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障害者雇用におけるブランク期間への対処法

    2025.04.20
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    障害者雇用におけるブランク期間への対処法

    障害のために仕事を離れたり、療養で長い期間働けなかったりすると、「履歴書の空白期間は不利になるのでは……」と心配になる方も多いのではないでしょうか。

    しかし、ブランクがあること自体は、企業にとって実はあまり問題ではありません。

    本当に重要なのは”どう伝えるか”という点です。

    本記事では、障害者雇用におけるブランク=空白期間の考え方と、具体的な対策を解説します。

    この記事を読めば、あなたが一歩踏み出すためのヒントがきっと見つかるはずです。

    企業(採用担当者)側から見る「ブランク」

    履歴書や職務経歴書にブランクがあることに対して、不安を感じる方は少なくありません。

    ですが、採用担当者は「ブランクがあるから不採用にする」と決めつけているわけではなく、その期間に何があったのか、そして今はどのような状態なのかを知りたいと考えています。

    だからこそブランクがあるかどうかではなく、ブランクの期間何をしていたのか、きちんと説明できるかどうかを見ているのです。

    実際の選考手順に沿って見ていきましょう。

    書類選考

    書類選考では、採用担当者が履歴書や職務経歴書を確認し、次の選考に進めるかどうかを決めていきます。

    この段階では、企業の採用担当者と応募者は顔を合わせることができないので、提出された書類の内容だけで応募者の印象が決まります。

    書類選考に応募するときは、提出する書類の情報に過不足がないか、提出前に必ず確認しましょう。

    特に、履歴に空白期間がある場合に重要なのは、「なぜ働いていなかったのか」「今は働ける状態なのか」などの説明をしっかりと書いておくことです。

    たとえば、職務経歴書には以下のように具体的に記載すると良いでしょう。

    • 2022年4月〜2024年3月:うつ病により休職、療養。
    • 2024年4月〜現在:就労移行支援事業所に通所し、再就職に向けた訓練を継続中。

    これだけでブランクの理由と、採用担当者が一番知りたい「療養が終わり、現在は就労可能であること」「実際に通所することができていること」が読み取れます。

    このように、空白期間の背景と現在の状況を明確に伝えることで、採用担当者が安心して選考を進められるようになります。

    逆に何も書かれていないと、「この人は何をしていたのだろう?」「まだ働けない状態なのでは?」という不安や疑念を与えてしまいます。

    面接

    面接では、書類では伝えきれない部分について、さらに詳しく説明する機会があります。

    このとき、もっとも大切なのは「現在の状況」と「就労への意欲」を具体的に伝えることです。

    たとえば、「体調は安定しており、週5日フルタイムでの勤務も可能です」「月に1回通院していますが、就業に支障はありません」といった情報は、採用担当者の安心材料になります。

    また、「必要に応じて、休憩時間の調整や配慮をいただければ、十分に業務を遂行できます」など、働く上での工夫や希望する配慮についても率直に伝えることが大切です。

     

    ブランクの理由と伝えるべきこと

    ブランクの背景には、人それぞれ異なる事情があります。

    大切なのは、その理由を自分なりの言葉で整理し、相手に誠実に伝えることです。

    ここでは、よくあるパターン別に伝え方のヒントをご紹介します。

    障害などによる療養

    療養や体調の変化によるブランクは、無理に隠す必要はありません。

    「当時は医師の指示のもと、しっかりと療養に専念しておりました。現在は症状も安定しており、就労可能と主治医にも確認いただいています」といった伝え方で十分です。

    必要に応じて診断書の提出を求められることもありますので、診断書のコピーを準備しておき、求められたらその場で提出することで、誠実な印象を与えることもできます。

    「きちんと治療を受けていた」「現在は安定している」ことを丁寧に伝えることが信頼につながります。

    自己研鑽期間のためのブランク

    体調の回復と並行して、少しずつできる範囲で自己研鑽に取り組んでいた方もいらっしゃると思います。

    このような努力は、むしろブランクをカバーする強いアピール材料になります。

    たとえば、以下のような内容をアピールすると良いでしょう。

    • オンライン学習サイトでPCスキルを学習(Excel・Word・タイピングなど)
    • 書籍を購入し独学で語学学習を行う
    • 就労移行支援で就職準備やグループワークに参加
    • 地域の福祉活動に参加し、軽作業を通じて体力や集中力の維持に努めた

    「何を」「どのように」「どれくらいの期間」行ったのか、具体的に伝えることがポイントです。

    やむを得ない事情

    ブランクの中には、自分の意思ではどうにもならない事情によるものもあります。

    たとえば、家族の介護、引越しによる環境の変化、社会情勢(感染症の流行など)などが挙げられます。

    このようなケースは、率直かつ簡潔に伝えるだけで十分です。

    「家族の看病のため、やむを得ず一時的に就労を控えておりました」など、事実をありのままに伝えましょう。

    何もない、伝えられない

    「何もできなかった」「特別な理由が思いつかない」という場合も、焦らなくて大丈夫です。

    心と体を整えることに時間を使ったという事実こそ、大切にするべき経験です。

    無理に理由を作る必要はありません。

    「体調を見ながら自分のペースで過ごし、今は働きたいという気持ちが整いました」と、現在の意欲をしっかり伝えましょう。

    過去よりも『これからどう働きたいか』を伝えることが、前向きな印象を与える鍵となります。

    ブランク期間への具体的な対策

    就職活動を前向きに進めるために、ブランクの期間や事情に応じて対策を取りましょう。

    ここでは、ブランクの長さや状況に応じた対策を詳しくご紹介します。

    1年~1年半程度のブランクがある場合

    比較的短期間のブランクであれば、基本的な対応で十分にカバーできます。

    • 履歴書や職務経歴書に、ブランクの理由を簡潔かつ誠実に記載しましょう。 例:「療養のため一時的に離職していましたが、現在は就労可能な状態です」など。
    • 直近に行っていた取り組み(勉強・通所・ボランティアなど)を補足すると、前向きな印象を与えられます。
    • 就労移行支援やオンライン学習など、何かしら行動していた場合は、その内容を具体的に書き添えると評価されやすくなります。

