司を見つけておくことも、心の支えになります。
通院治療の継続と職場への報告
睡眠障害の症状を安定させるためには、通院と治療の継続が不可欠です。
主治医と相談しながら、必要に応じて職場にも体調や治療状況を伝える工夫をしましょう。
たとえば、「月に1回通院のため午後早退します」「薬の副作用で午前中に眠気が出ることがあります」といった具体的な伝え方をすると、職場の理解が得やすくなります。
障害者雇用枠での就労の検討
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睡眠障害を抱える方が安心して働き続けるためには、障害者雇用枠での就労を検討するのも選択肢です。
障害者雇用枠では、通院や体調管理への配慮が受けやすく、勤務時間や業務内容の調整にも柔軟に対応してもらえる可能性が高くなります。
求人探しには、障害者向け求人サイト「スグJOB」を活用するのがおすすめです。
あなたに合った働き方を一緒に考え、親身になってサポートしてくれる心強いパートナーとなってくれるでしょう。
まとめ
睡眠障害を抱えていても、正しい知識と適切な支援環境があれば、無理なく、そして長く働き続けることは十分に可能です。
まずは、自分自身の症状や体調の特徴、必要な配慮事項について、できるだけ具体的に整理しておきましょう。
そして、焦らず、自分のペースで一歩ずつ着実に進んでいくことを大切にしてください。
もし道に迷ったり、不安な気持ちになったりしたときには、就労支援機関や医療機関などの専門家の力を積極的に借りましょう。
誰かのサポートを受けることは、決して弱さではなく、よりよい未来を築くための前向きな選択です。
あなたには、あなたらしく働ける場所が必ずあります。
小さな一歩でも、あなたにとっての大きな一歩になるはずです。
これからの新しいスタートを、心から応援しています。
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この記事の執筆者
2012年スクエアプランニング株式会社を設立。2016年より障害者パソコン訓練を愛知県の委託を受けて開始。人材ビジネス20年以上の経験をもとに様々な障害をお持ちの訓練生に対して社会進出、社会復帰のお手伝いをさせて頂いております。 今後もより多くの方に安心や自信を持って頂くことを念頭に、様々な情報発信をしていきたいと考えています。