脳梗塞でもできる仕事 – 片麻痺の特性を理解し最適な職種を見つける

脳梗塞でもできる仕事 – 片麻痺の特性を理解し最適な職種を見つける

脳梗塞を経験し、片麻痺という後遺症を抱えることになると、日常生活に多くの困難が伴います。

特に、仕事を続ける上でどのような職種が適しているのかを見極めることが重要です。

この記事では、片麻痺の特性を理解し、その特性に合った職種を見つけるためのヒントにしていただければと思います。

脳梗塞とは

脳梗塞とは、脳を栄養する動脈の血行不良により、酸素や栄養を受けている神経細胞が死ぬことでさまざまな症状をきたす病気です。

脳梗塞は、脳卒中のうちの1つです。

一時的に血管が詰まる一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内に完全に元の状態に戻るため後遺症を残すことがなく、脳梗塞とは区別されます。

しかし、TIAは脳梗塞の前触れ発作ともいわれ、たとえ完全に元に戻ったとしても直ちに原因を明らかにし、脳梗塞への移行を阻止すべき病気です。

かつて脳卒中の大部分は”脳出血”が占めていましたが、近年は逆転し“脳梗塞”が上回るようになりました。

その理由として、高血圧対策の普及と生活習慣の変化による糖尿病や脂質異常症の増加が考えられます。

日本では欧米に比べてラクナ梗塞の割合が多い傾向がありましたが、脂質異常症や糖尿病の増加に伴い、アテローム血栓性梗塞が増えています。

また、高齢化に伴い心房細動の患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓も増えています。

 

脳梗塞による後遺症

脳梗塞を含め、脳卒中は発症後治療しても後遺症が残ることが少なくありません。

脳の細胞がダメージを負うことで、体の麻痺や感覚の障害、脳に障害が残る可能性もあります。

後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることもあるので、ご自分やご家族が脳梗塞になったときは、脳梗塞自体の症状だけでなく後遺症まで知っておくことが大切です。

  • 運動麻痺

右上下肢あるいは左上下肢が動かなくなる症状。痙性麻痺と弛緩性麻痺があり、一般に麻痺は下肢よりも上肢に強いことが多いです。また、脳梗塞が生じた部位によっては下肢に強い場合もあります。

  • 感覚障害

触覚や痛覚が鈍くなる場合と逆に過敏になり痺れを感じる場合があります。また、脳梗塞発症後半年くらい経ってからしびれが強くなるケースもあります。

  • 目の障害

視野が狭くなったり、物が二重に見える「複視」という障害、片目の視野が見にくくなる「半盲」という障害もあります。また、発症後長期間にわたって症状が残る場合もあります。

