身体障害の種類と特徴 – 等級や受けられる支援について
身体障害とは、視覚、聴覚、肢体、内臓などの身体機能に何らかの障害がある状態を指します。
また先天性のものと後天性のものに分類され、それぞれに応じた支援やサポートが必要とされます。
本記事では、身体障害の種類や特徴、障害等級とその基準、そして障害者が受けられる支援について
詳しく解説します。
身体障害とは
身体の一部または機能に障害がある状態
身体障害とは、身体の一部または機能に障害がある状態を指します。
これには、視覚、聴覚、肢体、内臓など、さまざまな身体機能が含まれます。
たとえば、視覚障害の場合は視力が極端に低下しているか、完全に失明している状態です。
聴覚障害は音を聞く能力が低下しているか、全く聞こえない状態を指します。
肢体障害は四肢の動きに制限がある場合や、内臓機能障害は心臓や腎臓などの内部器官の機能に問題がある場合を指します。
先天性のものと後天性のものがある
身体障害には、先天性のものと後天性のものがあります。
先天性の障害は、出生前や出生時に発生するもので、遺伝的要因や妊娠中の環境要因によって引き起こされることが多いです。
例えば、ダウン症や先天性心疾患などが挙げられます。
一方、後天性の障害は、出生後に発生するもので、病気や事故、加齢などによって引き起こされることがあります。
例えば、交通事故による脊髄損傷や脳卒中による麻痺などが後天性の障害に該当します。
身体障害の主な種類と特徴
身体障害には視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害などがあり、それぞれ異なる特徴と支援が必要です。各障害に応じた適切なサポートが求められます。
肢体不自由
肢体不自由とは、上肢・下肢・体幹の機能など手足の動きや姿勢の維持に制限がある状態を指します。
上肢障害は、腕や手の機能障害や欠損・変形障害がある場合を指し、例えば腕の麻痺や欠損、関節の可動域制限などが含まれます。
下肢障害は、股関節・膝関節・足関節に機能障害、欠損・変形・短縮障害がある場合を指し、足の麻痺や欠損、関節の可動域制限などがこれに該当します。
体幹・脊椎の機能の障害は、脊髄損傷や頚椎損傷の後遺症などで体幹(頸部、胸部、腹部及び腰部)の機能障害により、姿勢の維持や日常動作に困難が生じる障害です。
上肢障害、下肢障害など
上肢障害では、食事や着替え、物を持つ、書くといった基本的な動作が困難になることがあります。
下肢障害では、歩行や立ち上がる、階段の昇降などの動作に困難を伴うため、移動の自由が制限されることがあり、杖や義足、車椅子などの補助器具を使用が必要になったりします。
移動や日常動作に困難を伴う
肢体不自由者は、移動や日常動作に多くの困難を伴います。
そのため、バリアフリーの住宅や公共施設、特別な教育環境、リハビリテーション、福祉機器の支援が必要となります。
移動に関しては、車椅子や歩行器などの補助具が提供されることが多く、公共交通機関でもバリアフリーの対策が進められています。
日常生活では、食事や入浴、トイレなどの基本的な生活動作において介助が必要になる場合もあります。
このように、肢体不自由は日常生活に大きな影響を与えるため、適切な支援と環境整備が不可欠です。
聴覚・平衡機能障害
聴覚・平衡機能障害は、音が聞こえにくい、全く聞こえない、または平衡感覚に異常がある状態を指します。
これにより、コミュニケーションや日常生活に支障が生じることがあります。
音が聞こえにくい、全く聞こえないなど
聴覚障害は、先天的なものや、病気、事故、老化などにより音を聞く能力が低下している、あるいは全く聞こえない状態を指します。
聴覚障害を持つ人々は、日常生活において会話や警告音の認識が難しくなるため、補聴器や人工内耳などの支援機器を使用することがあります。
また、手話や筆談など、非音声コミュニケーション手段も重要なサポート方法です。
平衡感覚に異常がある
平衡機能障害は、四肢体幹の見た目の異常等は認められないのに、他覚的に体のバランスを保つ能力に異常がある状態を指します。
この障害は、内耳や脳の機能不全によって引き起こされることが多く、めまいやふらつき、動作の不安定さを伴います。