    1年半以上、もしくは理由に困るようなブランクがある場合

    長期間のブランクや、伝えるのが難しい場合には、社会との接点を作りながら徐々にステップアップする方法もあります。

    就労への第一歩の例として、以下に5つの取り組みをご紹介します。

    1.トライアル雇用

    企業と求職者がお互いの適性を確認できる制度です。

    一定期間(概ね3ヶ月)試しに働くことができ、期間終了後に状況が合えばそのまま本採用につながることもあります。

    「いきなり正社員は不安」という方にとって、安心して始められる選択肢です。

    「トライアル雇用可」等の記載がある求人を見つけたら、応募してみるのも良いでしょう。

    2.障害者枠の紹介予定派遣

    最初は派遣会社に所属して派遣社員として勤務し、一定期間後に正社員などへ切り替えられる制度です。

    派遣会社からのサポートを得ながら働けるので、ブランク明けでも無理なくスタートしやすいのが特徴です。

    3.インターンシップや、ラーニング系のプログラム

    企業によっては、短期実習や研修プログラムを実施しているところもあります。

    実際の職場で体験しながら学べるので、ブランクの不安を少しずつ払拭できます。

    「働くことに自信を持ちたい」という方にぴったりです。

    4.就労移行支援

    障害がある方のための就職準備をサポートする福祉サービスです。

    ビジネスマナー、コミュニケーションの訓練、パソコンスキルの習得など、就職活動に必要な多岐にわたる訓練を受けられます。

    通所していた実績は、職歴としてもアピール可能です。

    履歴書に記載して評価されることも多いです。

    5.障害者職業能力開発校

    専門知識や技術を学べる訓練校です。

    国家資格や技術習得を目指せるので、「スキルを身につけて選べる求人を増やしたい」「専門分野で働きたい」という方におすすめです。

    学び直しをしながら就職の準備ができる貴重な場として、活用する方が増えています。

    面接時のブランク説明のポイント

    面接は、履歴書や職務経歴書では伝えきれないご自身の背景や想いを、直接企業へ伝える貴重な場です。

    緊張する場面ではありますが、上手く喋ろうとする必要はありません。

    誠実で前向きな姿勢を大切にすることが、信頼を得る第一歩となります。

    ここでは、面接でブランクをうまく説明するための3つのポイントをご紹介します。

    嘘はつかない

    事実と異なる説明をすると、後々の信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

    たとえ不安な内容であっても、正直に、自分の言葉で丁寧に伝えることが大切です。

    例えば、「体調を崩していたため、療養に専念していましたが、現在は医師の診断を受けて就労可能とされています」といった表現が安心感を与えます。

    言いにくいことを誠実に伝えられる方だという、良い印象を与えることもできます。

    誠実さは、どんな経歴よりも相手に響く力を持っています。

    ブランク中の自己研鑽は分かりやすく、具体的に伝える

    「自己研鑽していました」という言葉だけでは、どのような取り組みだったのか相手には伝わりません。

    行っていた内容や頻度を具体的に説明することで、面接官の理解を深めることができます。

    例:

    • 「週3回、午前中に1~2時間、タイピングとExcelの操作練習をしました」
    • 「月に数回、就労移行支援の講座に参加してビジネスマナーを学びました」

    このように、「何を・いつ・どれくらいの時間・どんな目的で」取り組んでいたかを整理して話すと説得力がぐっと増します。

    ブランクは自己PRの熱意と積極性でカバー

    ブランクがあるからといって、すべてがマイナスになるわけではありません。

    むしろ、「それでも働きたい」という強い意志を持って臨むことが、面接者の心を動かします。

    「今は就労意欲も高まり、安定して働ける状態です」「働くことで社会とつながり、学んだスキルを活かして御社のお役に立ちたいと思っています」といった、前向きな姿勢や目標を具体的に語ることで、プラスの印象を残せます。

    面接では、「過去」ではなく「これからどうしたいか」に焦点を当て、自信を持って話すようにしましょう。

    まとめ

    障害者雇用において、ブランクがあるという事実のみで採用の可否が決まることはあまりありません。

    むしろ、企業が知りたいのは、その期間にどのような背景があり、現在はどのような状態なのか、そして働く意欲があるかどうかです。

    体調が整うまでに時間を要したり、準備期間が長引いたりすることは誰にでもあることです。

    大切なのは、その経験をきちんと振り返り、現在の自分の状況と前向きな気持ちを誠実に伝えることです。

    そして、ブランクを経て得た学びや気づきを活かし、「自分らしく働ける場所で、もう一度チャレンジしたい」という気持ちを大切に、一歩踏み出してみてください。

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    この記事の執筆者

    村上 智之職業:愛知県委託事業 資格:障害者パソコン訓練(スクエアマイスターシューレ)校長
    村上 智之職業:愛知県委託事業 資格:障害者パソコン訓練(スクエアマイスターシューレ)校長

    2012年スクエアプランニング株式会社を設立。2016年より障害者パソコン訓練を愛知県の委託を受けて開始。人材ビジネス20年以上の経験をもとに様々な障害をお持ちの訓練生に対して社会進出、社会復帰のお手伝いをさせて頂いております。 今後もより多くの方に安心や自信を持って頂くことを念頭に、様々な情報発信をしていきたいと考えています。

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