
障害者雇用の事務職への就職・転職
「障害者雇用で事務職につきたい」と思う方はたくさんいます。
立ち仕事ができない障害をお持ちの方などには、事務職は魅力的な選択肢となります。
企業もまた、他の職種と比べて配慮が分かりやすいこと、業務の切り出しがしやすいことなどから、障害者雇用を始めようとなった場合、まず事務職を募集するケースが多いです。
実際、求人サイトなどで障害者雇用の求人を見てみると、一般雇用と比べて事務職求人の比率が多いことに気づきます。
ただ、現実には「事務職に就職するのは難しい」と実感している求職者の方もいるようです。
どんなことが難しいと感じるのか、それを超えるためには何をしたらいいのか。
そんな迷いを持つあなたに向けて、この記事では優しく、わかりやすく、大切な情報をお届けします。
自分の可能性を信じて、一歩前に進むためのお手伝いができたら、こんなにうれしいことはありません。
事務職の概要
事務職は、会社の経営や業務を技術面でしっかり支える、大切な仕事です。
一見すると結果がわかりにくく、直接気づかれにくい仕事に見えるかもしれません。
しかし実際は、経験や技術、細かな気配りを求められる、なくてはならない仕事です。
また、毎日の作業を正確に継続する力や、ひとつひとつの作業を大切にする姿勢も、非常に重要な要素となっています。
事務職の種類と業務内容
事務職にもさまざまな分野があり、仕事内容も異なります。
【主な事務職の業務7種類】
- 一般事務
一般的な事務作業を幅広く担当します。
データ入力や書類整理、電話対応など、オフィスの基本的な仕事を支えます。
- 営業事務
営業担当者をサポートする事務です。
見積書や請求書の作成、取引先との連絡調整など、営業活動を裏側から支えます。
- 経理事務
会社のお金の流れを管理する事務です。
請求書の処理や経費精算、帳簿の記録など、数字を扱う作業が中心になります。
- 総務事務
会社全体の運営をサポートする事務です。
備品管理や社内イベントの運営、勤怠管理など、いろいろな調整役を担います。
- 法務事務
契約書や社内規定の管理を担当する事務です。
企業活動が法律に違反しないように、裏方でチェックやサポートを行います。
- 区別事務
特定の部署ごとに分かれた専門的な事務です。
たとえば、人事部専用の事務、広報部専用の事務といったように、部門の特性に応じた業務を担当します。
- 財務事務
資金計画や資金繰りを管理する事務です。
会社のお金の出入りや、将来の資金計画をサポートする重要な役割を担います。
これらの業務は、大企業であれば各部署に分かれていることもありますが、中小企業の場合は大抵1人が2~3の役割を兼任しています。
その他、共通の業務として資料編集やデータ入力、電話対応、来客対応などがあります。
事務職の特徴
未経験からでも働きやすい
事務職の仕事は、細かいタスクに切り分けることができるのが特徴です。
たとえば経理事務であれば、未経験からいきなり財務諸表を作ったり分析するのは難しいかもしれませんが、伝票入力だけであればマニュアルなどを見ながら行うことができます。
特別な経験や証明書がない方でも、まずはできる業務から訓練や練習を重ねることで、しっかりスキルを身につけることができます。
経験を重ねて全体像を掴めば、より高度な仕事ができるでしょう。
障害があっても働きやすい
事務職は、体力的な負担が少ないのが大きな特徴です。
そのため、身体障害を持つ方や、心の負担を抑えたい方にも適した職種と言えるでしょう。
また、中には体調や障害特性に対応して、勤務時間を調整できる職場も増えています。
障害者雇用の「事務補助」の仕事内容
「事務補助」とは、主に事務職を担当する方を支える仕事です。
一般的には、簡易なデータ入力や、文書の整理、資料の保存や管理などを担当します。
補助的な業務のため非正規雇用の場合が多いですが、こつこつ経験を積むことで、後々の専門職への達成も目指せるようになります。
事務職が人気の理由
【事務職が選ばれるポイント】
- 体力的負担が少なく、長期で働きやすい
- 比較的安心した環境が用意されている
- 細かい気配りやコツコツ積み上げる経験をいかせる
このような理由から、事務職は障害を持つ方に人気のある職種となっています。
障害者雇用で事務職につくのが難しい理由