  • 構音障害

いわゆる呂律の回りにくさで、比較的回復しやすい場合と症状が長期にわたり残りやすい場合があります。

  • 嚥下障害

食べ物を飲み込みにくくなる症状で、大脳の片側に病変が限られている場合は回復が見込めますが、延髄など脳梗塞の部位によっては回復が難しい可能性もあります。

  • 高次脳機能障害

脳の損傷により神経に異常が起こり、運動障害や感覚障害が発症することをさします。一口に高次脳機能障害といっても、表れる症状はさまざまです。

片麻痺とは

片麻痺とは、脳梗塞の後遺症の一つです。

身体の左右どちらかに麻痺の症状が見られる状態のことを言います。

右脳または左脳の神経障害によって引き起こされる症状で、運動機能に影響することが多いです。

左右の脳は、それぞれの脳と反対側の体の動きをコントロールしているため、右脳に損傷がある場合は左麻痺、左脳に損傷がある場合はほとんどは右麻痺を発症します。

左麻痺と右麻痺の症状はそれぞれ特有の症状があります。麻痺の程度も軽度から重度まで様々になります。

片側の手足や顔面に麻痺が生じる

片麻痺は、脳のどの部分が損傷を受けたかによって、症状が異なります。

一般的には、右半身または左半身のどちらかに麻痺が現れます。

片麻痺が発生すると、手足や顔面の筋肉が正常に機能しなくなり、動きが制限されます。

片麻痺の症状は個々に異なりますが、一般的には次のような症状が見られます

  • 片側の手足が動かなくなる
  • 片側の顔面が垂れ下がる
  • 歩行が困難になる
  • 片側の視野が欠損する
  • 言語障害が生じることがある

右麻痺と左麻痺で症状が異なる

右麻痺の場合、言語機能が損なわれることが多く、左麻痺の場合は視覚や空間認識に問題が生じることが多いです。

これは、脳の異なる部分が異なる機能を担当しているためです。

右麻痺の場合、左脳が損傷を受けることが一般的であり、これは言語中枢が左脳に存在するため、言語障害が生じやすくなります。

一方、左麻痺の場合は、右脳が損傷を受け、視覚や空間認識に関する問題が生じやすくなります。

片麻痺による仕事上の特性

片麻痺の方が仕事をする際には、以下のような特性を考慮する必要があります。

簡単な動作はできても、意図的な動きが難しい

片麻痺の方は、簡単な動作はできても、意図的に複雑な動きをするのは難しいことがあります。

これは、脳の指令が正しく伝わらないため、思い通りに身体を動かすことが難しくなるからです。

たとえば、片麻痺の方が手を使って細かい作業を行う場合、思ったように手が動かず、作業が遅れることがあります。

また、力加減が難しく、物をうまく持ち上げることができない場合もあります。

このような特性を理解し、無理のない作業を選ぶことが重要です。

頭で理解していても、体を思うように動かせない

脳の指令がうまく伝わらず、頭で理解していても体が思うように動かないことがあります。

たとえば、片麻痺の方が何かを取ろうとしても、手がうまく動かず、物を落としてしまうことがあります。

このような状況では、片麻痺の特性を理解し、作業環境を整えることが重要です。

たとえば、片手で操作できる道具を使う、作業台を使いやすい高さに調整するなど、工夫することで作業がスムーズに進むことがあります。

発声や聞き取りに異常が出ることがある

言語機能に障害がある場合、発声や聞き取りに異常が生じることがあります。

片麻痺の方は、話すことや聞くことに困難を感じることがあります。

このような場合、コミュニケーション手段を工夫することが重要です。

たとえば、筆談を使ったり、ジェスチャーを交えたりすることで、コミュニケーションを円滑に進めることができます。

また、必要に応じてコミュニケーション支援ツールを活用することも有効だと思われます。

視野の欠損によりものが見えづらい

視野の一部が欠けることにより、物が見えづらくなることがあります。

片麻痺の方は、視野の欠損により、物の位置や動きが正確に把握できないことがあります。

このような場合、視覚的な補助を取り入れることが重要です。

たとえば、大きな文字や色分けを使って見やすくする、照明を調整して明るくするなどの工夫が必要です。

また、必要に応じて視覚補助具を使用することも考慮しましょう。

片麻痺の方に向いている仕事

片麻痺の特性を考慮したうえで、以下のような職種が適していると言われています。

事務職や受付など、身体的負担が少ない職種

事務職や受付業務は、身体的負担が少なく、比較的座って行える仕事です。

片麻痺の方でも、無理なく続けられる職種として適していると言えます。

事務職では、データ入力や書類整理、電話対応などの業務があります。

これらの業務は、身体的負担が少なく、片手で行える作業も多いため、片麻痺の方に向いていると言えます。

また、受付業務も、来客対応や電話応対が主な業務となり、身体的負担が少ないと思います。

在宅でできるリモートワーク

リモートワークは、自宅で自分のペースで仕事ができるため、片麻痺の方にとって非常に適しています。

リモートワークでは、インターネットを使って業務を行うことが多く、身体的な負担があまりかから場合が多いです。

在宅でできる仕事としては、ライティングやデータ入力、オンラインカスタマーサポートなどがあります。

これらの仕事は、自宅で行えるため、片麻痺の方にとって働きやすい環境と言えるでしょう。

自分のペースで進められる作業

自分のペースで進められる作業は、無理なく続けられるため、片麻痺の方に向いています。

たとえば、手芸やクラフト、絵画などのクリエイティブな作業は、自分のペースで進められることが多いと思います。

また、農作業や園芸などの仕事も、自分のペースで進めることができるため、片麻痺の方に適していると言えます。

これらの仕事は、自然の中でリラックスしながら作業を進めることができ、心身のリハビリにもなることでしょう。

片麻痺の方におすすめの就労サービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、公共職業安定所との密接な連携のもと、障害者に対する専門的な職業リハビリテーションを提供する施設として、全国47都道府県に設置されています。

障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを実施するとともに、事業主に対して、雇用管理上の課題を分析し、雇用管理に関する専門的な助言その他の支援を実施しています。

片麻痺の方に適した仕事も紹介してくれると思います。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図ることを目的として全国に設置されています。

障害をお持ちの方にとって働きやすい職場探しや生活のサポートを受けることができます。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、仕事をお探しの方や求人事業主の方に対して、さまざまなサービスを無償で提供する、国(厚生労働省)が運営する総合的雇用サービス機関です。

全国500カ所を超えるハローワークでは、全国の豊富な求人情報をもとにした「職業紹介」のほか、「雇用保険」、「雇用対策」などの国の制度を組み合わせ、地域の皆様のさまざまなニーズにお応えする雇用支援を実施しています。

ハローワークでは、障がい者向けの求人情報を提供しており、ハロワークインターネットというインターネット上でお仕事を検索できるサービスも提供しています。

片麻痺の方に適した仕事をお探しの際も活用してみると良いと思います。

転職エージェント

転職エージェント(職業紹介会社)は、転職を希望する方のアドバイザーであり、最適な求人を紹介してくれます。

登録をすると一人ひとりに担当が付き、さまざまな相談に乗ってくれるのが特徴です。

一方で、企業から求人を預かるのも転職エージェントの役割のひとつです。

つまり、転職を希望するあなたと企業側をつなぐ架け橋として、双方の利益のために存在するのが転職エージェントです。

転職希望者は無料で利用できますが、転職エージェントを無料で利用できるのは、入社が決定した企業から報酬を受け取るからです。

これは、入社が決まったときのみ発生する成功報酬なので、双方にとってリスクが低いサービスとなっています。

転職エージェントの担当者に片麻痺であることを知らせることで、障害者に合った求人を紹介してくれると思います。

スグJOBには身体障害者雇用求人が多数ございます!

「スグJOB」などの障害者専用の求人サイトには、多くの身体障害者雇用求人があります。
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ぜひ活用してください。

これらのサービスを利用することで、片麻痺の方に適した仕事を見つけやすくなります。

まとめ

片麻痺の方が無理なく働くためには、症状に合った職種を見つけることが大切です。

障害者雇用に理解のある職場を探し、適した仕事を見つけるために、上記に挙げたような地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、ハローワーク(公共職業安定所)、転職エージェント(職業紹介会社)、「スグJOB」などを積極的に活用しましょう。

適切な職種を見つけることで、無理なく働くことができ、生活の質を向上させることができます。

片麻痺の特性を理解し、自分に最適な仕事を見つけるための努力を続けることが大切です。

以上のブログ記事は、片麻痺の方が無理なく働ける環境を見つけるための情報を提供することを目的としています。

皆さんの参考になれば幸いです。

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