平衡感覚に異常があると、日常生活での歩行や立ち上がり、階段の昇降などが困難になります。
平衡機能障害を持つ人々には、リハビリテーションやバランストレーニングが提供され、必要に応じて杖や歩行器などの補助具が使用されます。
視覚障害
視覚障害は、見えにくい、全く見えない、または視野に狭窄や欠損がある状態を指します。
これにより、移動や読書、日常生活に様々な困難が生じます。
見えにくい、全く見えないなど
視覚障害は、先天性のものや後天的な病気・事故により視力が低下している、または全く見えない状態を指します。
視覚障害を持つ人々は、日常生活で文字を読む、物を見つける、歩行する際に困難を感じることが多いです。
そのため、点字や音声ガイド、盲導犬などの支援が重要です。
視野の狭窄や欠損がある
視覚障害には、視野が狭くなる視野狭窄や、視界の一部が見えなくなる視野欠損も含まれます。
これにより、障害者は物の存在や動きを把握することが難しくなり、日常生活における危険性が増します。
視野の問題に対しては、専門的な訓練や適切な環境整備が求められます。
音声・言語又はそしゃく機能障害
音声・言語またはそしゃく機能障害は、発声や発音、飲み込みに困難がある状態を指します。
これにより、コミュニケーションや食事に困難を感じることがあります。
発声や発音、飲み込みに困難がある
音声・言語またはそしゃく機能障害は、話すことや飲み込むことに困難を伴う状態を指します。
発声や発音の障害は、言葉を正確に発音できない、声が出ないなどの問題を含み、コミュニケーションに大きな影響を与えます。
また、そしゃく機能障害は、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることが難しい状態を指し、食事中に窒息のリスクが高まります。
このような障害を持つ人々には、言語療法や嚥下訓練が提供され、コミュニケーションを補助するための装置や、食事を安全にするための工夫が必要です。
例えば、特殊な食事形態や専用の器具を使うことで、生活の質を向上させることができます。
内部障害
内部障害は、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、免疫機能の障害など、外見からは分かりにくい障害を指します。これにより、体調管理や医療支援が重要となります。
心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、免疫機能の障害など
内部障害とは、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、免疫機能など、体内の臓器やシステムに障害がある状態を指します。
これらの障害は、生命維持や日常生活において重要な役割を果たす臓器に影響を与えるため、治療や管理が不可欠です。
例えば、心臓障害は心不全や不整脈、じん臓障害は透析が必要になる腎不全などが含まれます。
呼吸器障害では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺線維症などが該当し、呼吸困難を引き起こします。
外見からは分かりにくい障害
内部障害は外見からは分かりにくいため、理解されにくいことが多いですが、日常生活での制約や医療的な管理が必要であり、適切な支援と配慮が求められます。
見た目に障害が現れないために、職場や学校などでの配慮が欠けることがありますが、
定期的な通院や特別な生活習慣が必要な場合も多いため、周囲の理解と協力が不可欠です。
身体障害の等級
障害の種類や程度に応じて1級から7級に分類
身体障害は、その種類や程度に応じて1級から7級に分類されます。
1級は最も重度の障害で、日常生活の大部分において介助が必要な状態を指します。
また等級の数字が大きくなるにつれて、障害の程度は軽くなります。
最も軽い7級では、障害者手帳の交付はされません。
等級によって受けられる支援やサービスが異なる
障害等級によって受けられる支援やサービスは異なります。
例えば、1級や2級の重度障害者は、医療費助成や介護サービス、福祉用具の提供など、多岐にわたる支援を受けることができます。
これには、自宅での介護サービスやデイサービスの利用が含まれます。