「事務職に就きたいけれど、なかなかうまくいかない」と感じている方はたくさんいらっしゃいます。
その難しさには、障害をもつ求職者の側と、採用する企業側の両方に理由があります。
この章では、それぞれの立場から見た「難しさ」について整理していきます。
障害者側の「難しさ」
【主な原因】
- 競争率が高い
- 事務職は障害者雇用の中でも人気が高く、応募が集中するため、採用枠に対して希望者が多くなりがちです。
- PCスキルの要求水準が高い
- WordやExcelの基本操作だけではなく、会計や労務専用のソフトウェア、クラウドツールなど、ある程度自分で業務をこなせるレベルのスキルを求められることがあります。
- 比較的長時間の勤務を求められることがある
- 営業時間中は常に臨時の業務が発生する可能性があることから、6時間以上の勤務が前提となることもあります。体力や集中力に不安を感じる方も少なくありません。
- 経験やコミュニケーション力の不足で選考を通過しづらい
- 社外だけでなく社内でも円滑なコミュニケーションを求められるため、企業が複数の応募者間で比較した際、コミュニケーション力で不採用となることもあります。
企業側の「難しさ」
【主な原因】
- 役割分担や業務設計に工夫が必要
- チームで業務を進める上で、個々の得意不得意や体調面に配慮しながら作業を振り分ける必要があり、どうしても手間がかかることもあります。
- 安定した勤務態度や職場への適応を重視する傾向がある
- 毎日の業務を安定してこなす力や、周囲とスムーズにコミュニケーションをとれることが、より重視される場面が増えています。
このような背景をふまえると、障害者雇用で事務職を目指すには、焦らず着実に準備を進めることがとても大切だといえます。
支援機関や周囲の力を上手に借りながら、自分に合った働き方を一緒に探していきましょう。
事務職に就職・転職するための準備
事務職への就職や転職を目指すにあたっては、準備も大切です。
正しい手順を踏めば、道は大きく開けますので、ひとつひとつ確認していきましょう。
事務職に必要な証明書やスキル
【主に求められるスキルや資格】
- Word、Excelの基礎操作
文書作成や表計算など、日常業務に欠かせない基本スキルです。企業によっては事務職だけでなく、どの職種でも必須となるので覚えておいて損はありません。 - MOS(Microsoft Office Specialist)資格
WordやExcelの操作スキルを証明できる資格です。必須ではありませんが、書類選考では他応募者との差別化になります。 - ビジネスマナー(社会人基礎力)
挨拶、報連相(報告・連絡・相談)、メールや電話応対など、社会人としての基本的なマナーが求められます。 - 日商簿記3級以上
経理業務に役立つ基本的な会計知識を証明できる資格で、事務職全般でも高く評価されます。 - 秘書検定
社内外との円滑なコミュニケーションや、適切なビジネスマナーを身につけていることを示せる資格です。
書類選考に取り上げられない原因を見つける
書類選考でなかなか通過できない場合は、以下の点を見直してみましょう。
【よくある改善ポイント】
- PR文が抽象的になっていないか
「パソコンが得意です」といった曖昧な表現ではなく、「Wordで文書作成ができる」「Excelで計算式を使って表やグラフを作れる」といった具体的なスキルを伝えることが大切です。 - 事務職に必要なスキルや経験をしっかりアピールできているか
たとえば、データ入力や書類作成、電話対応の経験など、事務職に直結するスキルを具体的に伝えましょう。
事務職では特に経験が重視される傾向があります。未経験の場合は、PCスキルやコミュニケーションへの姿勢など、経験に代わるアピールポイントをしっかりと記述しましょう。 - 応募書類にミスがないか
事務職では正確さがとても重視されます。応募書類は、実際に業務で作成する書類を想定して注意深く見られます。
誤字脱字や記載漏れがあると、慎重さや丁寧さに欠ける印象を与えてしまうので、提出前には必ず見直しを行いましょう。 - 職歴が多い場合は退職理由を書いているか
事務職はその会社に精通するほど仕事の精度が上がるため、1つの会社で長く勤めることが求められます。
