関節リウマチと仕事 – やってはいけない仕事と働きやすい環境

関節リウマチと仕事 – やってはいけない仕事と働きやすい環境

関節リウマチと仕事 – やってはいけない仕事と働きやすい環境

関節リウマチを抱えている方にとって、仕事との両立は大きな課題です。

適切な仕事や職場環境を選ぶことが、症状の悪化を防ぎ、生活の質を向上させる鍵となります。

本記事では、関節リウマチと仕事について、やってはいけない仕事、向いている仕事、働きやすい環境、そして日常生活での工夫などを詳しく解説します。

関節リウマチとは

関節リウマチの主な症状

関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。

腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。

手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。

その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。

症状としては、

<朝のこわばり>

  • 朝起きてすぐに手が開きにくい。
  • 体を動かしにくい。

<関節の痛みや腫れ>

  • 関節に痛みが生じたり、熱をもって腫れたりする。
  • 関節の痛みや腫れが左右対称に現れる。
  • 多くの関節が同時に腫れたりする。

<微熱、倦怠期、食欲不振>

  • 37℃台の微熱や、倦怠感、食欲不振が続く。

といった症状が挙げられます。

関節の痛み

関節リウマチは身体障害者手帳の対象

関節リウマチは障害者手帳の対象となります。

患者さんは身体障害者手帳の交付を受けることで、医療費の軽減や手当の支給、福祉サービスなどが利用できます。

ただし、市区町村によって条件や内容が異なり、所得制限が設定されているものもあります。

なお、障害者福祉制度と介護保険制度では重複するサービスがあり、40歳以上の関節リウマチの患者さんで、介護保険の認定を受けている方は、原則として介護保険制度によるサービスの利用が優先となります。