一方、3級から6級の障害者は、軽度の支援やサービスを受けることができ、特定の医療費助成や就労支援などが提供されます。
身体障害者手帳と受けられる支援
身体障害者手帳の取得により様々な支援を受けられる
身体障害者手帳を取得することで、さまざまな支援を受けることができます。
この手帳は、障害の種類や程度に応じて交付され、障害者が必要な支援やサービスを利用するための重要なツールとなります。
自立支援医療(更生医療)
自立支援医療(更生医療)は、身体障害者手帳をもっている18歳以上の方が、その障害を除いたり、軽減したりする医療行為を受ける際の医療費の一部を助成する制度です。
また18歳未満の方への制度として、自立支援医療(育成医療)の制度があります。
但し育成医療の場合には手帳の交付は必要ありません。
補装具費・日常生活用具給付制度
補装具費・日常生活用具給付制度は、障害者が日常生活を送る上で必要な補装具の購入や修理費用の一部を公費で負担する制度です。
これには、車椅子や義肢、歩行器、補聴器などが含まれます。
これらの用具は、障害者が自立した生活を送るための重要なサポートとなり、生活の質を大きく向上させます。
障害者雇用支援など
障害者雇用支援は、障害者が職業生活において自立できるように支援する制度です。
これには、就労訓練や職業紹介、職場の環境整備などが含まれます。
また、企業に対しては、障害者の雇用を促進するための助成金や支援が提供されます。
これにより、障害者が働きやすい環境が整い、社会参加の機会が広がります。
身体障害者手帳の取得は、これらの多岐にわたる支援を受けるための第一歩となります。
手帳の等級により受けられる支援の内容が異なる
身体障害者手帳には、障害の種類や程度に応じて等級が設定されており、この等級に基づいて受けられる支援の内容が異なります。
1級や2級の重度障害者は、医療費の助成や介護サービス、福祉用具の提供など、多岐にわたる支援を受けることができます。
これには、自宅での介護サービスやデイサービスの利用、訪問看護などが含まれ、日常生活を支えるための手厚いサポートが提供されます。
一方、3級から6級の障害者は、軽度の支援やサービスを受けることができます。
これには、特定の医療費助成や就労支援、公共施設の利用料の減免などが含まれます。
また、公共交通機関の割引や税制上の優遇措置なども受けられる場合があります。
等級による支援の違いは、障害者が自立した生活を送るために必要なサポートを適切に提供するためのものであり、それぞれの生活状況やニーズに応じた支援が行われます。
身体障害のある方の就労支援
ハローワークや障害者職業センターによる職業相談・紹介
ハローワークや障害者職業センターでは、身体障害のある方に対して職業相談や紹介を行っています。
これらの機関では、個々の障害者の能力や適性に応じた仕事を紹介し、就職活動をサポートします。
また、職場での障害者の受け入れ体制を整えるための助言や支援も行っています。
就労移行支援事業所での職業訓練・就職支援
就労移行支援事業所では、身体障害のある方が職業訓練を受け、就職に向けたスキルを身につけるための支援を提供しています。
ここでは、実践的な職業訓練だけでなく、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの向上を図るプログラムも用意されています。
就職活動の支援も行い、障害者が適切な職場にスムーズに移行できるようサポートします。
障害者就業・生活支援センターによる就労定着支援
障害者就業・生活支援センターでは、就労定着支援を行い、長期的な職場定着をサポートしています。
これにより、障害者が安定して働くことができるようになります。
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利用者は、自分の障害に応じた適切な職場を見つけることができます。
まとめ
身体障害には様々な種類があり、それぞれに応じた支援やサービスが存在します。
身体障害者手帳を取得し、適切な支援を受けることで、より自立した生活を送ることが可能です。
障害を持つ方々が安心して生活し、社会に貢献できるよう、私たち一人ひとりが理解と支援を深めることが大切です。