職歴が多い場合は「この方は長く勤めてくれるだろうか」と思われることがありますので、やむを得ない退職理由があれば一言でも書いておくようにしましょう。
それ以外にも、書類選考で悩んだときに知っておきたいポイントを、こちらの記事でまとめています。
事務職に必要な証明書とスキルの習得
未経験からでもスキルアップを目指せる環境はたくさんあります。
たとえば、
- 就労移行支援事業所
- 働くために必要なスキルやビジネスマナーを学びながら、就職活動のサポートも受けられる施設です。
- 障害者向けの転職支援サービス
- 専門のアドバイザーが相談に乗りながら、希望や特性に合った求人を紹介してくれるサービスです。未経験可の求人を探し、1から実務をとおしてレベルアップを目指すこともできます。
- 公共職業訓練(ハロートレーニング)
- 国や自治体が実施する職業訓練で、パソコンスキルや事務系スキルを基礎から学べるコースが用意されています。
- 受講料が無料または低額で、経済的負担を抑えながら学べるのも魅力です。
これらを活用することで、実務に必要なPCスキルやビジネスマナーを体系的に学ぶことができます。
焦らず一歩ずつ、できることを増やしていきましょう。
障害者雇用で事務職に就職・転職する際に利用できるサービス・機関
事務職への就職・転職を目指すとき、心強い味方になってくれるサービスや機関がいくつかあります。
ここでは、利用できる主な支援先をご紹介します。
ハローワーク
国が運営する公的な求職支援機関です。
障害者専門の相談窓口があり、求人紹介や職業訓練、面接練習など、さまざまなサポートを受けることができます。
地域障害者職業センター
障害に配慮した職場紹介や職業リハビリテーションを行う専門機関です。
就職に向けたアセスメントや職場実習の機会を提供しており、自分に合った働き方を一緒に探す支援をしてくれます。
就労移行支援事業所
障害のある方を対象に、働くために必要なスキル習得や、コミュニケーション力を高めるための訓練を提供しています。
職場体験や就職活動のサポートも受けられるため、未経験からでも安心してスタートできます。
障害者就業・生活支援センター
就労支援に加えて、生活面での相談支援も行う総合的なサポート機関です。
経済的な困りごとや日常生活の不安に対しても、寄り添いながらサポートしてくれるので、長期的な安定を目指す方におすすめです。
障害者専門の転職求人サイト
障害者雇用に特化した転職サイトを活用するのも有効です。
たとえば、『スグJOB』は、障害者専門のサービスとして、事務職をはじめ、データ入力、経理事務、営業事務など、広い職種を掲載しています。
自分の障害特性や属性に合った求人を検索できるのはもちろん、経験豊富なアドバイザーに就職活動全般の相談もできます。
【こんな方におすすめ】
- 事務職に挑戦してみたい方
- 長く安定して働ける職場を探している方
- 自分に合った仕事をじっくり選びたい方
- 就職活動に不安があり、相談しながら進めたい方
「事務職に挑戦してみたい」「長く安定して働ける職場を探したい」と思われた方は、是非活用をご検討ください。
まとめ
事務職への就職や転職を目指す道のりは、簡単なことばかりではありません。
とくに障害者雇用の場面では、スキル面や競争率の高さ、企業側の期待など、さまざまな壁を感じることもあるでしょう。
それでも、正しい準備とサポートを活用すれば、事務職というフィールドでしっかり活躍できる可能性は広がります。
今回ご紹介したハローワークや支援センター、そして『スグJOB』のような専門サービスを上手に使いながら、焦らず一歩ずつ、自分に合った働き方を探していきましょう。
あなたの強みや可能性を活かせる場所は、きっと見つかります。
希望を持って、次のステップに進んでいきましょう。
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この記事の執筆者
2012年スクエアプランニング株式会社を設立。2016年より障害者パソコン訓練を愛知県の委託を受けて開始。人材ビジネス20年以上の経験をもとに様々な障害をお持ちの訓練生に対して社会進出、社会復帰のお手伝いをさせて頂いております。 今後もより多くの方に安心や自信を持って頂くことを念頭に、様々な情報発信をしていきたいと考えています。