介護保険が適用されないサービスなどが必要な場合には、障害者福祉制度によるサービスが適用されます。

関節リウマチでやってはいけない仕事の特徴

関節に負担がかかるような重労働

関節リウマチの方は、関節への負担が大きいため重労働は避けてください。

重いものを持ったり運んだりする仕事が該当します。

建設業・運送業・介護職などが当てはまると言われますが、それ以外でも当てはまる業種、職種が多くあります。

どうしても、重労働が避けられない場合は、重いものを分散して運ぶなど工夫して、できるだけ関節に負担がかからないようにすることが大切です。

重労働による腰痛

長時間の歩行や立ちっぱなしが多い

長時間の歩行や立ちっぱなしなども、膝をはじめとする下肢の関節の負担となります。

階段の昇降も大きな負荷となるため基本的には控えるべきです。

接客業や工場作業などの仕事が挙げられますが、こちらもそれ以外でも当てはまる業種、職種が多くあります。

関節炎が悪化する恐れがあるため、できるだけ避けるか、適度に休憩しながら仕事を行いましょう。

寒い場所での作業が多い

冷えは関節の痛みを増強させる場合があります。

そのため、寒い場所での作業が多い仕事は関節リウマチの方には負担になります。

屋外での仕事など、冬に暖房が十分に使えない建設業や運送業などが挙げられますが、こちらもそれ以外でも当てはまる業種、職種が多くあります。

また、冷房が効き過ぎているオフィスでの仕事をする人もいるかもしれません。

そうした場合には、防寒対策をして冷えないように工夫しましょう。

足関節の診察

関節リウマチの方に向いている仕事

身体的負担が少ない仕事

座ってできる仕事や軽作業など、身体的な負担が少ない仕事は関節リウマチの方に向いています。

具体的には事務職などのデスクワークが該当します。

パソコン作業などが主になるため手を使う必要はありますが、重いものを運ぶような業務がないため安心です。

ただし、指先の関節に症状がある場合には、できる範囲で無理のない仕事を選びましょう。

在宅ワーク

関節リウマチの方には、在宅ワークも向いています。

患者さんの身体状況や症状によっては歩くだけで、強い負担になる場合もあります。

在宅ワークは重労働がなく、通勤の負担がないという点でも適しています。

自分のペースで仕事ができる

フレックス勤務や個人事業主のライターなどのように自分の裁量で仕事ができる職場や仕事の仕方は、関節リウマチの症状に合わせて働くことができるため、非常に有効です。

現代では働き方改革やリモートワークの浸透によって選択肢が増えていますので自分に合った働き方が、探しやすくなったと思います。

リモートワーク

関節リウマチの方が働きやすい職場環境

疾患について理解がある

理解のある職場であれば、過度な負担がかかる業務を免除してもらえるかもしれません。

就労や転職を考えているのであれば、関節リウマチ疾患を抱えていることについて、理解を得たうえで働きたいものです。

そのためにも自身の抱える疾患についてしっかりと伝えておく必要があるでしょう。

勤務形態が柔軟である

関節リウマチの方は体調や症状の悪化により、休む、もしくは早退せざるを得ないことがあります。

また、通院により遅刻や早退などが必要なこともあるでしょう。

そうした状況に安心して対応できるように休みが取りやすい、勤務変更が柔軟にできるなど、仕事と治療の両立がしやすい職場が望ましいです。

また、勤務中も柔軟に対応してくれる職場が理想です。

例えば、仕事中も冷えないような対策が取れたり、必要に応じてリーチャーなどの自助具が使いやすかったりすると、働くうえで身体的な負担を減らせるでしょう。

バリアフリー設備が整っている

バリアフリー設備が整っている職場は、移動の負担を減らし、働きやすさを向上させます。

エレベーターや手すり、広い通路などが設置されていることが重要です。

障がい者雇用枠も選択肢の一つ

障がい者雇用枠を利用することも検討しましょう。

障害者雇用枠を設けているなど、積極的に障害者を雇用している企業であれば、関節リウマチの方も働きやすい傾向にあります。

周囲の理解も得られやすく、合理的配慮が期待できます。

ただし、障害者雇用枠を利用して就職するには障害者手帳が必要です。

もし、手帳をお持ちでしたら、1つの選択肢として考えてもよいかもしれません。

また、症状によっては障害者手帳の取得も可能なため、確認をしてみましょう。

関節リウマチの症状を抱えながら仕事をするときの工夫

長時間同じ姿勢にならないようにする

長時間にわたって同じ姿勢をとらなければならない業務は、できるだけ避けるようにします。

関節リウマチでは、関節への負担をかけないようにするのが非常に重要です。

そのため、重たいものを運んだり長時間にわたって関節を動かしたりする作業は、症状の悪化を招きます。

かといって、関節を長時間にわたり固定して動かさないようにするのも、症状悪化の原因となってしまいます。

デスクワークのように同じ姿勢となる業務に就く場合は、同じ姿勢が長時間続かないように休憩時に席を立つ、業務中は足を左右に動かすなどの工夫が大切です。

仕事の休憩に背のばし

関節が冷えないようにする

関節の冷えも、関節リウマチの症状にとってはよくありません。

冷えによる関節の痛みやこわばりは、関節リウマチのない方でも症状の出ることがあります。

そのため、関節リウマチのある方は冷やさない工夫が必要となります。

寒い場所での長時間作業や水にぬれて関節を冷やすような作業は、避けるのが無難です。

また、室内でもエアコンの設定温度が低かったり、風が直接あたる場所に机があったりすると、夏場でも関節が冷えて痛みやこわばりの原因となります。

ブランケットや上着などを準備して体を冷やさないように注意し、休憩時間には少し体を動かすなど、関節が冷えないように注意しましょう。

自身が困るケースを想定した備えをする

どのような状況になれば困りごとが起こるのか、あらかじめ自分自身で知っておくのも大切です。

通院や投薬、仕事上の工夫などの対策をしていても、痛みやこわばりで仕事に支障をきたしてしまう可能性はゼロではありません。

症状が強く出てしまった際にどのような対応をとるか、状況を想定して備えておくようにしましょう。

  • 重たいものを運ぶ際は、声をかけて手伝ってもらう
  • 業務上の負担が大きくなった場合は、配置転換を申し出る
  • 症状が強く出て動きにくい場合は、無理せず休む など

職場の迷惑になると考えて無理をしてしまうと、お互いの負担が大きくなってしまうものです。

前もって病状を職場に伝えておき、配慮を得られるようにしておくことが、長期間働くうえで重要なポイントとなります。

職場の人への伝え方

職場の人に病気のことを伝えることを、難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、病院にいくために会社を休む、体調が悪く遅刻・早退をする、重いものを運ぶときに助けてもらうなど、病気について話しておくことで依頼しやすくなることもあるでしょう。

まずは同僚や上司など身近な方に打ち明けてみてはいかがでしょうか。

病院や地域の支援センターで相談しよう

関節リウマチの患者さんの中には、「病気があっても働きたい。しかし職場の人にどのように伝えればよいかわからない」と悩む方が多くいらっしゃいます。

周囲の人に病気をどう説明すればよいかなど、治療と仕事の両立について病院や地域の支援センターなどで相談してみましょう。

「症状を抱えながらできる仕事を見つけたい」と考えている方もぜひ相談してみましょう。

関節リウマチの方におすすめの就労サービス

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、公共職業安定所との密接な連携のもと、障害者に対する専門的な職業リハビリテーションを提供する施設として、全国47都道府県に設置されています。

障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを実施するとともに、事業主に対して、雇用管理上の課題を分析し、雇用管理に関する専門的な助言、その他の支援を実施しています。

関節リウマチの方に適した仕事も紹介してくれると思います。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図ることを目的として全国に設置されています。

障害をお持ちの方にとって働きやすい職場探しや生活のサポートを受けることができます。

ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)は、仕事をお探しの方や求人事業主の方に対して、さまざまなサービスを無償で提供する、国(厚生労働省)が運営する総合的雇用サービス機関です。

全国500カ所を超えるハローワークでは、全国の豊富な求人情報をもとにした「職業紹介」のほか、「雇用保険」、「雇用対策」などの国の制度を組み合わせ、地域の皆様のさまざまなニーズにお応えする雇用支援を実施しています。

ハローワークでは、障がい者向けの求人情報を提供しており、ハロワークインターネットというインターネット上でお仕事を検索できるサービスも提供しています。

関節リウマチの方に適した仕事をお探しの際も活用してみると良いと思います。

転職エージェント

転職エージェント(職業紹介会社)は、転職を希望する方のアドバイザーであり、最適な求人を紹介してくれます。

登録をすると一人ひとりに担当が付き、さまざまな相談に乗ってくれるのが特徴です。

一方で、企業から求人を預かるのも転職エージェントの役割のひとつです。

つまり、転職を希望するあなたと企業側をつなぐ架け橋として、双方の利益のために存在するのが転職エージェントです。

転職希望者は無料で利用できますが、転職エージェントを無料で利用できるのは、入社が決定した企業から報酬を受け取るからです。

これは、入社が決まったときのみ発生する成功報酬なので、双方にとってリスクが低いサービスとなっています。

転職エージェントの担当者に関節リウマチであることを知らせることで、障害者に合った求人を紹介してくれると思います。

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まとめ

関節リウマチを抱えながら働くためには、適切な仕事選びと職場環境の整備が不可欠です。

身体に負担をかけず、柔軟な勤務形態が選べる仕事を見つけることが大切です。

また、周囲の理解と協力を得るために、適切なコミュニケーションを心掛けましょう。

病院や支援センターの力を借りながら、自分に合った働き方を見つけることで、関節リウマチと共に充実した仕事生活を送ることができます。

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